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第一話:誕生日
雷鳴が轟き、雨粒が窓を叩きつけている。
男はそんな音も耳に入らないほど、白い髭をなでながら考え込んでいた。
「お……か……さん。……うさ……ん」
あれから眠り続けて、月が出てきてからもずっとうなされている。
子供の成長は早いもので、セイランと名づけた赤子はもう五歳になった。祝いの品を買おうと市場に行くと、セイランは売られていた腕輪を見て大はしゃぎ。
あれほど目を輝かせていたのに、と男の顔は険しかった。
「……おじい……ちゃん?」
「ここにいるぞ、セイラン」
ねぼけまなこではあるが、セイランが目を覚ましたことで男は胸をなでおろした。
今日のことを覚えているのかと尋ねたが、セイランは首を横に振っている。男はまず目を合わせ、そして何かを取り出してセイランの手を取った。
「今日は誕生日だからな。これをあげよう」
「これって……あの腕輪? ありがとう、おじいちゃん!」
腕輪のことは覚えていたらしく、セイランは無邪気に目を輝かせている。男はセイランの小さな手を、しっかりと握った。




