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ヴァルハラ雑談スレ★105
581:ラコスティン
チグリス、進撃の旅団を抜けた?
582:ラムザ
>>581
チグリスが旅団と別行動してることは確かだな。
ただ真相は誰にもわからない。
583:BREAD
>>582
魔導書を持ち逃げしたなら最低の奴だな。
温厚な団長もさすがに切れてるんじゃないか?
584:快楽亭錯乱坊
>>583
そうでもないんだよね。
>裏切り者? 結構、結構! それもまた進撃の旅団だ!
詳細は進撃の旅団スレ★5で確認できる。
585:メケメケ
スレ読む限り進撃の旅団は来る者拒まず去る者追わずなのか?
586:QSC
団長が重戦士Lv31になってるwwwww
レベル上げるの早過ぎwww
587:快楽亭錯乱坊
>>585
そんな感じだね。
前作でも進撃の旅団を踏み台にして、トップギルドへ移籍した奴は多数いたよ。
本気で強敵の攻略とかに挑戦しないから、残るのは団長の人柄に惚れた面子のみ。
>>586
進撃の旅団は実力者がネタに走るから面白いんだよ。
帝都へ向かう途中も狩場として使えそうなところ探してたんじゃないかな?
588:アザラク
魔物の枯渇が一番問題だからな。
レべリング中の団長を誰も見てないんだろ?
だったら王道の狩場は利用してないかもな。
589:亜門
旅団の面子でレべリングしてるだけじゃね?
パーティー構築の手間が省けるだけで時間短縮だろ。
590:ファンタジスタ姫宮
>>589
団長はレベリング希望を出してるプレイヤーの構成に合わせて狩場を選ぶらしい。
魔術士Lv17~Lv26まで組んだんだけど、リーダーとしての素質が桁違いだった。
591:ZEEK
>>590
数日に及んで固定PT組んだ感じか?
もし話せるなら詳しく頼む。
592:ファンタジスタ姫宮
構成は重拳拳拳拳扇魔。
扇舞士だけ旅団員であとは野良ね。
Lv17~アクマクの森で昆虫退治してた。
593:ラムザ
>>592
余ってる拳闘士を総取りしたんだろうな。
594:QSC
こちら重拳拳拳拳扇ですがパーティーしませんか?
595:メケメケ
>>594
俺なら絶対に断るwww
596:ファンタジスタ姫宮
>>594
重扇のときに誘われたんだよ。
最後の一枠で誘われてたら不安しかないね。
597:ZEEK
>>592
アクマクの森か……高レベルの魔物いなかった?
どこで狩りをしてたのか知りたい。
598:ファンタジスタ姫宮
>>597
湖があるところだね。
高レベルの魔物は湖に近寄らないみたい。
ただ夜になるとスケルトン系の魔物が湧く。
昼間でも雨天時はPOPするから安全ではないね。
Lv17~18で普通の構成なら全滅するかも?
599:アザラク
>>598
なるほど!
骨に強い拳闘士四人構成だから勝てるわけか!
600:QSC
>>598
そこまで見越して構成考える奴なんて普通いねえよwww
601:ZEEK
>>598
Lv17~Lv26なら三回くらい狩場変えるよな?
その辺どうだった? なんか質問ばっかりで申し訳ない。
602:ファンタジスタ姫宮
>>601
Lv20くらいから扇が湖から蟹を釣り出してたね。
603:メケメケ
>>602
どゆこと? 魔物は湖に進入できるの?
604:ファンタジスタ姫宮
>>603
書き方が悪かったかな。
釣り役という意味じゃなくて、本当に湖から蟹を釣り上げてた。
605:亜門
レベリング中に釣りwwwww
606:QSC
ちょっと進撃の旅団に入信してくるわw
607:ラコスティン
>>606
入団じゃなくて入信なのなw
608:アザラク
>>604
レベリング用の魔物を釣るのか……情報に精通し過ぎだな。
蟹の次はどこでなにを狩ったんだろ?
