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第15話 では、傭兵ギルドでお仕事こなすぜ!

前回のあらすじ:孤児院8名、傭兵ギルドへ見習いとして入会することにした。

 シスター2人の後について俺たち8名+3体の小集団が街中を歩く。ここに転生して早7年、街中を歩くのは正直今日が初めてだ。


 俺以外の7人はもちろん街全体ではないけど、ここドボルザークの街中はちょくちょく歩いているようで行き先である傭兵ギルドの場所も知っているようだ。


 何で俺だけ街中を歩くのが初めてかというと、健康状態が非常に悪かったというのが主な理由らしいが、本当のところは重度の方向音痴だということを孤児院にいる全員が理解しているから。それに加えて、獣人メインの孤児院ということで街の住人達にあまりいい目で見られていないため、何が起きるかわからないので危なくて出してくれなかったというのも理由にあるようだ。


 逆に、街の外にはたまに出ていたりはする。マーブル、ジェミニ、ライムの3体の護衛と孤児院の誰か、あるいは元暗殺ギルド員の付き添いという条件付きではあったけど。


 そんなこんなで傭兵ギルドへと到着。我らが孤児院に案外近かったのはちょっとした驚きだけど、同時に周りの環境を見てある程度納得はした。


 というのも、いろんな世界戦で見たスラムほどではないにしても、環境面ではかなり劣悪と言わざるを得ない。他がどうなっているのかはわからないけど、恐らくここほど劣悪ではないと思う。


 念のために小綺麗な格好ではなく、そこそこヨレヨレでそこそこ汚れているような感じの服装を選んだのは正解だった。周囲から見て浮いた格好にならずに済んでいる。もちろん、見た目だけでバッチリ洗濯しており中身は清潔そのものなんだけどね。


 傭兵ギルドの建物だけど、煉瓦積みの3階建てとなっており、壁の一部は風化してボロボロしている。入り口はアメリカの開拓時代を彷彿とさせるドアである。


 その入り口には虎の獣人が座っており、シスター2人を確認すると立ち上がってこちらに来た。


「傭兵ギルドへよく来た。こいつらが見習い希望者か?」


「ええ、そうです。孤児院8名こちらにお世話になります。こちらが8名の名簿です。」


 シスターアリスがそう言って紙を手渡す。紙といっても、目覚めの儀で出された紙ではなく、こちらで流通している羊皮紙だけどね。


 虎の獣人が紙を受け取り内容を確認し、確認が終わるとこちらに話しかけてきた。


「おう、この中にいるアイスってのはどいつだ?」


 いきなり呼ばれたけど何だ!?


「ボクがアイスでしゅ。よろしくお願いしましゅ。」


「ほう、一番ちびっこいのがこの中のリーダーか、、、。面白い!!」


 はあっ!? 何で俺がリーダーなの!? 普通に考えたら一番古参のワンタとかじゃないの!? 年齢的に考えても俺がリーダーっておかしくない!?


 そう思って周りのメンバーを見ると、当たり前だという表情で頷いていた。


「他の連中もそれで納得しているみたいだな。よし、改めて傭兵ギルドへようこそ! これから見習いとして仕事に励んでもらうぞ。俺はエドガーだ。ここのギルドの副ギルド長をやっている。見ての通り虎族の獣人だ。グダグダ説明するのも面倒だし実際にやってもらう方が手っ取り早いから早速仕事をしてもらおう。というわけで、シスターの嬢ちゃん達はここまででいいぞ。」


「じゃあ、宜しくお願いしますね。」


 シスターの2人は孤児院へと戻っていった。


「よし、お前らはついてこい。建物内を案内しよう。」


 そう言ってさっさとギルドの建物に入っていくエドガー副ギルド長の後について俺たちも建物に入っていった。


 中は案外広い印象だ。まずは1階だけど、ここにはカウンターが3カ所あり正面がギルドへの依頼を受け付けており、左側では壁に紙が貼られておりギルド員がその紙を選んで、こちらのカウンターに持って行き仕事を受けるそうだ。右側のカウンターは依頼達成の報告窓口のようだ。正面と左側のカウンターとは異なり後ろ側にドアがある。そこから報酬の金や品物を出して渡す仕組みのようだ。


 2階は会議室となっており、大会議室が1部屋、中会議室が2部屋、小会議室が2部屋あり、出兵時などのミーティングで主に使われるようだ。それ以外でも申請を出せば使えるようだ。


