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無能と呼ばれた灰属性の司書、禁書を読む力で幽閉王女を救い王宮の闇を暴く  作者: 関澤諭


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8/11

三人の連携と、灰の領域

 空気が、爆ぜた。


 観測体が一斉に動き出す。


 音はない。だが、圧だけで分かる。


 ――速い。


「来るわよ!」


 リシェリアの声と同時に、最前列の観測体が踏み込んできた。


 黒い刃が、一直線に振り下ろされる。


「右、二歩!」


 ユイトが叫ぶ。


 リシェリアが即座に動く。


 刃が空を切り、床を裂いた。


「次、後ろ!」


 背後から別の観測体。


 だが、ユイトの声に合わせてリシェリアが回避する。


「……見えてるのね」


「読んでいます!」


 短い応答。


 だが、それだけで十分だった。


 ユイトの視界には、“流れ”が見えている。


 攻撃の順序。


 移動の癖。


 すべてが、一本の線のように繋がっていた。


「セリアさん、左三体!」


「了解」


 セリアが踏み込む。


 無駄のない動き。


 黒い制服が揺れると同時に、観測体の一体が崩れた。


 速い。


 そして正確だ。


 だが――


「数が多い……!」


 リシェリアが叫ぶ。


 次々と迫る観測体。


 囲まれ始めている。


「ユイト、どうする!」


「……範囲を広げます!」


 ユイトは目を閉じた。


 深く息を吸う。


 そして――


 灰色の魔力を、広げた。


「――展開」


 空気が変わる。


 目には見えないが、確かに何かが広がった。


 観測体の動きが、わずかに鈍る。


「これ……」


 リシェリアが驚く。


「“読める範囲”を広げています」


 ユイトは言う。


 額に汗が滲む。


「その代わり、消耗も激しいですが」


「なら短期決戦ね!」


 リシェリアの瞳が強く光る。


「一気にいくわよ!」


「合わせます!」


 セリアが低く答える。


 三人の動きが、揃う。


「前列、三体来ます!」


「任せて!」


 リシェリアが一歩踏み込む。


 魔力が爆ぜる。


「――止まりなさい!」


 圧力が叩きつけられる。


 観測体の動きが一瞬止まる。


「今です!」


 ユイトの声。


 セリアが飛び込む。


 鋭い一閃。


 観測体が二体、同時に崩れた。


「まだ来る!」


 ユイトが叫ぶ。


 背後、左右、上。


 全方向からの攻撃。


 だが――


 読める。


 すべて。


「右上、遅い!」


「もらった!」


 リシェリアが撃ち抜く。


 観測体が崩れる。


「左、フェイント!」


「見えてる」


 セリアが最小限の動きで回避し、反撃。


 音もなく、消える。


 三人の動きが、完全に噛み合い始めていた。


 だが――


「……まだ多い」


 ユイトが呟く。


 数は減っている。


 だが、まだ残っている。


 そして何より。


「……奥にいる」


 空間の奥。


 動かない存在。


 他とは違う気配。


「あれが、核です」


 ユイトは言った。


 確信だった。


「なら――」


 リシェリアが前を見る。


「そこまで行く」


「援護します」


 セリアが位置を変える。


 ユイトは魔力をさらに広げた。


 視界が揺れる。


 負担が大きい。


 だが、止めない。


「道を作ります!」


 ユイトの声。


 動きが見える。


 わずかな隙間。


「今、直線!」


「行く!」


 リシェリアが駆ける。


 観測体の間を抜ける。


 セリアが左右を切り開く。


 ユイトが後方を読む。


 三人で、一つの動き。


 そして――


 到達する。


 最奥。


 そこにいたのは。


 一体の、異質な観測体。


 他と違う。


 動かない。


 だが――


 圧が違う。


「……これが」


 リシェリアが息を呑む。


「核です」


 ユイトが言う。


 その瞬間。


 “それ”が、ゆっくりと顔を上げた。


 そして――


 笑った。


 人間のように。


「――ようやく、来た」


 声が響く。


 今までとは違う。


 明確な意志を持った声。


 空気が、凍る。


「……ユイト」


「はい」


「これ、やばいわよね」


「はい」


 即答だった。


 だが――


 ユイトは一歩前に出た。


 灰色の魔力が揺れる。


「……でも」


 静かに言う。


「読めます」


 その言葉と同時に。


 “核”が、動いた。


 次の瞬間。


 空間が、歪んだ。


 戦いは、次の段階へと進む。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

第8話では、三人の連携による本格的な戦闘と、灰の力の新たな使い方が描かれました。

そしてついに現れた“核”となる存在。

これまでの観測体とは明らかに異なる、強い意志を持った敵です。

第9話では

・“核”との本格的な戦い

・灰の力のさらなる踏み込み

・観測体の正体に関わる重要な核心

が描かれます。

物語の大きな山場に入っていきますので、ぜひ続きも読んでいただけると嬉しいです!

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