1. 中学1年 1月 覚醒?
この作品はフィクションです。実在の人物や団体、地名などとは関係ありません。
わたしは魔法使いだ。
そのことは誰も知らない。
わたしがそれを知ったのは、中学1年の1月。3学期の始業式の日だった。
1月8日木曜日。
昨夜、冬休み中に出された課題をやっと終わらせて安心して眠った。
休み中、夜ふかし三昧だったが、すっきりと目覚めた。
目覚めて、ほんの 2、3秒。
学校を休まなければならないと思った。思ったと言うより囁かれた。
その瞬間、わたしは魔法使いだと気づいた。
何かある。
そう思ったら、起き上がれなくなった。
母が起こしに来た。
わたしは本当のことを言うわけにいかず、言ったところで信じてもらえるはずもなく、いずれ言うにしても、今は嘘をつくしかない。
「熱があるっぽい」
母は
「熱計ってみる?」
と言い、体温計を取りに行った。
熱はあった。37.8℃。
熱に浮かされて、おかしな事を思ったわけではない。今日 学校を休まなければ ならないからだ。
わたしは魔法使いだから…
「お大事に、だって。先生まだ来てなくて言付けお願いしといた」
新学期早々 欠席なんて〜などと言いつつ、母はまったく気にしてないようだった。
熱が高いのだからしょうがないって感じか。娘が魔法使いとも知らず
二度寝してしまい、11時過ぎに朝食をとって
テレビでバラエティーとか ワイドショーなんかを見ていた。
病院に行こうと言われたが、その頃には平熱になっていて様子をみることになった。
「インフルエンザだったらどうする?」
なんて言いながら
「そんなわけないか」
と母。
母は物事をあまり深刻に考えない人だ、と思う。
実際はわからない 。本心は隠して、平気なフリしているのかもしれない。
わたしはわりとイジイジウジウジ考えて、すぐ口にしてしまう。そんな時、母は
“明日は明日の風が吹く”
“その時はその時”
などと言う。
わたしの面倒事から、うまく逃げられたようで 誤魔化されたようで見捨てられてるようで…あまり好きな言葉じゃない。
娘が魔法使いだなんて信じるはずない。
1月9日 金曜日。
今朝も熱が出た。
魔法をかけたわけじゃない。
ベッドの中で目覚めた時 頭がボーッとして 節々が痛かった。本当に風邪だったのか。熱は 37.8℃。
「昨日、ちゃんと寝てればよかったんだよぉ〜」
昨日、昼からずっとテレビを見ていて、夜ふかしもしてしまった。
今日休んじゃうと、土日と成人の日と三連休になるから五連休…と言うか、冬休みからの続きみたいなものだ。
おまけに、担任から、冬休み中に出されていた課題提出が今日までなので持って来てほしいと言われたとか。
「帰って来たら病院行くからね」
母はちょっと怒ってる感じ。
数学と国語のプリント。理科と社会のワークブック。英語のノート(お正月三ヶ日の日記。もちろん英語で書く)。書き初め。成績表。まとめて本屋の袋に入れていた。
「"無病息災"ってのが 恥ずかしくない?」
と言うと
「なんで 選んだのよ」
と母は失笑。
書き初めは好きな文字を書いてよくて、SNSで"書き初め"で調べて一番簡単そうなのを選んだだけで特に意味はない。
魔法関係の文字にすればよかったな。魔法関係の文字って? 呪文とか? 知らないなぁ。
"魔法使い"で四文字だけど…
"魔法使いの弟子"って曲あったじゃん!
「あーーっ!バカ !私ってバカだーっ!」
ベットの上で両手足をバタバタさせた。
「あー書き直したい!」
でも、もう持ってっちゃったしな。あの時はまだ魔法使いだって気づいてなかったんだから。
「まぁ いいか … でも 書き直したーい!」




