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第16話「人が集まり始めた」

今回は、トーマが役割を振る回でした。

作る・教える・集める・縫う。


バラバラだった4人が、少しだけ“チーム”になり始めた気がします。

レインにとっては「考える」だけじゃなく、

“形にする”最初の一歩。


そして、最後に少しだけ引っかかる違和感も置いてあります。

ここから、少しずつ「娯楽」が形になっていきます。

「今から大事な話をする」

トーマは四人をぐるっと見回した。

それから、ぱん、と手を叩く。

「デデーン」



両手を広げ、なぜか腰をくねらせる。

妙にキレがいい。



四人は森の奥、小屋の前で唖然とした。

「……?」



トーマは満足そうに頷いた。

「今のは“何かが始まる音”だ」



カイ

「意味わかんねぇよ」



サリアは吹き出した。

「あはははっ!」



トーマはその笑い声を一瞬だけ見て、ふっと目を細める。



それから、レインに視線を向けた。

「お前だろ」

「さっき、一人だけ“見てた”やつ」



レインは言った。

「観察してるだけだ」

「いいな、それ」

トーマは軽く言った。

「観察は、始まりだ」



ミレアが横から口を挟む。

「この子カイ!絵めっちゃ上手いの!」

カイ

「勝手に言うな」



ミレア

「で、こっちがサリア!」

サリアは軽く手を振る。

「さっき笑ってたやつです」



トーマは二人を見る。

一瞬だけ、じっと。



「……なるほどな」

「絵のやつと、笑うやつか」

一拍。

「で、観察するやつ」



レインを見た後、ミレアを見る。

少しだけ間があった。



「気持ち悪いで終わらないやつはな」

「だいたい面白いことやる」



ミレア

「え?それわたし!」


カイ

「そっちかよ」

レイン

「……違う」

サリア

「あはははっ!」 



トーマは少しだけ笑う。

「似たようなもんだ」

カイ

「雑すぎるだろ!」

サリア

「あってるけどね」



トーマは少しだけ笑った。

「トーマだ」

一拍置いて。

「昔、笑いを広めようとして追い出された」

四人「……はい?」



トーマは肩をすくめる。

「昔の話だ、気にするな」

一拍。

「……で、笑いを広めたいんだったな」

「小僧から聞いた」

レインを見る。

「なら――俺のできる範囲で教えてやる」



ミレアが手を上げる。

「で、何するの?」



トーマは少しだけ間を置いた。

それから指を一本立てる。

「まずは作ってみろ」

全員「……え?」



トーマはレインを指さす。

「小僧は、木を削れ」

レインは首をかしげた。

「木?」

「そうだ」

「感覚で覚えろ」

トーマは笑う。



「お前の考えた“ヒーロー”を形にしろ」

レインの頭に、あの姿が浮かぶ。

白い。つるっとした、たまごのような。

「……ツルリマン」 



トーマは笑った。

「悪くない」

一拍。

「……惜しいな、もう一歩だ」



「それを木で作れ。あと敵もだ」

レインはノートを開く。

『木彫り

ツルリマン

必要』

「それと」

トーマは続ける。



「色もつけろ。白だけじゃ、伝わらん」

レインの手が止まる。

(伝わる……?)



「子供でも、“分かる形”にしろ」

レインはゆっくり頷いた。

「……分かる、形」

一拍。

「……やってみる」



「で、こっちは……」

ミレアを見る。

「……生き物のやつか」



ミレア

「昆虫だよ!」



トーマ

「同じだ」



「……で、縫え」

「形にしてみろ」



ミレア

「縫う?」

「ぬいぐるみだ」



トーマは指で丸い形を作る。

「そいつと、敵も作れ」

ミレアの目が輝いた。

「かわいいの作る!」



「頼んだ」

トーマは笑う。

「触れるやつは強い」

ミレアはもう手を動かすように空中で形を作り始めている。

「ふわふわにする!」



トーマはカイを見る。

カイは腕を組んでいた。

「……で、俺は?」

トーマは少しだけ考えてから言う。

「お前は、手を出すな」



カイ

「何で?」



「描くな」

トーマは続ける。

「教えてやれ」



カイの眉がぴくっと動く。

「俺が?」 



「そうだ」

トーマはあっさり言った。

「レインに描かせろ。お前は言葉で直せ」



カイは少し黙る。

それから、顔をしかめた。

「……効率悪いだろ」



トーマは笑う。

「お前が一人でやる方が、もっと悪い」

カイ

「……」



「広げるなら、増やせ」



カイはため息をついた。

「……面倒くせぇ」

「……俺が描いた方が、綺麗で早い」



サリアが横から笑う。

「あはは、先生だね」



カイ

「違う!」

トーマは最後にサリアを見る。



サリアはまだ少し笑っていた。

「あはは……で、私は?」

トーマは少しだけ真面目な目になる。

「集めろ」

サリア

「え?」



「人をだ」

トーマは指を鳴らす。

「子供を呼べ。“楽しい場所”を作れ」

サリアは目を丸くする。

「そんなので来るかな?」



トーマは肩をすくめた。

「来るさ」

それから、少しだけ笑った。

「人はな、笑うところに集まる」



サリアは一瞬、言葉を失う。

それから、ふっと笑った。

「あはは……やってみる」



「あと」

トーマが軽く付け足す。

「お前は、笑うな」

サリア

「え!?」

「笑わせてみろ」

一拍。

サリアは少し考えて、そして笑った。

「あはは……難しそう」



トーマは全員を見回した。

「役割は終わりだ」

レインはノートに書く。

『作る

教える

集める

縫う』



カイはぼそっと言う。

「なんか増えてねぇか」



ミレアは楽しそうに言う。

「いっぱい作れるね!」



サリアは手を腰に当てて笑う。

「あはは、なんか面白くなりそう!」



トーマはその様子を見て、満足そうに頷いた。

「いい顔だ」

風が吹く。

木々が揺れる。

トーマは静かに言った。

「じゃあ始めろ」



頭の中に、白いヒーローが浮かぶ。

つるっとした顔。

転ぶ姿。

笑われる姿。

レインはノートを閉じると、

トーマが口を開いた。

(……あの時、言ってたな)

「子供にしかできない遊びがあるって」

(……これなら)

今回はトーマが本格的に動き出し、

それぞれの役割が決まる回になりました。


観察するレイン、作るミレア、教えるカイ、集めるサリア。


少しずつですが、「娯楽を作る側」として動き始めています。


ただ、その裏で引っかかる言葉も残しました。

ここからどう広がっていくのか、

引き続き見守っていただけたら嬉しいです。

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少しずつ、三カ国の全貌が見え始める。 『笑い』『選別』『価値』が交差する異世界ファンタジー。 (※執筆・画像すべてスマホ1台で制作しています)
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