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第4話

こちらの作品、書籍の電子版が発売しました!

TOブックス様からの発売になります!

3月19日に書籍版も発売予定です!

↓表紙になります!

挿絵(By みてみん)



「ナーサ。このくらいにしてあげてほしい。色々、問題のある子だけど、しっかり教育するから」

「あ、あんたのせいが半分くらいあるわよ!」


 それは言いがかりだ。

 助けるのをやめよかと思ったけど、私は続けて口を動かした。


「それに……ナーサに憧れている人もたくさんいる。みんなの見本になるべき人だし……これ以上は」


 周りの人たちも、騒然とした様子で見ている。

 宮廷の人たちは、それなりにナーサに対して理解があるようだけど、遠くからも気にかけるような視線がいくつもあった。

 ……これ以上、ナーサを自由にしていると、そんな人たちから尊敬されなくなってしまうのではないだろうか?

 ナーサの身を案じての提案に、彼女はにこりと微笑んだ。


「そうだな。ただ、ルクス。部下への指導のやり方について気になったことはないか?」

「将来のことを考えると……興味ある」

「だろう? 今そのやり方を教えていると言ったら?」

「なるほど。続けても問題ない」

「助けるなら、最後までやり遂げなさいよぉ、ルクス!」


 ラツィが悲鳴を上げながら、ナーサの腕を掴んだ。

 ラツィの顔が険しくなったと思うと、彼女の体から魔力が溢れ出てきた。

 無理やり肉体を強化したと思ったら、次の瞬間、ナーサの腕から逃れでた。


 ……渾身の力を籠めたのだろう。あまり他人に見せられないような顔になっていたし、今も肩で息をしている。

 ラツィは拳を構え、臨戦態勢を整えている。

 そんな様子を見届けたナーサは、満足そうに笑った。


「こんだけ元気ならこき使えそうだな。実戦でも期待しているからな」


 ナーサはそのまま歩き去っていき、ラツィもようやくといった様子で安堵の息を吐いた。


「まったく……ルクスもアレアも酷いわ。友達が殺されそうになっているのに助けてくれないなんて!」

「でも、自業自得だったし。ね、アレア」

「あ、あはは……ど、どうでしょうか……?」


 ラツィは頬を膨らまし、腕を組んでそっぽを向いた。

 まだ、元気そうだけどいじけてしまったようだ。

 仕方ない。


 私はアレアとともに静かに列で待っていた。

 改めて見てみると、今回の仕事で集められた人たちは……皆若いだろうか?

 これから仕事をする、と言うよりも何やら旅行にでも行くような雰囲気の人さえもいる。


 悪い言い方をするなら、緊張感がないって感じだ。

 まあ、ナーサもあんな感じだったし、実はそんなに深刻じゃないのかもしれない。

 ずっと気を張ることはできないんだし、このくらいの空気の方がいいのかもしれない。

 そんなことを考えていると、近くの人から気になる話が聞こえた。


「今回の総指揮はガルス様が行うのよね?」

「うんうん聞いた聞いた!」

「私も! ガルス様が総指揮するっていうからすぐ立候補しちゃったわ!」

「もしかしたらお話くらいできるかもしれないしね!」


 またか。

 ガルスってやっぱり人気なんだ。

 確かに容姿は整っているし、かなりの実力を秘めている。


 一度は手合わせしたいと皆も思っているのかもしれない。

 それなら、人気なのはわからないでもない。

 周囲の話し声に耳を傾けていたのは私だけではなくラツィもだ。

 私の前にいたラツィが首だけをこちらに向けてきた。


「そういえば、ルクス。あたしまだ詳しい話聞いてなかったんだけど?」

「詳しい話?」

「ガルス様となんだか仲良いわよね、あんた?」

「別に仲良くない」


 大変不服である。

 ガルスがこの前、私に声をかけてきたこともあって、周囲の視線は色々と変化している。

 探るような目には何度もさらされてきて、またかという気持ちが強い。


「だってこの前の舞踏会で庇ってもらってたじゃないの。どんな関係なのよ?」


 私は恋バナというのが大嫌いだった。

 冒険者時代に何度かパーティーを組んだこともあり、その時の女子達に色々と聞かれたことがあったけど、私に一切の経験がないので話すような内容はなかった。

 刀を振っていた方がよっぽど楽しいくらいだ。


「……それは、たまたま。ガルスが優しい人なんじゃない?」

「そもそもガルス様のことを呼び捨てだなんて!」

「私はみんなのことそう呼んでるし」

「それはそうかもしれないけど……でも、そもそもね! ガルス様は冷たい……ってわけじゃないけど、むやみやたらに他人を助けるっていうタイプでもないわよ! だから、気に入られているのよルクスは! 羨ましい!」

「なら、交代する?」

「え!? 代わってくれるの!?」

「できるのなら、代わりたい」


 そうすれば、宮廷内での探るような視線もなくなるはず。


「いやぁ……ルクスさんとラツィさんは身長とか性格とか全然違いますから……無理だと思います」

「うう! アレアと違って胸の差はそんなにないのに!」

「お、大きな声で言わないでください……!」


 アレアが恥ずかしそうに顔を俯かせる。

 私も彼女を助けるように、ラツィをじっと見た。


「ラツィ、アレアも恥ずかしそうだし……そういう話は小さな声にするんだよ」

「口に出さないでくれませんか……っ!?」


 アレアがそう叫び、ラツィが楽しそうに笑った。


「ねぇ、そういえばこれから行くルエコムンドだけど、みんなは行ったことあるの?」


 ラツィの言葉に私とアレアは顔を見合わせる。


「そうですね。私も何度か行ったことがあります。……友人もいますから、とても心配です」

「……友人。無事だったらいいね」

「はい。でも、魔物が発生して危険なのはラースベドという街ですので……友人も旅行などしていなければいないはずなので……大丈夫だと信じたいです。ラツィさんはどうなんですか? 行ったことあるんですか?」


 アレアの問いかけに、ラツィは首を横に振った。

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