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ArchAngel/harem night  作者: 鳥居なごむ
第四章
33/41

001

 ヴァルハラ雑談スレ★269


 245:アザラク

  結局、なにも変わってないよな?

  なんのために公式発表されたんだろ?


 246:ラムザ

  >>245

  あれから一週間しか経過してないからね。

  なにも変化がないと決めるのは早計だよ。


 247:快楽亭錯乱坊

  >>246

  同意。

  公式が無意味な発表をするとは考え難い。

  魔導書のような露骨な変化じゃないだけかもしれない。

  そういう謎なところが却って不気味だよね。


 248:ラメルケ

  まあ、置かれている状況が変わらないことは確かだな。

  事故じゃなく仕組まれた罠だったことが判明してもどうにもならない。

  それに薄々そうじゃないかと考え始めてた奴も多かっただろ?


 249:マッケンロー

  >>248

  そうとも限らないだろ?

  事故か故意かはともかく脱出の手段が告知されたことは大きい。

  目的が生まれれば建設的な行動も取りやすくなるからな。


 250:BLACK

  >>249

  開発側の意図が見えないから、盲目的に信じるのは危険だろ?

  攻略しても「やっぱりログアウトできませんでした」とか普通にありそう。

  賢しく考えれば撒き餌という可能性もある。


 251:ラムザ

  >>250

  攻略を停滞させないためだけにクリアすれば出れると告知したということ?

  うーん……さすがに深読みし過ぎな気もするな。

  ここまで盛大に仕組んでおいて参加者への嫌がらせが目的とは考え難い。


 252:はがない

  七つの大罪を封印すればログアウト可能。

  それを達成するためには七つの美徳が必要。

  しかし魔導書を解放すると制限が増える。

  悩ましいところだな。


 253:バッチョ

  >>252

  囚人のジレンマとか言うんだっけ?


 254:はがない

  >>253

  あれとは仕組みが違うんじゃないか?

  それぞれが最善の選択をしても最悪の結果になるとは限らない。


 255:かるぼ

  一番心配なのはPKだね。

  それが解禁されたときに秩序が問われるんじゃないかな?


 256:BLACK

  >>255

  さすがに攻略の邪魔はしないだろうけど、なにかしらの問題は起こるだろうな。

  個人的にはリアルに戻りたくない奴に魔導書を入手されることが不安だ。


 257:マッケンロー

  >>256

  トップギルドがリア充で構成されていることを祈るしかないな。

  あいつらに攻略する意思がなかったら大罪の封印なんて不可能だ。


 258:ビゼ

  八咫烏は幹部に富豪がいるからゲームクリアに前向きそうだな。

  最悪リアル報酬とか約束すればニートや無職連中も頑張るだろ。

  しかしまあ、悪い方に考え出したら切りがないぞ。

  誰か明るい話題を持ってないのか?


 259:ハルク

  あ……ありのまま見たことを話すぜ!

  三次元を正確に再現した……この世界で……俺は揺れる乳袋を見たんだ。

  なにを言ってるのかわからねえだろうが……俺はチグリスの胸を見守っていた。

  ちなみに乳袋とは着衣の上からでも乳房の形がはっきりわかる状態のことだぞ。


 260:ラローシュ

  >>259

  なにを言ってるのかわからないが、なにを見てたかは明白じゃねえかw

  確かにあの乳袋は世界遺産。誰かが支えてあげないといけないレベル。


 261:QSC

  おっぱいとかまったく興味ないけどチグリスたんの胸を支えてくるわ。

  世界遺産とか放っておけない性質だからな。乳袋とか全然関心ないから苦痛だわ。

  もう本当におっぱいとか興味ないけど世界遺産を守るために支えてくるわ。


 262:ボジョレー

  >>261

  いきなりそんな上級職に就けるわけがないだろうが!

  四つん這いになってチグリスたんの椅子にでもなってろ!


 263:ハルク

  >>262

  それはそれでかなりの上級職じゃないか?

  チグリスに座られるとか罰ゲームという名の天国だよ。


 264:白時雨

  長くて綺麗な黒髪をくんかくんかしたい。

  幸せになれる匂いしか想像できない。


 265:ルガームス

  >>264

  わかってるな。

  チグリス最大の魅力は滑らかそうな黒髪だよな。

  あの長くて綺麗な黒髪で毛撫でしてほしいぜ。

  足先から鼻先まで撫でられたらえらいことになるぞ。


 266:ラローシュ

  >>265

  お前の性癖がえらいことになってるだけじゃねえかw

  毛撫でとかどこの民族儀式だよ!