 3階は資料室と宿泊部屋となっており、宿泊部屋には当直のギルド員が交代で泊まるそうだ。今日はエドガー副ギルド長の他に5名ほどが当直で泊まっているそうだ。


 ちなみに3階は説明を受けただけで実際に見て回ったのは2階までである。資料室はもちろん宿泊部屋なんてまず利用しないからねぇ。


 そういえば、食堂についてだけど、傭兵ギルドの建物に食事する施設は存在せず、街中で適当に済ます必要があるそうだ。じゃぁ、俺らはどうするのか? そこはシスター達と話が済んでおり、会議室を借りて食事を摂ればいいらしい。・・・念のために用意していてよかったよ。


「よし、一通りの案内は終わったな。これからお前さん達には仕事をしてもらうからな。まぁ、仕事といってもお前らは見習いだから簡単なものからだけどな。」


「「「ハイッ!!」」」


「うん、良い返事だ。じゃぁ、3つの班に分かれて仕事してもらうぞ。」


 班分けはこんな感じ。第1班、ワンタ、ミィコ、プーカ。第2班、ジュエル、ロビン、ミレーヌ、カタリナ。で、第3班が俺だけ。何故だ、、、。まぁ、マーブル、ジェミニ、ライムが一緒だからボッチではないんだけどね。


 で、第1班は左側のカウンターに、第2班は右側のカウンターにそれぞれ案内されていった。俺はというとエドガー副ギルド長が担当のようだ。


「アイスといったな、お前と従魔達はこっちだ。ついてきな。」


 副ギルド長はそのままスタスタと外へとでる。俺たちも後について外に出ると、先程は気づかなかったけど広場のようなところがあった。意外とここって広いんだなぁと思いつつ、普通に考えてみたらそりゃそうだと思う。だって傭兵ギルドだぜ。ある程度集団戦の訓練ができる場所がないと意味がない。


 で、広場の一角に厩舎があるかなぁと思ったら、やっぱりあった。副ギルド長にそこまで案内された。


「よし、アイス。お前の仕事はここの厩舎で馬たちの世話をしてもらう。」


「馬の世話でしゅか、、、。やったことないんですけど。」


「当たり前だろう。孤児院出身でしかもその歳で逆に経験者だったら怖いわ!」


 ここの厩舎に馬は3頭いた。どの馬もサラブレッドのようなスラッとした格好良さは全くなくどちらかというとドンコという北海道などでばんえい競馬として出てくるような馬であり、つぶらな瞳が愛らしい。


「うちは予算が少ないからな。質の良い馬なんて無理だ。これでも馬がいるのといないのとでは大きく違うんだよ。」


「とても可愛らしくていいお馬しゃん達でしゅ!」


「ミャア!」「キュウ!」「ピィ!」


「ほら、マーブル達もお馬しゃん達を気に入っていましゅよ!!」


 マーブル達を見てみると、嬉しそうに馬の周りを走り回ると、それぞれ1頭ずつ馬の頭に飛び乗った。馬の方は何事もなかったかのように大人しくなすがままにされていた。


「ほう、こいつは驚いた。こいつら見た目は大人しそうにしているんだが、結構気が荒いんだよ。まさか素直に頭の上に乗せるとはな、、、。」


「エドガーしゃん、あとはどうすればいいでしゅか?」


「細かいことはここを担当しているマズラに聞いてくれ。おーい、マズラ!!」


 エドガー副ギルド長が大声で呼びかける。馬たちはビクッとしたが、すぐにマーブル達がなだめて落ち着きを取り戻していた。・・・気が荒いのってこのオッサンのせいなのでは、、、。


 副ギルド長に呼ばれて来たのは馬面の獣人だった。うまづらだから、マズラなのか!? とは一瞬思ったけど、日本とは言葉が異なるので違うと思いたい。・・・でも、ワンタとかミィコとかプーカなんかもそういった類いの外見と名前なんだよな、、、。細かいことは気にしないようにしよう。そうだ、覚えやすいと思えば良いんだ、そうだ、そうしよう。


「おや、誰かと思えばエドガーさんじゃったか。ということは、ここに来ている子達が?」


「そうだ、今日からギルド員見習いとして働くことになったアイスとその従魔達だ。顔合わせは後でやるからとりあえずこいつらに仕事を教えてやれ。」


「わかったぞい。しかし、凄いですなぁ、ワシ以外に基本なつかないこいつらが大人しく従っているとは。」


「だろ? 凄ぇよな。俺なんてこいつらが来てからずっと顔合わせてるくせに頭すら撫でさせてもくれないのに、こいつら初日でこうだからなぁ。」


「まぁ、そういうことでしたら話は早いですな。では早速仕事を教えていきましょうかの。」


 マズラさんに仕事を教わる。最初は飼い葉を与えることだった。説明を受けたとおりに馬達に飼い葉を与えていく。馬達はそれぞれの桶に飼い葉が入れられてもいきなり食べ出すことはしなかった。こちらで食べても良いよ、と言ってから食べ始めたのだ。・・・なんだ、案外しっかり教育されているじゃないかと感心していたら、マズラさんが驚いた表情をしていた。


