危機回避
前回投稿から10日以上経過しちゃいました・・
ですが、この作品はのんびり書くことにしてますので今後もこのくらい時間が空くと思います
もう何日も前、宙に浮かんでる青い板によって、この場所がシブヤというのが分かった
けども、そんなことはどうでもいい
今この状態は危険だ!そう思いながらもゆっくりと歩を進めていく
このままじゃ命が危うい、なんせ今の状態は――――グゥゥ…――――空腹すぎて眩暈がするほどだからだ
どこかに飯はないか?そんなこと考えながら歩いていると、とてもいい匂いが漂ってきた
その匂いに誘われるまま私はフラフラとまるでゾンビの如く彷徨った
歩き続けていくと、ついに匂いの原点に辿り着いた
ここはどうやら店のようだ
店ということは金を出せば飯が食える!
目の前に餌をぶら下げられた獣のように私はその店――ナイト・リミテッド~芳しい乙女の集い~――に入っていった
正直このときは店の名前とか全く気にしなかった
だが、それがすぐに後悔に繋がることになった
「いらっしゃいませ『ナイト・リミテッド』へようこそ!…って野郎じゃねぇか!男に興味はない!帰れ!!」
店に入ると髪を金色に染め、耳に牛の鼻輪のようなものをたくさん付けてる男にそう言われた
その言葉に私は怒った
「貴様!私は客だぞ!?客を無碍に扱うとはどういう了見だ!!」
「男は客じゃねぇ!この店は女性が楽しむ場所であってあんたみたいなオッサンが来る場所じゃねぇんだ!常識を知りやがれ!!」
「お、オッサン!?私はまだ21だ!!貴様は人の見る目を嗜め!!」
「マジか!?…ってんなもんどうでもいいんだよ!!さっきも言ったとおりここは男の来る場所じゃねぇ、帰んな」
頑なに私を入れることを拒むこの男に苛立ちを募らせ、本当の意味で怒ってしまった
―――――――だが、それは内心に収められることとなった
男に掴みかかり、殴り合いでもしてやろうか!と思い、拳を振り上げたときだった
グゥゥゥゥ……
周囲に響き渡るほど大きな音が鳴った―――――私の腹から
自分が空腹であることを知られるのは恥ではない、だが
今この男と口論してる最中ということ、更に周りには私達のやりとりを見る見物客が犇いていた
そんな状況だからか、私の顔は自分でも分かるほどに赤く、熱くなっていた
恥ずかしい…その思いだけが私の中でグルグルと回り続け、この場から去ろうと思ったときだった
「プッ!なんだあんた腹減ったてたのか!もしかして空腹で頭回んなくてここが飯屋だと思ったか?あんた面白いな!!」
今の今まで口論をしてた相手に同情され、尚顔から火を噴きそうになった
もう、ここまで貶められたのならいっそこの男を始末してやる!!
そんな考えに頭が切り替わったときだった
「そんなに腹減ってるなら軽く食わしてやるよ。あぁ、もちろん金は貰うけどな」
そういうと男は店の中に案内してやると言ってきたのだ
なにはともあれ、これで飯が食える!そう安堵した
店の中に入ると煌びやかな装飾が壁や天井の至る所に飾られ、そこにいる者も宝石などをたくさん使った装飾品を身に付けていた
女は様々な派手な色の服を着てはいるが、肌の露出が多く大事なところをギリギリ見せないように保っている
男はさっきの男同様、金色ではないが茶色だったり私と同じ銀髪の男もいた
だが、女と違い服は同じ、全身黒い服の男と白や青といった少し落ち着いた色の服を着ていた
そして、女みたいに宝石の付いた装飾品は見当たらなかった
一応ゆるい首輪をしていたが、アレに意味はあるのだろうか…そう思ってしまう
そんなことを考えているうちにさっきの男が少し離れた位置まで歩いて行ってしまっていた
急いで追いかけていくと、男は扉を開けて待っていた
「この中で待っててくれ、今料理持ってきてやるからよ」
そう言い残して男は去っていった
部屋の中に入ると、店の明るさ、煌びやかさとは打って変わってとても質素な部屋だった
机が数台と長い椅子が二つ、縦に長い箱が何個も横に連なって置いてあるくらいだった
まぁ、店の裏側はこんなものか、と納得し長い椅子に腰掛けてさっきの男を待った
数分経過したころ、コツコツと靴音が聞こえてきた
靴音はどんどんこちらに近づいてきていた為、私は警戒し始めた
手元に武器はないが、今まで見た人間だと『けいさつしょ』の人間以外に強そうな奴は居なかったから素手でも大丈夫だろう
靴音がこの部屋の前まで来て――――止まった
なんだ?なにが起きる?
緊張のあまり、ゴクリと喉を鳴らしたその時だった
バンっ!と大きく扉を開かれ、何者かが入り込んできた
―――侵入者か!!
そう思った瞬間、私は己の力を信じて侵入者に突撃した
人影を確認し、その陰から凡その体格を読み取り、対応策をいくつか考えながら前進し、この程度なら数発殴れば倒せると踏み、襲い掛かった
「いやー、すまんな!遅くなっちまったな!ほら飯持ってきたぞ!」
「あっ」
気がついたときにはもう遅かった
振られた腕はすでに顔面に当たる寸前
ここからいくら止めようとしても止まらない
済まない…と心の中で謝りながらそのまま腕を振り切った
拳に人の顔を殴った感触が伝わり、男は『ブギャ!』という不思議な泣き声と共に後ろに飛んでいった
その姿を見て大丈夫か?と声を掛けようとした時、私の視界にある物が映った
四角い板の上と半月上の器が二つ、丸く薄い皿
これらはそのままならばなんの興味もなく、無視するところだが
一つの器の中から汁が零れ出ているのが見えた瞬間に私は動いた
そう、あれは間違いない―――飯だ!!
「落としてなるものかぁぁぁぁ!!!!」
飯の乗っていない四角い板は無視し、器二つと皿を根性で掴み取ることに成功した
汁は若干零れてしまったが、他は無事なことに安堵し、ホッとため息をついた
「……そういえば」
ようやく手に入れた飯だが、持ってきてくれた男に礼を言ってないことに気がついた
「私の為に貴重な食料を無償で分けていただき、誠に感謝する。貴様の分まで私が美味しくいただくので安心してくれ」
殴られて気絶してる男に手を合わせながらそう言うと反転し、飯食べるために長い椅子に座ることにした
目を閉じ、手を合わせ、いつもの言葉を呟き食事をする
「豊穣の神トゥイネに感謝します」