 267:ZOCⅡ

  まあ、冒険職でチグリス級の美少女は滅多にいないからな。

  ちやほやされる度もVRMMOの世界なら現実の比じゃないだろうさ。


 268:ボジョレー

  チグリスたんならリアルでも大人気だろ。

  むしろVRMMOをしてるのが意外なくらい。


 269:ラローシュ

  若干メンヘラっぽいからネット依存は不思議じゃなくないか?

  リアルだと愛猫しか心を許せる相手がいないとかありそう。


 270:ハルク

  Sっぽい印象だけどメンヘラなのか?

  普通に現実世界でも適応しそうな気がするけどな。


 271:ZOCⅡ

  いろいろ拗らせた結果、ヤンデレという可能性もある。

  手編みのマフラーに自分自身の黒髪を織り込む可能性が微レ存。


 272:グラスホッパー

  チグリスが一人になりたい気持ちがわかるな。

  仮に冗談だとしても内容が酷過ぎるぞ。


 273:ルガームス

  >>272

  はいはい……そうですね。

  いい格好したがる奴が現れましたよ。


 274:ハルク

  >>272

  一人だけ格好付けるなよ。それともチグリスにしたいことがないのか?

  あれだけの美少女を前にして欲情しないなんてことはないだろ?


 275:ボジョレー

  >>272

  実際にやったらただの変態だが、妄想するだけなら罪じゃない。

  素直に欲望を暴露してみろよ。


 276:グラスホッパー

  チグリスに二週間くらいかけてもらった眼鏡をぺろぺろしたいな。

  モダン、テンプル、リム、ブリッジ、ノーズパッドの順に舐め回したい。

  それをまたチグリスの美麗な顔にかけ直したい。


 277:ハルク

  >>276

  優勝!


 278:ボジョレー

  >>276

  優勝!


 279:ラローシュ

  >>276

  優勝!


 280:ZOCⅡ

  >>276

  優勝!


 281:ルガームス

  >>276

  いい格好したがる奴とか言って悪かったな。

  正真正銘、お前の優勝だ。



 そんな書き込みがなされる一週間前の出来事である。

 俺とチグリスは帝都アラバストを隈なく見て回っていた。

 レベルや名声で発生するイベントやクエストがあるなら、進撃の旅団が来訪したときとは事情が異なるからである。もっともチグリスのレベルは帝都防衛戦後の俺を上回っているため、実質、受けておいたほうが得なクエストを紹介してもらっている感じだ。


「どうして私のことを気にかけてくれるの?」

「実は姉貴に似てるから苦手なタイプなんだよ。だからチグリスと親しくなれたら、苦手を克服できるような気がしてさ。こっちの都合で申し訳ないな」

「あらやだ……ひょっとしてシスコンなの?」

「高濃度ファザコンの奴に言われたくねえよ!」

「怒らなくてもいいじゃない? せっかくの親近感が台無しだわ」


 ちなみに専用の赤縁眼鏡は鞄に収められているため、現在俺の隣を歩いている黒髪の少女は裸眼である。うら若き乙女が瞳を裸にするなんて危険な行為だが、莉紗や天音や乱華と違って、どうもチグリスには眼鏡をかけろと訴え難いのだ。


「ところでギルド名はどうするつもりなの?」

「なにか案があれば教えてくれないか? 俺は特に拘りがあるわけじゃないからな」

「あらそう。それなら『ダンゲロス』でも構わないかしら?」

「ふむ。どういう意味なんだそれ?」

「まあ、平たく言えば『デンジャラス』の馬鹿読みね。多数決で『進撃の旅団』に負けてしまったのだけど、私的に『ダンゲロス』という響きは嫌いじゃなかったのよ」

「それじゃあ、ギルド名は『ダンゲロス』で決定だな」

「随分と安易なのね」

「その代わりギルドエンブレムは眼鏡を交差させたデザインにさせてもらう」

「…………」

「お互い様だろ?」

「そういうことにしてあげるわ」


 ギルドの結成には一定の条件が課せられている。

 まず七都市に駐在している専用NPCにギルドエンブレムを作成してもらわなければならない。そのときギルド名とエンブレムデザインを申請した者がギルドマスターとなる。もちろん結成後にマスター変更することは可能だが、引継ぎには専用NPCを再訪しなければならない。しかも新旧二人のマスターで向かう必要があるため、余程の事情がない限り変更が行われることはない。それこそギルドの解散より少ないくらいだ。


