Beとの出会い
「…い……おい……起きろ…悟」
重低音の様な声が
頭の中いっぱいに鳴り響く
悟は目をゆっくりと開いた
そこには1面真っ白な世界
悟以外は誰もいない、
いや、悟自身も
肉体とは違うような
半透明な體になっている
「ここは…」
「起きたか、悟」
どこからともなく響く声に悟は周囲を見渡すが
誰もいない
「夢……いや、俺は確か…死んだ?じゃぁここは…」
悟はさっき、敵から放たれた弾から戦友を庇い戦死したはずだった。
「その通り、お前さんは死んだ」
またあの声だ
「誰だ!お前…」
「わしか?わしはBe…」
「Be?」
「いかにも、」
「お前、閻魔様か?死んだらあの世に行くと聞いていたがここは…」
「ほっほっほっ、相変わらず日本人は純粋だの。」
Beは笑いながら話を続ける
「人間は死んだら一度魂のあるべき場所と呼ばれる場所に帰るだけじゃ。そもそも天国も地獄も存在しておらんでな」
Beはそう言うと
空間の隙間からヌゥっと姿を表した。
「っ…?」
その姿はまるで中国の仙人の様な出で立ちだが
頭は長く肌の色は奇麗な青色をしている
映画に出てくる宇宙人の様だ
「初めまして…ではないんだがの、悟よ」
Beは呆気にとられる悟を目尻に会話を続けた
「お前さん、地球を救う氣はあるか?」
「なっは?いきなりなんだよ…地球を救う?」
「いかにも、お前さんが生きておった惑星地球は今深刻な病に侵されておる」
Beはそう言うと、空間にスクリーンを出し映像を見せながら説明を続ける
「はるか昔、この宇宙では大きな大戦が繰り広げられていた。自分達の欲望のままに様々な星の資源を略奪し自分達さえ良ければという利己的な考えで動いていた、ドラゴニアン率いる帝国軍。その考え方とは対象的に全ては話し合いで解決し貿易や対等な交渉から和平をもたらそうとする防衛軍。この2つは相見える事なく激しくぶつかり合っていた。防衛軍は【愛】という宇宙の普遍的なシステムとエネルギーを使い、フリーエネルギーによって賄っていたが帝国軍の軍事力は圧倒的で次第に宇宙の端に追いやられていったのだ。そうして辿り着いた先が惑星地球。悟、お前さんがついさっきまで生きていた星じゃ。」
SF映画の様な説明と映像を見せられた悟は到底信じられない様な顔をしている
「ちょっと待ってくれよ、そんな映画じゃあるまいし。帝国軍?防衛軍?まるで映画のオリオン大戦じゃないか。」
「いかにも、お前さんの言うオリオン大戦は実在した宇宙の大戦じゃ。追いやられた物は仕方なく、捨てられた星である惑星地球へと逃げ延びそれを追ってきた帝国軍側もまた地球へと転生したのじゃ。そして、帝国軍側は僅かな幹部達のみを厳選し地球へとある罠を仕掛けた」
「罠?」
「そうじな。いたる所に記憶を消す装置を設け宇宙の記憶を消したのじゃ。惑星地球から出ようとする者達はその罠にかかり殲滅される仕組みになる」
「なんで帝国軍はそんな事を…」
「エネルギーじゃよ、お前さん達が魂と呼ぶ存在の根源となるcoreが全ての者には存在しておる。
そのcoreには莫大なエネルギーが保有され一人の魂を爆発させると星が1つ消え去る程の威力を持っている。帝国軍はそのエネルギーを我が物にしようとやっきなのじゃ。」
「…それと、これと何の関係があるんだ?」
「大アリじゃ。惑星地球は深刻な病におかされていると伝えた。そなたが死ぬ原因になった第四次世界大戦。これは間違いなく帝国軍側の介入が起こった事を意味しておる。」
「何のために?」
悟は冷や汗を書きながらBeの話に耳を傾けた
「目的は1つじゃ。宇宙で行われたオリオン大戦を地球で再現する為」
「何でそんなっ…そんな意味不明な事が原因で俺たちは戦争をしてきたのか!?」
「先程言ったろう?魂には莫大なエネルギーが保有されていると。そして何よりも、【人間】という生物には大きな秘密が隠されている」
「秘密?」
「人間に付属された【感情】というものはエネルギーを大きく生み出すのじゃ。幸福ならプラスのエネルギーに、悲しみや怒りはマイナスのエネルギーに、特に怒りというエネルギーは帝国軍には持ってこいのエネルギーじゃ。宇宙の核兵器を作動する為に必要なエネルギーだからの。帝国軍は【感情】という機能を使って永遠に仲間れ出る憎しみのエネルギーを生み出す装着を作りたいのじゃよ。戦争とは1番怒りや憎しみといった、彼らが欲しいエネルギーが手に入るからの。その為にはその星に生きる者たちに絶望を与え、地球という惑星を病にかからせるのが1番なのじゃ。悲しみ、憎しみ、怒りといった病にの。地球はすでに数百年前からこの病を抱えておるのじゃ」
