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五、戦闘 二

 仁と橋本大統領は、対アンドロイド砲を撃ちまくっている。

 第二の扉が突破された。

 凛はアンドロイド兵に向って、銃を連射した。仁が応援に駆けつける。

 弾と弾がぶつかり合い火花が散る。


「仁、ここ、もたないわよ!」


「君たち、脱出しよう」


 橋本大統領のかけ声に、凛は防衛室の扉を閉めた。すぐさま、アンドロイド兵達が防衛室の扉を壊しにかかる。

 橋本大統領が、部屋の隅に行った。ボタンを押す。隠し扉が開きエレベーターが現れた。橋本大統領が飛び込む。西九条通兼、仁、凛、シチューが続く。

 エレベーターの扉を閉める。降下するエレベーターボックス。

 アンドロイド兵達が防衛室の扉を焼き切っている。

 エレベーターが止った。飛び出す橋本大統領。


「この通路をまっすぐいけ。私は上を爆破する」


 西九条通兼と凛、シチューが先に行く。仁は橋本大統領と残った。

 橋本大統領が壁にあるつまみを回すと、モニターが現れた。防衛室の内部が映る。アンドロイド兵が飛び込んできた。きょろきょろと部屋の中を見回している。


「今だ!」


 橋本大統領は爆破ボタンを押した。

 ドドーン!


「走れ!」


 ガガガガン、ガン、ガンガン!

 大きな塊がエレベーターボックスに落ちて来る。

 エレベーターの扉が歪む。通路の壁、天井が崩れる。

 橋本大統領と仁は頭を低くして走った。遠くに出口が見える。

 出口の先は海の中の洞窟だった。洞窟の入り口からもれるあかりに波が青く反射する。


「こっちだ」


 橋本大統領が砂地に飛び降りた。洞窟を回って、外に出る。別荘へ向う小径を気づかれないよう慎重に登って行く。


「この上に出ると、シャトルの駐機場まで少しだ。シャトルを奪ってナニワに逃げよう」


「しかし、宇宙から攻撃されたら、どうするんです?」


 刈谷が質問する。


「彼らは街を攻撃せんよ。地球の官僚達が何を考えているかわかったよ。彼らはいずれ、地球日本から全国民をタトゥに移住させる気なんだ」


「なんですって!」


 凛が叫ぶ。


「しー!」

 西九条通兼が注意する。あわてて、口を塞ぐ凛。橋本大統領が続ける。


「刈谷君、ナニワに戻ったらぜひ記事にしてくれたまえ。

 全国民が移住したら、住宅やインフラが不足するのは目に見えている。

 彼らが我々に住宅の建設をどんどんやらせている理由がやっとわかったよ。

 普通高校を作らせない理由もね。技能工高を作り、家の建て方を教え、大量に職人を育ててるんだ。普通高校を作らないのは、未開発の惑星だから手に職のない人間はいらないときかされてきた。確かに一理ある。だが、本当の目的は大量に職人を育てるのが目的だったんだ。我々は全地球日本人が移住する為の捨て石なんだよ」


「ええ! でも、ロボットにやらせればいいのに」


「むろんロボットも使う。しかし、ロボットより人の方が安上がりなんだ。

 その上、官僚達は、移住が完了したら他の惑星との交流を一切断つつもりなんだ。

 鎖国だよ。時代錯誤も甚だしい。

 三本木君がちらりともらした言葉でわかったよ。彼はこう言ったんだ。

 『単一民族による一惑星支配』とね。

 これが、地球日本官僚の野望だ。確かに領土問題のない平和な世界になるだろう。

 しかし、人は異文化に触れてこそ、成長がある。外からの刺激のない世界にどんな未来がある。日本は今よりもっと活力のない国に成り下がるだろうよ。

 さ、着いたぞ。あれがシャトル駐機場だ。いくぞ!」


 崖沿いの小径を登って行くと、シャトル駐機場が見えた。シャトルを守っているのは二体のアンドロイド兵だった。仁と凛が光線銃で、二体を倒す。四人と一台はシャトルに走った。シャトルに乗り込もうとすると、中から人が出て来た。


「待っていたよ。橋本君」


 三本木大将だ。


「必ずここに来ると思っていた」


 三本木大将の光線銃は橋本大統領をピタリと狙っていた。

 四人は手を上げた。


「悪いが橋本君以外は死んでもらう」


「やめたまえ、彼らは関係ない。民間人だ」


「いや、あなたを庇って戦った以上、スパイです。スパイであれば、撃ち殺しても問題ない」


 三本木大将が刈谷仁を狙う。トリガーに力を込めた。



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