「ギルドマスターは蓮に任せるわね」


 極自然にそんなことを告げられた。

 本当なら『ArchAngel』シリーズに詳しいチグリスに頼みたかったが、半ば強引に勧誘しておいて責任を押し付けるわけにはいかないからな。仕方なく素人同然の俺がギルドマスターを引き受けることになった。


「わかった。魔物に発見されない装備品を持っているから、とりあえず七都市のどこかへ向かってみるよ。落ち合わせ場所は帝都でいいのか?」

「まさか今のレベルでホームタウンを帝都に設定したの?」

「ホームタウン?」

「死亡したときに復活する場所のことよ。しかしまあ、その様子を見る限り変更はしてなさそうね。現時点での変更はおすすめできないからよかったじゃない」


 曰く帝都から七都市へ逆走しなければならなくなるからだ。失敗する度に帝都へ逆戻りさせられるため、低レベルだと身動きが取れなくなるらしい。俺には関係なさそうなことだが、どうやらそれだけではないらしい。


「ここの門番に話せばホームタウンへ飛べる使い切りタイプのアイテムがもらえるわ。複数所持できない代わりに何度でも取得可能だから便利よ」

「確かに便利そうだな。とはいえ帝都へ戻るのが大変じゃないか?」

「本来は帝都をホームタウンに設定した場合の帰還手段なのよ」


 デスペナルティを支払うことなく、安全に帝都へ戻るための手段らしい。

 つまり帝都を活動拠点にできる高レベル向けのサービスというわけだ。

 とはいえ利用できるものを利用しない手はない。

 一通り帝都を見回ったあとに門番のところへ向かう。


【故郷への道標】

 ――――――――――――――――――――――――――

 正十字の紋様が刻まれた認識票

 瞬時にホームタウンへ帰還できる

 競売不可/譲渡不可/複数所持不可

 ――――――――――――――――――――――――――


「それで落ち合わせは帝都でいいのか?」

「ギルド方針を考えれば帝都に籠もっているわけにもいかないでしょう?」

「そりゃまあ、そうだけどさ」

「ところで乱華の拠点は神都かしら?」

「PvPに積極的みたいだし、おそらくそうじゃないかな」

「それなら神都で落ち合いましょう」

「わかった。俺のホームタウンは鉱山都市だから丸一日程度で神都に戻るよ」

「ちょっと待って頂戴。特殊生産技術修得クエストの関係で、あと五日間は帝都に滞在したいのよ。その後に神都で合流ということじゃ駄目かしら?」

「いやいや、それで構わないさ。ただ乱華の蒼黒竜討伐と被ってるような? あと一週間後くらいに開戦するようなことを話してたんだよ」


 俺は乱華から聞かされていた情報を思い出す。

 記憶を引き出していると、チグリスに先を越された。


「ひょっとして水上都市ベネチスと森林都市サニエスタの中継地点に当たる廃墟に巣食う蒼黒竜のことかしら?」

「そうそう。まさにそれだ!」

「それなら話は簡単ね。一週間後に現地集合にしましょう。特殊生産技術修得クエスト関係で神都から水上都市ベネチスを訪れる予定だから助かるわ」

「おお、それは俺もありがたいな。七都市巡りをしながら現地へ向かうよ」

「まだ七都市巡りもしていなかったのね」

「悪かったな。でも待ち合わせの日時に合流できれば問題ないだろ?」

「それはそうなのだけど……素人のくせに随分と上から目線で私を口説いていたのね」

「嫌な言い方をするな!」

「ごめんなさい。童貞のくせに随分と上から目線で私を口説いていたのね」

「悪意しか感じられねえよ!」

「安心しなさい。私も処女よ」

「…………」


 なにがどう安心なのかよくわからない。

 そもそも七都市巡りをしていないという意味で処女なのか?

 それとも――余計なことを考えるのはやめよう。

 意気投合(?)した結果、合流場所と日時が決定する。

 チグリスの特殊生産技術修得クエストは調理らしいが、前作の流れを引き継いだというだけで特に拘りはないらしい。コストの関係で市場に出回り難い料理を生産して団長に絶賛されたとかはまったく関係ないそうだ。


「いってらっしゃい」

「おう! 次は三人で再会しよう!」


 俺は入手したばかりの『故郷への道標』を使用した。

 足元から光の円柱が形成されて身体を包み込む。

 最後に覚えたのは中空に身体を投げ出されたような浮遊感だった。

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