Beはどこか遠い目をしながら
髭を撫でた。
「悟よ、惑星地球を救ってほしい。その任務に付いてはくれんか?」
Beは真剣な表情で悟に向き直し真っ直ぐ目を見ながら伝えた。
「っ…言いたいことはわかった。だけど何で俺なんだ?俺は普通の人間だし、ただの歩兵だ」
「お前さんは…いや、そなたは忘れておるだけじな。宇宙の全知全能のエネルギー。そのエネルギーを扱う為の術であるフォースというものがある。お前さんはオリオン大戦時代英雄として生きた魂なのじゃ。」
「俺が?」
「そう、わしは。わしらはずっと見ておった。この問題を解決するに相応しい魂を。そしてその魂が育つのを待っておったのじゃ」
「待てよそれが俺?」
「そうじゃ。我らが宇宙の聖騎士よ。愛の星へと成長を遂げる事を心に決めた地球を救ってくれ。この通りだ」
Beは先程までの態度を一変させ悟に深く頭を下げた。
「地球は生きておる。そして時期に出産を迎える」
「は!?」
スケールが壮大すぎて追いつかない。
「地球が出産?生きてる?」
「そう。地球も生き物なのじゃ。今地球は出産する為にとても重要な時期におる。そこに来てこの戦争。間違えば星2つ分の破壊が起こってしまう」
そのBeの言葉に悟は言葉を失った。
先程のBeの言葉をあげれば、
人一人のエネルギーで星が吹っ飛ぶならば
地球、ましてや星2つ分のエネルギーが爆発すれば
どれ程の規模の被害なのだろうか?
宇宙など信じていなかった悟だったが
今現にこうしてへんてこな宇宙人が目の前にいる
そして悟の直感は嘘をついているようには
見えなかった。
「なぁ、Be,本当に宇宙はあるのか?」
「ある」
「宇宙があるなら、銀河もあるのか?」
「ある」
「…そこに生き物…いや生物は住んでいるのか?」
「お前さん達人間の様に、命を持った者たちが生活している。」
悟は絶句した。
理科の授業で見た惑星の写真は岩肌でとても人や生物が住んでいるようには見えなかった。
しかし悟はその写真を見る度に
違和感を拭えなかったのだ。
生前感じた違和感と
Beの言葉が頭の中でリンクする
「地球が爆発したら被害は」
「…計り知れんが、恐らく銀河が3つほど飛ぶだろう」
「…」
銀河が3つ。
地球という小さな規模での戦争とはわけが違う。
今現在、地球には80億の人間が存在している
種族関係なく生物で数えるなら100億は有に超える。
それを遥かに凌ぐ量の生き物の命が悟にかかった瞬間だった。
「わかった。Be。その任務受けるよ」
「すまない、感謝する」
Beは再び頭を下げると
表情が一変した
「お前さんを元居た地球へと戻す。しかし記憶はそのままに出来るよう。わしらの仲間が介入する手はずになっている。」
「どうしたらいい?」
「戦争を止めよ」
「は?戦争を止める!?どうやって?」
「お前さんならわかる。大丈夫じゃ」
Beはpieceサインを贈ると
思考の働き出した悟をさっさと元居た場所へと移送する為の幾何学を展開し始めた
「大丈夫じゃ〜!お前さんには特別手当を用意しておるわい!」
「ちょっ特別手当ってまだ話は…」
「話すより體で覚えよっ!えい!」
Beがそう言うと
悟は眩い光に包まれていく
「何かあったら心の中でわしを呼べ〜」
にっこり顔のBe
なんだか騙された様な氣もしないが
任務を受けた以上
遂行するしかないと腹を括り
悟はそっと目を閉じたのであった。
「大丈夫ですかね?」
悟が消え去ったあと、Beの背後にはこれまたてんこ盛りのような頭に目が3つ着いた不思議な存在が姿を表した
「おぉ、レグザ来ておったのか」
レグザと呼ばれたその男は静かにBeへと尋ねる
「彼はまだ記憶が戻っていません」
「…大丈夫じゃ。彼は【あいつ】の生まれ変わりだからの」
少し寂しそうにBeはそう呟くと
空間の裂け目からその場を後にした
レグザもそれに続く。
先程まで悟達の居た空間は誰も居なくなると
その存在が幻だったかのように消え去り
混沌とした黒だけが残ったのだった。




