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おうちデート(?) 表情豊かな能面男編

本編との繋がりは一切ありません。

攻略キャラとお姉ちゃんが恋人設定。

時間軸未定。(たぶん真梨香卒業より前)

糖分過剰。

お姉ちゃんがデレ。

キャラ崩壊。

本編との繋がりは一切ありません。(大事な事なので以下略)

「38度…完全に風邪じゃないですか」

「……大丈夫だ」

「大丈夫じゃないからこうして強制的に寝てもらってるんです。起き上らないでください」


 久しぶりに恋人が部屋に来るというので浮かれてふわふわした気分だと思っていたら、ドアを開けてこちらを見た恋人が開口一番に


「顔色が尋常じゃないので横になってください」


 と言って、ベッドに押し込まれた。熱を測られ、額に濡らして冷やしたタオルを乗せられる。


「薬、どうせまだ飲んでないんですよね? お昼ごはんもまだですよね? 何か簡単なもの作って持ってきます。…起きちゃだめですよ?」


 そう言って寝室を出ていった真梨香まりかはほんの1分で戻ってくる。


「何で冷蔵庫にビールと水しか入ってないんですか?! 今日のお昼とかどうするつもりだったんですか?」

「せっかくだから真梨香とどこかに食べに行こうかと…。夜はケータリングで…」


 今日目論んでいた計画を話せば、真梨香は盛大な溜息をついた。


「……ちょっと買い物に行ってきます。いいですか、寝ててくださいね? 起き上ってうろうろしたりしないで下さいね?」


 まるで幼い子供に言い聞かせるようにそう言うと真梨香は出ていった。仕方なく言われた通りに横になる。熱の所為か朦朧とする意識の中、恋人の事ばかり考える。せっかくのデートだったのにこんな状態で呆れられているんじゃないかとか、出て行ってしまった彼女がこのまま戻って来なかったらどうしようとか、体調が悪いせいかとりとめもなく回る思考はどこか後ろ向きだ。

 恋人に成れたとはいえ、相手はだいぶ年下だし、立場上しばらくは公にはできないし、彼女の周囲には何かと邪魔者が多い。こんな調子ではいつか愛想を尽かされてしまうのかもしれない。


「真梨香…」


 いつの間にか意識が沈んでいたらしく、気が付くと1時間ほど経っていた。汗で張り付いたシャツが気持ち悪い。起き上ってみるといつの間にかベッドの横に着替え用のスウェットなどが畳んでおいてあった。寝ている間に真梨香が戻ってきたらしい。汗ばんだ部屋着を脱ぎ捨て、着替えていると、ドアが開いた。


杏一郎きょういちろうさん、取りあえずお粥とお薬を……っ!!? ご、ごめんなさい!」


 部屋に入ってきた真梨香がこちらを見て慌てて後ろを向く。下着とパンツは穿いていたが、上半身はまだ裸だったせいだろう。狼狽したように震える肩、後ろから見える耳が真っ赤な事に悪戯心が起きる。


「あの、お粥とお薬ここに置いておくので、着替えたら食べて薬飲んでまた横になって休んでください…っ!」

「…良い匂いだな。食べさせてくれないか?」


 上半身裸のまま真梨香の後ろから手を回し、盆を受け取る。そのまま真梨香ごと抱きしめて耳元で囁けば、眼下の耳朶がさらに真っ赤になった。売れた苺のような色になったそれに、つい歯を立ててしまう。華奢な肩がビクンと震える。


「やっ…だ、だめです」

「食べさせてくれないのか? 俺の為に作ってくれたんだろう? そのお粥」

「わ、分かりましたからちょっと離れてください。零れます!」


 あんまり苛めすぎたらいけないと思い、仕方なく離れる。真梨香はホッとしたように振り返ろうとして、こちらがまだ上半身裸なのに気づいて再び後ろを向く。


「とりあえず、早く上を着てください」

「今更それほど恥ずかしがらなくても…」

「こんな明るいうちから平気で眺められるほどは見慣れていません!」


 仕方なしにスウェットを着て、ベッドに入ると、真梨香はやっと枕元に近寄ってきてくれた。まだほのかに上気した頬でちょっと唇を尖らせている表情にまたちょっかいを出したくなる衝動を抑える。今が病人の身の上でなければ、このままベッドに連れ込んでしまうのに、と不埒な事を考えていたら、心を読まれたのか、上目づかいに睨まれた。真梨香よ、その表情かおは逆効果だ。


「ほら、お粥、冷めちゃいますから、口開けてください」


 差し出されたレンゲをおとなしく口に含む。薄めの出汁と卵の甘みが口に広がる。差し出されるままに二口、三口と食べ、完食する。薬を飲んで再び横になれば、買ってきたらしい冷えピタを額に貼られた。


「それじゃあ、今度こそ、大人しく寝ていてくださいね?」


 立ち上がろうとする真梨香の手を掴む。無意識の行動だったので、自分でも驚いて、すぐに手を離すと、真梨香は微笑んで、俺の手を取り布団の中に戻す。


「洗い物片付けたら戻ってきます。そしたら眠るまでずっと傍にいますから」


 その言葉に安堵している自分を自覚して、少し恥ずかしくなりながら、それでも真梨香の言葉が嬉しくて頷けば、頭を撫でられた。いつも自分が彼女にしていることだが、逆の立場になると、嬉しいような恥ずかしいような、複雑な気持ちだ。


 その後、戻ってきた真梨香に付き添われ、ゆっくりと眠ったら、夜には熱も下がっていた。念のためと看病を理由に泊まってくれた恋人に全快したお礼を兼ねてデートのやり直しをしたのは翌日の午後の事だった。

デートじゃなくて看病になってしまった…。でも杏にい、健康体で家に真梨香ちゃん来たら全年齢ではお見せできない展開になりそうなので…ダウンしてもらいました。(笑)

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