第十一章(3):神の鉄槌、降り注ぐ光
私も、開かれゆく扉を食い入るように見つめていた!
ルシアン様!
ルシアン様!
あなたを探して、ここまで来たんだよ!
会いたい!
会いたい!
私の、私のルシアン様!
ローゼリアちゃんは、両手で口元を覆って、感動と、未知の世界へのちょっとの不安で、瞳をウルウルさせている。
彼女の優しい心が、この場の全ての感情を感じ取っているみたいだ。
カスパール君は、いつものニヒルな笑みを引っ込めて、真剣な顔つきだった。
扉の向こうから感じる、今まで以上の強大な魔力に警戒態勢を敷いている。
彼の紫の瞳は、ルシアン様がいる異世界、そしてそこで得たであろうルシアン様の力を感じ取っていた。
彼も、ルシアン様がこの異世界でどうなっているのか、その真実を知る、最後の瞬間まで来ているんだ!
私たちは、開かれた異界への扉へ向かって、さあ、一歩、踏み出そうとした。
その時だった。
世界が、ありえない、ガラスが砕け散るような悲鳴を上げた。
それは、私たちがいる空間だけじゃない。
世界そのものが悲鳴をあげているかのようだ!
天空が、文字通り、ガラスのように砕け散ったかのような衝撃!
銀河が割れたかのような、あまりにもおぞましい光景が、私たちの真上に広がった!
まるで、世界にヒビが入ったみたい!
それは……まさか……!
神聖な、冷たい気配が、肌を刺す。
神界から、創造神ガイア様が、世界、そして私たち勇者たちを、あまりにも冷たい、感情の欠片もない瞳で見下ろしている。
彼女の存在そのものが、あまりにも圧倒的な神聖な力となって、私たちに重くのしかかる。
「愚かな人間たち、そして私の創造を乱す『イレギュラー』よ」
ガイア様の声が、直接、私たちの脳内に響き渡る。
それは、冷たく、そしてどこまでも絶対的な神の声だった。
「ルシアンが異界へ消えて三千年。
奴がどうなったかは確信がなかったが、
その地から新たな力の『歪み』を感じ取っていた。
初めは奴もろとも異界ごと封じようとした。
しかし、カスパール、お前は奴を探し続けた。
面倒だったから、お前の家を没落させたのだ」
ガイア様の声には、強い嫌悪感が滲んでいた。
「だが、なぜお前たち勇者は転生した?
どうせ、ルシアン、
あの小僧が何らかの細工をしたのだろうな。
お前らが、ルシアンを探すうちに宝珠を覚醒させていく。
私の妨害も虚しく、お前たちはさらに力をつけた。
ならば、利用するまでだ。
私の管理外にある異界の場所を探し出すため、
お前たちのルシアンへの願いを利用したのだ。」
神様……そこまでするなんて……!
私たちはただ、その言葉に打ちのめされるしかなかった。
「そして今、お前たちはその役割を果たした。
異界への扉を開き、
そこから漏れ出す強大な力。
ルシアンがただ生存しているだけでなく、
信じられないほど強大な存在になっていることを、
この私に確信させたのだ。
奴の存在は、
私の完璧な秩序を脅かす『歪み』。
断じて許すわけにはいかない」
ガイア様の声に、怒りの色が混じる。
「この異界も、
イレギュラーな存在も、
そしてそこへ行こうとする愚かなお前たちも、
全て無に還す!」
世界全てを覆い尽くすかのような、圧倒的な神の光が、天空の砕けた裂け目から、容赦なく、冷酷に降り注ぐ。
その光は、温かく、しかし何よりも冷酷だった。
それは、あらゆる存在を、存在そのものから無へと還す、あまりにも絶対的な破壊の力!
その光は、私たちが見守る開かれかけた異界への結界、そして、結界の前に立つ私たち四人を、文字通り消し去ろうと降り注いだ!
「な……なんだ……この力は……!?」
「そんな……!なぜ……!ガイア様……!?」
私たちは、あまりにも突然の出来事と、そのあまりにも圧倒的な力の前に、言葉を失う!




