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【本編完結】とある(残念)イケメン観察…しない残念令嬢  作者: 東逆西さんぽ


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203/204

番外編 / 歌

数ある作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとうございますm(_ _)m

久々の番外編です。



 (元)元帥が眠りに就いて二年目の冬。

 社交の始まり。

 この年には既に、アリシア家当主ユナスは堂々と王都での社交に背を向けていた。

 現在王都に出て来ているのは、当主代理の嫡男ファルゴル。次に当主の妻にして代理の母親ディアナ。最後にアリサ。

 この年ユージンは父及び祖父レイモンドと領地にて留守番をしていた。




 さて、それはそれとして、遣って来ましたプレ公演当日。

 王都が華やかだろうが何だろうがハリシアには関係無い。寧ろ年末年始の準備に忙しい時期である。

 そんなハリシアに何処からともなく音が届けられる。


『にゃぎゃ~! 投げるにゃ迦陵頻伽様の馬鹿ぁぁぁ!』


 ハリシア人なら大変に聞き慣れた声、アリサの叫びである。


『歌? 歌えだぁ~!?』


 時折彼女は自分が令嬢である事実を忘れる。言葉遣いも。


『お断り致します。何だって他所様に歌なぞ……』

『残っているのは、御子の家族と、王家と奉納の為の楽団だけ。何よりハリシアへ声を届ける』

『………』


 どうやら迷っているらしき沈黙が訪れる。


『もう一つ、理由。シメサツの守護精霊へ、鎮魂歌』

『本日は別に命日でも何でもありませんが……………歌いますよ。歌えば宜しいのでございましょう!?』


 聞き慣れない妙音が流れてくる。しかし旋律はアリサの鼻歌系列だろう。おそらくだが、こんな奇っ怪な音楽はアリサが『迦陵頻伽様』と呼んだ大いなる存在が鳴らしているのだろう。間違ってもアリサが音楽まで担当しているとは思いたくない領民である。アリサは何でもありあり過ぎる。


『ヴあああぁぁぁ! (しょ)っぱなから何だってこんな難しい歌ぁ!?』


 やはり曲その物はアリサが奏でている訳ではないらしい。

 静かにピアノの音から始まる。が、前振りが長い。なかなかアリサの歌声が聞こえてこない。同じ旋律が繰り返されているところから、おそらくアリサの踏ん切りがつかぬのではなかろうか?

 それでもやがて静かに響いてくるアリサの歌声。元気娘とは結び付かぬしっとりとした歌。どこか寂し気で、悲し気で。それでもサビに向けてどんどん勢いを増していく。朗々と、力強く、畳み掛けるように。最後はまた静かに。

 だが歌は一曲だけではなかった。

 何曲も何曲も紡がれる。

 次第に領民も気付いた。


 ハリシアを歌っている。

 苦難のハリシアを歌った歌だ!

 当時への応援歌だ!!


 年寄り達の目には涙が浮かんでいたり、しみじみとうつむき加減になったり、若者よりも反応が大きかった。




 辺境の城兼屋敷でアリサの歌を聴いていた前領主レイモンドは、そっと片手で目元を覆いながら歌に耳を傾けていた。その背を擦る当代領主ユナス。

 その二人にそっと背を向け部屋を後にした当代末子のユージンは声も無く呟いた。


「姉ーね、効果覿面過ぎるよ」








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