第16話「見ているもの」
オルディアの孤児たちは、 13歳で“何か”をされていた。
それは本当に、 ただの試験だったのか。
「うん」
「驚いた」
レインは低く言う。
エイルは少しだけ首を傾げる。
「たぶん」
「13歳の時に」
間。
「……入れられた」
レインの目が止まる。
「入れた?」
「何を」
エイルは胸に手を当てる。
「守るためのもの、って」
一拍。
「言われた」
沈黙。
「でも」
少しだけ、間。
「……合わない人もいるって」
レインの視線が鋭くなる。
「……それで」
エイルは小さく続ける。
「調整、されたって」
「調整?」
「うん」
曖昧に頷く。
「よく分からないけど」
間。
「……そのあとから」
小さく。
「体、変になった人いて」
「その後どうなったか、わからない」
レインは間を置く。
「……なんでそんなことをしたんだ」
エイルは小さく頷く。
「……わからない」
静か。
レインの中で、 あの時のカザンの言葉が引っかかった。
(十三になれば、試験が始まる)
(それまでに)
(喜んで、行くように)
(……関係あるのか)
息を一つ、落とす。
視線が動く。
部屋の奥。
壁。
扉。
(見せてるのか)
(……見せたいのか)
エイルの方へ、もう一度だけ視線を向ける。
細い呼吸。
わずかな揺れ。
(……不安定だな)
レインは何も言わない。
ただ、立ち上がる。
「……どこ行くの」
エイルの声。
レインは振り返らない。
「ちょっと、見るだけだ」
扉へ向かう。
足音は小さい。
(確認する)
(同じかどうか)
手をかける。
一瞬、止まる。
(監視員)
(……見てるな)
わずかに、口元が歪む。
(見てるなら、見せてやる)
扉が静かに開いた。
少しずつ、 オルディアとノヴァリスの繋がりが見え始めます。
「守るため」 その言葉の裏にあったものとは何なのか。
そして、 13歳試験の意味も――。
次回も読んで頂けると嬉しいです。