609:ファンタジスタ姫宮
>>608
森の奥にある洞窟で芋虫と骨だね。
610:ZEEK
>>609
アクマクの森だけでレベリングしてたのか……すごいな。
611:BREAD
団長もレベル上げ始めたんなら、進撃の旅団もトップギルドだろ?
わざわざチグリスが旅団を抜ける理由がわからんな。
612:エンピリオン
>>611
メンバーのレベルだけなら「ルナティック」と「八咫烏」の二強だろ。
クエストやミッション攻略でも「進撃の旅団」は「LeCouple」に遅れを取ってる。
旅団は魔導書がなければ二流のギルドだよ。
613:TKK
>>612
魔導書込みでも二流だろ。
九月十五日。
悪夢のようなログアウト不可能から数日間は、秩序の中にも不安を拭い去れない雰囲気があった。しかし一週間を過ぎた辺りから、世界は平穏を取り戻し始める。その大きな要因は不具合の進行がなかったことだろう。
ログアウト不可能。
ウィスパー機能停止。
現在もこの二つ以外の不具合は報告されていない。
そしてもう一つ――誰も口にしない要因がある。
一週間も飲まず食わずの生活が続けば、間違いなく多数の死亡者が出るだろう。
本体が亡くなればキャラクターも動かなくなる。ところがそれらしい挙動を見せる冒険者は一人も出なかった。ゆえに現実世界の身体は保護されている可能性が高い。
それなら数年は生きていられるだろう。
力尽きる前にログアウトする方法が判明すればいい。
そう考えたのは俺だけじゃないだろう。つまりだ。
ある程度の猶予を与えられたことで、心にゆとりが生まれたわけである。
さてと。
そろそろ時間だな。
俺は出品を終えた競売から離れて港を目指す。
道中で目的の人物を発見した。
「師匠、今日もよろしく頼みます」
「その呼び方はやめなさい」
爺さんは照れ臭そうに呟いて歩き始める。
立ち居振る舞いと白髪を後ろで束ねた格好から、どこぞの大富豪に雇われた執事を連想させる。もっともそれは容姿と雰囲気の問題で、その正体は田舎暮らしの隠居らしい。九月になってから知り合い、釣りを教えてもらっている。
孫娘にせがまれてVR機のあるレンタルルームに通い始め、ログアウト不可能という事態に巻き込まれたらしい。曰く「人生なにが起こるかわからない」とのことだ。
丸々一ヶ月レベリングに付き添っていたことだけあり、斬刀士Lv25という、現時点ではかなりの高レベル職業を持つ爺さんだった。八月最後の一週間にギルドで七都市巡りを決行し、その最終地点が鉱山都市コークスだったらしい。もちろん各都市の花束クエストをクリアしており、七種の鍵を使い分けることで移動には困らないそうだ。
港の釣り場から海面に糸を垂らす。
きっかけは釣り場が被ったからに過ぎない。どちらともなく声をかけて、天気や釣果の話題を振り合う。まったりとした時間が流れて、どちらともなく釣り場を去る。そんなことを繰り返していたある日、ふと爺さんから孫娘の話を聞いたのだ。
現実世界では眼鏡の似合う小学二年生らしい。
だから資金を貯めて眼鏡を贈るつもりだという。
この世界ではレベリングと金策は相容れない。
もちろん冒険職にも先行者特典はある。しかしそれを活かすためには、トップギルドに加入するなど、いろいろと敷居が高いのだ。ゆえにレベル上げに励んでいた冒険者ほど、金に困窮していることがほとんどである。
実際、爺さんもレベルに見合った装備を整えるだけで精一杯だったらしい。
そんな話を聞いた俺は、そっと眼鏡を差し出した。
「最近、釣りスキルの上昇に伸び悩んでいたんです。そろそろ魔物のいるような場所で釣りをしなければならないのかもしれない。斬刀士Lv25なら用心棒になりますよね?」
「物は言いようだな」
