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軍人の絆または、男と女を同じ瓶に入れてはいけない。

お久しぶりです。

 軍人さん達の絆を描いた、手堅いドラマであった。

 わたしがいつも観ているアメリカの20世紀FOXよりも、イギリスのHBOあたりがつくりそうな。


「わたし」は男性になったり女性になったり視聴者になったりと、めまぐるしく視点が変わっていった。

 たぶんきちんと一話目からではなく、飛び飛びに観ていたからだろう。

 一応古い順から観てはいたらしく、レギュラー陣が段々老けてはいっていた。



 軍人さん達の絆を描いたと言っても、スティーブン・スピルバーグとトム・ハンクスがタッグを組んだ「バンド・オブ・ブラザーズ」のような戦中ものではない。

 どちらかと言えば現代。途中一話だけクラッシックなコスチュームと武器が出てきていたが、あれは多分、部隊創設の回想シーンか何かだろう。



 あぁ脳が覚醒しつつある。急いで書きとめねば。




 一話目は……なんだったか。


 一番強烈に覚えているのは、どこかの訓練所の話であった。

 どうやら少数精鋭を要請する場所のようで、女性2名、男性1名、途中1名参加。

 それから寡黙で切れ者の教官を、何故かダニエル・クレイグが演じていた。

 ちなみに他の役を演じていた俳優さんは、顔は知っているものの、名前は知らない人々。


 ダニエル・クレイグ教官に見守られながら、彼らは特殊訓練を受けている。

 訓練と言っても「ベタに」重火器を扱うものよりは、作戦の立て方であるとか、心理戦であるとか、ものすごく精密でアパートのひと部屋に張り巡らされたくらいの大きさの爆弾の解除の方法であるとか。

 そんなものを学ぶ……と言うよりは、既に知っていたものをより精査していた。


 ここら辺は夢を見ていたわたしの趣味だろう。


 訓練生である男性1名は優男だ。

 背はひょろりと高く、まぁこの訓練に耐えられるくらいだから脱いだら凄いんですの、きちんと鍛えられた筋肉の持ち主ではあったが、やや撫で肩のところといい、こげ茶色の瞳と柔らかそうな髪と言い、まぁ~軟な印象を与える男である。

 若いころのキアヌ・リーブスを想像してもらえると分かりやすいだろう。



 対する女性2名の内、ひとりは「マッチョな」方である。

 その気質そのもののまっすぐな濃い金髪を首の後ろでひっつめにして、目は……いつも細めている為良く覚えていないが、グリーンかグレイ。柔らかい色ではない。

 たたき上げの軍人タイプらしく、ドレスよりもTシャツと迷彩服が似合う。

 ただ、後半他の訓練生(試験的に入ってきた「過去のある」若い女性達)に吊るしあげられそうになるシーンで下着姿を晒していたが、シミ一つないなめらかな、美しい肌の持ち主であった。


 もう一人の女性は、「マッチョな」彼女よりは少々背が高いが、受ける印象はとても柔らかい。

 ミンクの毛の様な濃い栗色の髪と目を持ち、体つきもほっそりとしている美人だ。

 教官とのブレイン・ストーミングの時以外は、いつも柔和な微笑みをそのぽってりとした小さな唇に浮かべている。

 大衆受けを狙って、上層部が軍隊の広報に選ぶようなタイプ。ただし、中身は外見通り柔らかいわけではない。



 途中参加してきたのは、その柔らかい方の女性の上官のようだ。

 軍隊の階級としてはダニエル・クレイグ教官よりも高いらしく、「総司令官殿」と皆に呼ばれていた。

 実際の階級が何かは、観ていたわたしが詳しくないので、あいまいである。

 彼は仕事大好き、軍隊LOVEな人間らしく、書類仕事に厭き、より高みを目指す為に、その訓練所行きを辞退した部下の代わりに来たらしい。その部下のことを「なんともったいない事をあの若造が」と罵っていた。

 黒人さんで、服の上からでも筋肉の分かるマッチョさん。

 両目はあるけれど、「アベンジャーズ」のサミュエル・L・ジャクソンを想像していただければ、分かりやすい。



 年齢や外見、軍隊での立場はそれぞれ違うものの、彼らは訓練所でうまくやっていたようだ。

 考え方は違うものの、彼らはプロであり、その訓練所にいる目的は恋のさや当てでも火遊びでもなく、技術を学びより「強く」なる為だったから。


 が。トラブルというのは常に起きるもので。でないと物語が面白くなくなるもの事実なわけで。


 まず、途中参加した「総司令官殿」が抜けた。

 理由は良く分からない。


 夜中に腹が減ってパントリーでこっそりおかゆ(オートミールではなく、米の白粥)を食べた後、色々あって、翌朝荷物をまとめて去っていくシーンだけしか観られなかった。

 書き忘れていたが訓練所は貴族のマナーハウスのような建物で、部屋の壁紙や柱の装飾、窓の飾りなどに随所にそれが見て取れるのだか、そんな部屋のひとつで教官と美人女史がブレインストーミングをしている時に、司令官殿は出て行った。

