涙
たくさんの作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとう(^人^)ございます
今回はジオラス視点ですm(_ _)m
どうしてこんな事になっているのだろう?
ほんの少し前までは普通だったのに。いつも通りだったのに……。
アリサが唇を震わせながら声を殺して涙を流している。
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和装でのお出かけは、日傘をさしての徒歩になるのだなと学習した。良い事だ。馬での移動よりゆっくり安全にアリサの近くに居られる。日傘と着物の相性も抜群で、アリサが大人っぽく見える。尊い。
それでもいつもの時間に観察を始めて、いつもより時間をかける、という事もなく、ゆるりと観測の時間を終えた。後は帰城の徒につくだけ。だから学園の裏門へ向かって歩いていたんだ。けれど裏門を目前にしてアリサが何かに気付いたようだった。急に来た道筋を逆戻りしようとする。日傘の存在を忘れて地面に落とし転がしながら。当然俺もアリサの兄君も、警務の面々も止めようとした。だがアリサは自身の唇の前に指を一本立てて声を出さぬようにと意思と指示を無言で伝えて来た。思わず全員が彼女の要望に従ってしまう。結果、彼女を無言のまま追う形となった。
彼女は何かを探しながら道を逆走しているように見えた。探している風ではない。とても必死に、真剣に何かを捉えようとしている。俺が気付けたのは一つ。その何かは地面に近しい場所には無いであろうという事だけ。次第に彼女はいつもの道筋を逸れ、学園の一角に広がる森を遠景に臨める位置まで来た。学園の校舎の中に入れれば高みから森を見られる場所もあったかもしれない。しかし長期休暇中でそれは望めない。校舎を背にして森──その上空に何かがあると気付いたらしき彼女が目を見張った。じっと切なげに何かを凝視し続け、静かに、そっと涙を溢した。
アリサが何を見て泣いているのかが分からない。俺達には何も見えないから。ただ夏のまだ青い空が広がっているだけだ。森の木々は青々というよりも黒々と繁っているだけだ。鳥が時折飛んでいるだけだ。ただ、それだけ。特筆すべき何かなど何も無い。
アリサ。何故泣いているの?
アリサ。どうしてそんなに切なそうな顔をしているの?
アリサ。ねえ、アリサ。どうして?
どうしたいの? 俺はどうすれば良いの?
アリサ……………。
「……アリサ……」
アリサの兄君が名を呼ぶと、彼女はのろのろとファルゴル殿の方へと振り返った。彼が彼女を呼ぶように両の腕を開くと、素直に兄君の腕の中へと収まる。
アリサはただただ静かに泣き続けた。
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それでも何とか帰城して、今は入城手続き中。
手続きとは言っても、元々が外出許可を取ってのものなので、いつもなら何の問題も無く入れる筈だった。それなのに初めて見る顔の門番(? 門番にしては服装が違う。門番も二人以上で詰めて居るので顕著に目立つ)が、何故かアリサに目を付けた。たぶん泣いた跡に気付いたのだろう。彼は彼でアリサを気遣ったのだろうけれど。アリサが嫌がる気配を見せたので、俺は咄嗟に背に庇った。珍しく警務の面々も自分の身体でアリサを隠そうとしてくれている。それが不審に見えたらしい。普通の門番と初見の門番が食い付いて来た。その結果……我々はこれまで決して知り得なかったアリサの兄君ファルゴル殿の怖さを突き付けられる。
ファルゴル殿はアリサを両腕で抱え込み、威圧を放ったのだ。門番達や警務の面々の反応からして、おそらくその辺の騎士より凄いもの。牙を剥いた狼のような鋭い眼で別人のよう。正に子を庇い守ろうとする群れの狼。
一触即発。
アリサはファルゴル殿の腕の中から動こうとしない。
俺達は一歩も動けなくなった。
誰かが報せに走ってくれたのだろう。
睨み合いはアリサの父上であるアリシア伯爵が迎えに来てくださるまで続いたのであった。
アリサが何故泣き出したのか、彼女が何を見ていたのか?
作者にも分かりません。
一月近く放置しても泣き続けるので書いてみました。
アリサ、泣かないでと慰めてくださる優しい方は
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