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野良猫(仮)のあきらめは悪い!  作者:
第1章 異世界旅日記編
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世界が変わったって衣食住の問題はついて来る

つたない内容ですが、これからよろしくお願いします。

 佐藤家にはとある呪いがある。佐藤家直系の人間は小説が1本書けそうな程の恋をする。しかも、その相手とは17歳になる年に出会う。そして、その相手のために必ず1度死ななければならない。例外は、今のところない。





 吾輩は猫である。名前はまだない。

 現実逃避に日本人なら誰もが知っているだろう夏目漱石の有名な小説の冒頭を口にしてみるが全く持って笑えない。

 あ、猫とは言っても一応私には佐藤という名前があるよ。おかしいな。今の今まで普通に日本で高校生していたから人間なはずなんだけどな。






 11月も終わりに差し掛かった寒い放課後。早く帰ってお家で温かいシチューが食べたいと思いながら、教室の扉を開けたはずなのに気づけば青い空の下、私は見知らぬ街に来ていた。


 目線が低い。夢かと思って頬をつねろうとして視界に入ったのは鮮やかな黄色の毛並。

 丁度雨上がりだったのか前方に大きな水たまりが出来ていたので恐る恐る自分の姿を映せば、そこには月の様な銀の瞳に、果物の柚子を思わせる黄色く輝く毛並をした美しい猫がいた。


 体の大きさから言って大人だね。付けている銀色の首輪には金褐色に一本の白い光の線が走ったキャッツアイが埋め込まれていた。あれ、首輪がしてあるって事は私飼い猫なのかな。


 猫に小判ならぬ猫に宝石。私の飼い主は余程私を溺愛しているか金持ちらしい。だって猫目石って結構高価な宝石だったはず。宝石言葉は確か「危険と困難の予知」。ぜひ、この言葉通りに私の身を守るのに役立ってもらいたいものである。



 しかし、猫。猫か。私は高校3年生でもうすぐ大学受験という時期に来ていたため、今日も勉強しながら現実逃避で猫になりて―、一日中寝ていたいと脳内で呟いていたけど、まさかその願いを優しい神様が聞いていて叶えてくれたとか。そんな都合のいい事。



 いや、でも今年の正月に引いたおみくじ大吉だったから年末も差し迫ったここに来てようやくその幸運が訪れたとか! 神様ありがとうございます! 


 一瞬、前に一度お母さんが話してくれた佐藤の呪いの事が頭をよぎったけど、全力で知らないフリをする。


 良い子な私の姿を見てきっと神様がお願いを叶えてくれたんだよ(純粋な目)




 さてと、しかしこの町は戦争後かそれとも人が出て行って長いのか随分と荒廃しているな。


 崩れたコンクリートのビルや魔除けなのか人間の目の紋様が施された趣ある家々の中には草や木に飲み込まれゆっくりと自然の中に帰っているものもいる。黄色や青、赤いランタンが街中に吊るされていて、これが街灯だったのかなと思う。夜にはさぞ幻想的な光景を見せてくれていただろうに残念だ。


 廃街の雰囲気からいって何だか長崎にある世界遺産の軍艦島を思い出させるな。テレビの映像でしか見たことないけど。



 まぁ、ここでじっとしていても始まらないので取りあえず飼い主を探して歩き出す事にする。

 この首輪からして私の飼い主絶対金持ち確定だ。金持ちの豪邸でフカフカのソファやベッドの上で一日中ゴロゴロしてお腹が空いたら美味しいご飯を食べて。そして優しい飼い主さんに甘やかしてもらってって最高かよ! 是非飼っていただきたい! 


 出来れば飼い主は女の子でお願いします。いい匂いの腕に包まれて撫でられて。ぐへへへ。この世の楽園かよ。




 おっと、いかんいかん。猫にあるまじき俗世の欲望丸出しな気持ちの悪い笑みを浮かべてしまったぜ。これじゃ、まだ見ぬ飼い主さんにもドン引きされて捨てられてしまう。



 垂れたヨダレを前足でぬぐい、心もちキリッとした顔で私は歩き出した。



 腹時計ではおそらく一時間経っただろうけど未だに誰にも会わない。

 多少変な視線を感じなかったわけでは無いけど、それは飼い主さんではなく腹をすかせた獣だったというオチだった。


 空はだんだん赤く染まっていき、もうすぐ夜が来ることを嫌でも自覚させられる。


 取りあえず廃屋に忍び込んで眠れば夜露はしのげるだろうが、温かいご飯が食べたいよ~。腹が情けない悲鳴をあげたその時、首輪が光り、現れたのは湯気の出たシチューだった。


 マジで。


 匂いを嗅いでも、温かいミルクと野菜の匂いは間違いなく美味しいことが約束されたシチューそのものだった。


 飼い主様、ありがとう! この首輪は随分と使える子らしい。他にも出るかなとデザートのチョコケーキもお願いすればちゃんと出てきた。


 もしや、お金もと思えば金貨が数枚出てきたが猫に小判はあっても使えない。どうしようと思えば、すっとお金は空気に溶けるように消えた。便利。


 有難くシチューとケーキを頂き、お皿を消して満足した私は今夜の宿探しを始める事にする。






 空が一瞬暗くなったのを不思議に思い、ふと空を見れば優雅にドラゴンが飛んで行きました。うん、賭けてもいいけどここ絶対地球じゃねぇ! 


 チートな首輪の存在といいここは魔法が実際にある世界なのかな。世界情勢とかも知りたいしやっぱり知的生命体には会っておきたいよね。魔法使いとかおとぎ話な世界から来た人だから是非ともお会いしたい。


 この首輪の性能からいって、この猫の飼い主さんは魔法使いだという事は大いにあり得る。

 いや、飼い主さんが女の子だったら魔法少女とかいい響きだよね~。(ジュルリ)


 まぁ、でも今日は夕暮れだから遭遇は明日になるかな。今宵の宿はどこにしよう。


 目の前のツタに絡まれた白い塔は立派だ。しかし、神の姿絵が彫り込まれ、上から金箔をはられている様子からして宗教施設っぽい。一晩の宿代わりに使うとか罰当たりそうだからやめておこう。


 てか、この神様の姿、衣装と言い顔立ちや髪型も仏さまの姿にそっくりだから妙な懐かしさが。ふと上を見ると屋上に何やら黒い人影が見えた。


 お、第一町人発見! と、嬉しくなった所で、私は弾かれたように駆け出した。


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― 新着の感想 ―
改行無さすぎて読みずらい( ; ; ) 面白そうと思って開いた瞬間に、文字の羅列がもう津波のように押し寄せてきた感じ……_(›´ω`‹ 」∠)_ 一段落、せめて五行とかに区切って、段と段の間に1行空…
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