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家
「家が幾つあってもいい。君が安心できる場所を持つんだ。」公園で老人が演説する。感心した人々はたまには実家に帰ろうかと考えた。
しかし、故郷の実家はいつまで家であり続けるだろうか。
青年は数年後親を亡くし、実家の周辺を何年振りかに散策した。ガキの時分に遊んだ公園は様変わりし、あたりの家々も見知らぬものばかりであった。
突如として青年はかつて公園で演説していた老人の言葉を思い出した。ああ、家は私の手で守らねばならないということだったのか。青年は自らの不孝を嘆いた。
老人は今日も例の公園で安心して暮らしていた。彼の家は公園である。