「おいおい、どうなってるんじゃ? こいつら、いつも桶に入れた途端いきなり食べ始めるのに、、、。」


 ・・・訂正、教育できてなかった。


 飼い葉を食べ終えた馬達は広場へと移動、しばらく広場でのんびりと過ごす。馬達が厩舎から出ている間に厩舎の掃除である。マズラさんが道具を使いながら説明してくれる。・・・正直かなりきつい労働である。


 以前某調教師の書いた本を読んだことがあり、厩舎の1日を追う内容が書かれていたが、字面を追っただけでもそのキツさは何となく理解できるものだった。しっかりと成長して体が完成されている状態の人達でも過酷と言われるこの仕事である。こんな7歳になったばかり、しかも数え年だから実際は6年ちょいかも知れない上に発育不全なこのプリチーボデーにとっては過酷では済まないだろう。


 しかし、俺には心強い味方がいる。マーブル、ジェミニ、ライムという可愛いだけじゃなく頼れる達が!! 更には水術という使い方次第ではチートとなるスキルがある!! くそ真面目に道具でチマチマと掃除なんかやってられっか!!


 ということで、使えるものは使おうということで、水術を使って床一面を綺麗にしていく。汚れている箇所については高圧洗浄さながら水ブッパして綺麗にする。


 一通り良い感じになったらその水を流して床に残っている水を乾燥させ、仕上げにマーブルが火魔法と風魔法を混合したドライヤーっぽい魔法を使って清掃完了。うん、非常に綺麗になった。


 あとは道具を戻す作業だが、ジェミニとライムがさっさと運んでこれもアッサリ完了。これにて厩舎の掃除完了。整列して互いに敬礼というお約束の点呼をして、あとは報告するだけ。時間にしておよそ10分程度。


「マズラしゃん、厩舎の清掃完了でしゅ。」


 報告を受けたマズラさんはポカーンとしたまま全く動かない。初日で流石に突っ込むのもどうかと思ったので外に出て馬達と戯れる。といっても、俺は何もせずマーブル達がそれぞれ馬の頭に乗り競争したり、好き勝手に動いているのをのんびり眺めている程度。


 しばらく眺めていると、ようやく意識が戻ったマズラさんがこちらに来た。今日は初日ということもあって軽く仕事を覚えてもらう程度の気持ちだったらしく、あそこまで本格的に掃除させるつもりはなかったらしい。


 時間も余ったので他の仕事の内容を教えてもらいつつ昼食の時間まで過ごした。


 昼食の時間になったので、一旦ギルドのある建物に戻って2階の中会議室に案内された。こちらで用意した弁当を食べるためである。予算が無いからギルド側で用意できなかったことについて再び謝ってきたので気にしないでと伝えた。


 正直、我が孤児院の食事とそっちの食事を比べるとその方がありがたいんだよね。我が孤児院メンバー全員(俺やマーブル達を除く)いわく、うちでの食事は他と比べるとあり得ない位美味いらしく、他での食事は勘弁してほしいとまで言っている。だから、気持ちは嬉しいけど無理して用意してもらうくらいだったら自分たちで用意する方がいいそうだ。


 ということで、ここ中会議室では孤児院組だけで昼食を摂った。他のギルド員は各自でそれぞれ食べに行ったりしているようだ。信用されているのか不用心なのかはわからないけど、何を食べているのか見られることはないのは良いことなのかも知れない。


 結局初日はお昼を食べ終わったら解散という形になり、俺らは孤児院へと戻った。


 あとはいつも通り勉強したり鍛錬したりして過ごし、夕食のときにシスター2人にも報告ということで今日行った仕事を伝え合い、入浴したりして今日は終了。


 明日はどんなことをするんだろうか。マーブル、ジェミニ、ライム、明日もよろしく。


 俺は心地よいモフモフとプヨプヨを感じながら深い眠りについていった。




今回もご覧頂き誠にありがとうございます。

毎日更新は流石に厳しいですが、できる限りこまめに更新していく予定です。

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