表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/12

1 行かなきゃいけないの? ~レディのお出掛けには時間がかかるの~

 いよいよ『赤いずきんちゃん』の本編がはじまります。

 皆さんが覚えている『赤ずきんちゃん』のお話しは一度忘れて頂いて、広い心で読んで下さい。

 むかし、むかし、あるもりちかくのむらに、母親ははおや二人暮ふたりぐらしのおんなました。おんな名前なまえはシャルマントといます。



「あー、もー、どうしていつもこうなの?」

 シャルマントはかがみながら右足みぎあし何度なんど何度なんどゆかつよみつけています。それは、寝起ねおきだけではない、いつもはねているくしさえけてはなおそうとしているからでした。部屋へやをすりけてこえてるそのこえにいつものことねとあきれた母親ははおやかがみおくからのぞんではなけます。

「シャルマント、もうかみはどうでもいいから、はやくおばあさんのところにこれをってってちょうだい。本当ほんとうに、七歳ななさいなのにおませなんだから。」

 シャルマントはかがみのぞははかっていまにもきそうなかお返事へんじをします。

いやなの、このかみ所為せいみんなにバカにされるんだからー。『やーいやーい、おまえあたまにもみみがあるのか』って。」

 シャルマントのはねみみのちょっとうえにあって、あたま両側りょうがわにまるでそこにもみみがあるかのようにクルッとそらかってがっていました。

「そんなことにしているの? それはね、可愛かわいいあなたのきたくてちょっかいをしているだけだから。そうわれたら、『コイツ、わたしこときなのね』ってえばいいのよ。」

するとシャルマントはその表情ひょうじょうきべそから自慢気じまんげかおへとえ、

「やっぱそうおもう? そうだよねー。わたしうす気付きづいてたの。おかあさんも、そうおもうよねー。」

 シャルマントはきゅうき、キラキラしたははます。ははあきれたような表情ひょうじょうで、

「そうそう、そうだから、さっさと準備じゅんびしてってちょうだい。」

って部屋へやこうとしています。シャルマントがかえします。

「おかあさん、そんなにいそがなくてもいいんじゃない?」

大好だいすきなおばあさんがってるでしょ。」

わたし、そんなにお婆様ばあさまのこときじゃいわよ。」

「え・・、いつもたのしそうに出掛でかけるじゃない。」

「うん、もりなかあるくのがきなの。お婆様ばあさまいえくのはついでね。」

「ま まぁいいわ、さっさときなさい、おばあさんがあなたのこときなのよ。」

こまるな~、そんなにたよりにされても。わたし、まだ子供こどもだし。」

「あなたになにかしてしいわけじゃいわよ。かおせるだけでいいのよ。」

「じゃあ、今度こんどわたしでもいてようかしら。そうすれば何回なんかいかなくてむから。」

「・・・とあなたがくのはちがうでしょ。それに、あなたのって・・。」

大丈夫だいじょうぶよ、お婆様ばあさまったらわるいから適当てきとういても平気へいき平気へいき。」

「・・・そんなことかんがえていないで、さっさときなさい。」

「ねぇおかあさん、どうしてそんなにわたしかせたがるの?」



「それは・・、そぅ、あのひと(おばあさん)のいえもりなかだから、おそくなってくらくなるとこわいでしょ。」

平気へいきよ。たまーに真夜中まよなかめてくらでもこわくないし、そのままだまってしずかに天井てんじょうながめてるから。」

「・・ながめて、なにしているの?」

ふしかぞえてるの。わたしくらところでもよくえるから。」

「・・いや・・、それのなにたのしいの?」

なんだろ~、いつもふしかずがちがうのよ。どうしてなんだろう~って、本当ほんとうかずはいくつなんだろう~っておもって。」

 母親ははおや奇妙きみょうなモノでもようつきにわってきます。

「だったら、昼間ひるまかぞえればいいじゃん。」

「あっ、そうか。おもいつかなかった。」

「で、ただかぞえているだけなの?」

「んっ? そう、ただかぞえてるだけ。そしたら、またねむくなるから。」

「あ、そ、そーなの。」

 ははこころなかおもいます。(気持きもちわるね。だれたのかしら。)

「それにね、今日きょうあつくなりそうだから、すずしいうちに出掛でかけなさい。」

平気へいきよ。わたしあついのは平気へいきだし、すぐにもりはいっちゃうのだから。そうしたらすずしいわ。」

 母親ははおやいちかえむすめしょう々イラつきながらつよ口調くちょういます。

「いいから、さっさと支度したくして出掛でかけなさい。おばあさんは具合ぐあいわるいってっていたからすこしでもはや大好だいすきなあなたをせてあげて。」

「はぁい、それで、お祖母ばあさまにはなにってくの?」

「いつもどおり、お菓子かししゅよ。このカゴにれておくから。」

「ねぇ、おかあさん。おもうのだけど、お菓子かししゅって組合くみあわへんじゃない? おさけにはおつまみでしょ。」

「このおさけくすりわりなの! 酒盛さかもりするわけじゃないからつまみはいの!」

「おさけがおくすり?」

「『さけ百薬ひゃくやくちょう』ってうのよ。」

 そうって、ふふっとうすわらいをかべたはは横顔よこがおたシャルマントはおもいます、

(お母様かあさまこわい・・・。あ~~、わたしはお母様かあさまていなくてかったわ。)

と、そして、それ以上いじょう言葉ことばえませんでした。


 鼻歌交はなうたまじりにははとおざかってくと、シャルマントはいままでのうごきがうそのようにいそいで出掛でかける準備じゅんびをはじめます。

はやくしなきゃ、はやくしなきゃ、  さっさとずきんをかぶって と・・・)

 かみみみようなハネかくすように、あかいずきんをしっかりとかぶります。


 準備じゅんびのできたシャルマントはいそいでいえしました。

もり危険きけんだからけてね、へんひとったらすぐににげげるのよ~。」

 いえなかから母親ははおやこえがひびいいてます。

(いやいや、いえなかだって危険きけんじゃないの?)

 

 シャルマントはこころなかつぶやきながら早歩はやあるきでもりへの一本道いっぽんみちすすんできました。


 舞台は “森の中” に移ります。

 赤いずきんちゃんの運命を決める出会いの数々、お楽しみに・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