そんなわけで今現在、爺さんは用心棒兼釣りの師匠となっている。
採掘の息抜きで始めた釣りだが、今では欠かせない趣味の一つだ。
もちろん優先順位の筆頭は、眼鏡を愛でることにほかならない。
「非常事態とは思えない長閑さですよね」
「取り乱して事態が好転するなら、街中で大混乱が起こっているさ」
「確かにそうかもしれませんね。なんにせよ平和であることはありがたいです」
「元々『ArchAngel』シリーズは、PK行為に消極的だったらしい。つまり他者からの略奪を推奨していないんだよ。その辺りも今回の結果に影響したかもしれない」
「なるほど……設定そのものが好戦派を除外していたわけですね」
他愛もない会話と絡めるように、釣り講座も盛り込まれている。
最近教えてもらっているのは魚の相性に合わせた釣具の選び方である。
竿と餌の組み合わせで、かかる魚が変化するのだ。
無論釣れるかどうかにも大きな影響を与えている。
即ち高価な竿と高級な餌さえ使えば、どんな魚でも優位に釣れるわけではない。
高価な釣具を知識が凌駕する。そこに釣りの魅力があるのだろう。
糸が引くのを待ちながら俺は掲示板で情報収集しておく。
狩場情報交換スレ★107
1:MOON
ここはレベリングで使用した狩場の情報交換をするスレッドです。
狩り対象、適正Lv帯、PT構成などを書き込んでください。
127:ベアコック
雑談スレで話題になっていた狩場情報。
アクマクの森(Rビートル)、適正はLv17~20、PT構成は重拳拳拳拳扇魔。
これ試してみたいんだけど、実際どんな感じなんだろう?
128:LANCER
>>127
やめとけ。
あそこは団長のPOP管理がなければ成立しない狩場。
参加してた拳闘士に聞いたんだが、雑談スレでは語られてない情報もある。
まず戦闘開始前に七人で牡丹鍋を食べてる。
鍋は一緒に食べた人数で効果が変動する食事な。
詳細の確認は調理師スレで頼む。
【牡丹鍋】
――――――――――――――――――――――――――
猪の肉を用いた鍋料理。
効果時間:三時間
STR+1(+7) DEX+1(+7) 命中+2(+15) 攻撃力+5(+35) 防御力+5(+35)
競売可能/譲渡可能/複数所持可能
――――――――――――――――――――――――――
129:マクベル
>>128
ぼっちを敵に回した食事だな。
130:ZEEK
>>127
これ食べた拳闘士が四人いて苦労するのか?
普通なら骨がPOPした時点で全滅かもしれないな。
しっかし団長は気前がいいな。一度でいいからパーティー組んでみたい。
131:LANCER
>>130
ほんと組んでみたいよ。
ちなみに年末で大繁盛の居酒屋を回せる店長より仕切りが上手いとのこと。
132:ゲヘナ
>>131
基準がわからねえwwwww
ただ戦闘前に鍋とかいいね。
133:ベアコック
>>128
>>130
うひゃー、これは予備知識なしに重拳拳拳拳扇魔で臨んでも全滅だろうね。
参考になりました。ありがとう。
134:ダブルブリッド
>>131
和んだwww
団長が居酒屋の店長とか似合い過ぎw
135:ゲヘナ
>>134
見た目で判断し過ぎだろw
というか団長なら居酒屋の店長より漁師じゃないか?
136:武士道
>>134
>>135
工業都市セリナダで花束を露店販売してる団長の顔を拝んで来い。
天使だぞ。
「どうかしたのかね?」
「本当に平和だなあと実感していたところです」
「それなら構わないのだが……さっきから糸が引いているぞ」
「うおっ! もっと早く教えてくださいよ!」
俺は大慌てで竿を持ち上げる。
魚と格闘する俺を爺さんは苦笑しながら眺めていた。