 車の音と、なにかに気づいて3階(だと思う)の窓から身を乗り出し、女史が叫ぶ。「総司令官殿、何故?」と。


 その後ろで妙に豪勢な椅子に腰かけている教官がどんな表情をしていたかは、影になっていて良く分からない。


 足首までありそうな長い革のコートに黒シャツ黒パンツ、黒の編み上げブーツ姿の司令官殿は、声に振り返り肩に担いだ黒いザックを背負いなおしながら一言だけ返して去っていった。

「訳はブライアン(ライアンだったかもしれない)に訊いてくれ」と。


 ここで視聴者であるわたしはようやく、訓練生のひとりである優男君の名が分かったのである。


 ブライアンもしくはライアンくんはいつの間にやら教官と女史がいた部屋に来ていたのだが、総司令官殿のその言葉と教官のもの問いたげな視線に、最初は不思議な顔をしていたけれど、なにか思い当ったのか、沈んだ表情を浮かべた。そんな彼に教官が言うのである。

「お前は優秀な軍人だ。だが根本的に他人(ひと)への関心が欠如している」と。

 言われたブライアン君(もうこれで統一しよう)の顔がそれでさらに哀しそうに歪んでしまったから、彼自身もそれを知っていたのだろう。



 それと総司令官殿が出て行ったの因果関係は分からないが、弊害は徐々に明らかになっていった。



 総司令官殿が出て行った後、軍隊の上の方が何か手をまわしたのか、少数精兵養成所であったはずの訓練所に、女性達が大挙して訪れる。

 彼女達は皆「訳あり」で、「生きる術を学ぶ為に」訓練生に志願してきたらしい。

 元からいたマッチョな女性は訓練の質が下がると眉をひそめ、彼女が危惧したとおり、訓練の内容は軽いランニングや組み手、何故か牛の乳しぼりというモノになってしまった。



 しかもここからまさかのラブ展開である。


 新人訓練生のひとり、すらりと背が高く、勝気な化粧美人の女性とブライアン君が男女の仲になった。

 ラブ展開と書いたものの、そこに愛が存在しているかどうかは分からない。

 教官とともに講師役をしていたブライアン君に化粧美人の彼女がモーションを掛けてきて、そう言う関係になったようだが……ブライアン君は元から彼女達には紳士的に接していたし、彼は常に微笑んでいるけれど、教官から「他人への関心が欠如している」と評された男である。

 対する化粧美人さんも、恋するというよりは獲物を前にした様な笑顔を浮かべているし。


 そしてさらに問題なのは、ブライアン君のお相手が、彼女だけではないということである。

 ここでマッチョな女性が切れた。


 彼女も実はブライアン君の事を……?なんていうのではなく、彼女が愛していた訓練所が、ただの恋のさや当ての舞台と成り下がったことに激怒したようだ。

 恋だか愛だかそれ以外の感情にどっぷりつかり、訓練をさぼる新人たちに厳しく接するマッチョさん。

 新人たちも彼女の事を煙たがっていたらしく、ついに両者の仲は決裂。マッチョさんを新人たちは厩舎に呼び寄せるという形でぶつかった。


 経緯はわからないが、編み上げブーツに下着姿で囲まれるマッチョさん。

 彼女自分の格好や囲まれているという状況をまったく気にしていないようで、ライフル(だと思う)のトリガーに手をかけ、化粧美人さんにぴったり照準を合わせている。


 狙われているはずの化粧美人さんは「あたしが銃くらいでびびると思ってんの?」と、そんなマッチョさんを鼻で笑い、自分の過去を披歴していく。

 曰く、ストリートで生き抜くためにどんな事でもやったと。盗みやかっぱらい、裏街のボスの女にもなったし、殺しだってしたと。

 化粧美人さんと同じく歪な笑いを浮かべた、周囲の女性達の過去も似たようなもので。


 彼女達の何が、マッチョさんの心を折ったのかは分からないけれど。

 ライフルを下げ、空を見上げて「甘ちゃんなのはわたしの方だったわね……」自嘲するようにそう呟いて、彼女も去って行った。



 訓練所から精鋭がひとり抜け二人抜けしていく現状に、愕然となっているらしいダニエル・クレイグ教官の顔を大写しして、この回は終わる。


 他の話の詳細は、これを書いている内にどこかに消えてしまった。


 元から訓練所にいた「広報タイプ」の女史が、どこかの戦地もしくは任務から訓練所に戻ってくる事になり、訓練所のスタッフ(赤毛茶目、中肉中背の男性)が嬉しそうにそれを家族(奥さんも訓練所のスタッフ)に語っているシーンであるとか。


 ブライアン君が総司令官殿のアパート(潜伏先か住居か分からない)で、キッチン一杯に仕掛けられた爆弾を必死に解除しているシーンであるとか。


 南北戦争時代とは言わないけれど、マカロニ・ウェスタンに出てきそうな古めかしいコスチュームで闘っている訓練所創世記の人々であるとか。


 そんなのがあったと思う。


 恋愛ものやSFに飽きたら、いつか書こうと思う。

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