最終話「明日」
目が覚める。
――そう思っていた。
また、あの見慣れた天井があって。
いつもの部屋があって。
また昨日からやり直す。
そう思っていた。
だけど――。
俺が目覚めることはなかった。
何度死んでも、俺は昨日に戻った。
一度だけ、明日を迎えることもできた。
あの時は、本当に嬉しかった。
やっと終わった。
やっと先へ進める。
そう思った。
だけど――。
結局、俺は死んだ。
そしてまた、昨日へ戻った。
この世には、避けられない運命がある。
人には、死ぬ未来があらかじめ決まっているのかもしれない。
俺が何度死を避けても、結局死んだように。
車を避けても。
海へ行くのをやめても。
何もしなくても。
明日まで生き延びても。
結末は変わらなかった。
だからこそ、俺は思う。
毎日を全力で生きなきゃいけないんだ。
いつ死ぬかなんて、誰にも分からない。
今日と同じように明日が来る。
俺も、ずっとそう思っていた。
実際、俺にも明日は来た。
でも――。
その次の日が来る保証なんて、どこにもなかった。
それでも世界は進んでいく。
俺が死んでも――。
世界には明日が来る。
美月。
陸。
和也。
俺がいなくなれば、きっと悲しんでくれるだろう。
それでも世界は止まらない。
今日から明日へ。
明日から、また次の日へ。
ずっと進んでいく。
俺がいなくなっても。
みんなは、その先へ進んでいく。
だからこそ――。
今日を生きる。
明日が来ることを、当たり前だと思わずに。
でも――。
もしかすると。
「明日」という日は、本当は永遠に来ないのかもしれない。




