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## 完結後特別編 # 「そして、春は続いていく」

## 完結後特別編


# 「そして、春は続いていく」


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完結から数年後。


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陽太、48歳。


りさ、46歳。


ひなた、23歳。


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時間は流れた。


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でも。


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「ねえ陽太」


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朝から聞こえる声は変わらない。


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陽太は新聞から顔を上げる。


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「なんだ」


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りさが笑う。


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「今日も好き?」


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陽太は吹き出した。


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「まだ聞くのかよ」


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「聞く」


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即答。


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結婚して二十年以上。


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なのに。


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変わらない。


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陽太はコーヒーを飲む。


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「好きだよ」


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りさ


「よし」


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毎日確認している。


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二十年以上。


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陽太


「確認しすぎだろ」


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りさ


「大事だから」


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その日の昼。


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スマホが鳴る。


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ひなたからだった。


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『今日帰るね』


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陽太は少し笑う。


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夕方。


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玄関が開く。


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「ただいまー!」


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帰ってきた。


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でも。


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その後ろに知らない青年がいた。


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陽太


「……誰?」


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ひなた


「あ」


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りさ


「あ」


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青年


「はじめまして」


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陽太


「誰?」


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ひなた


「彼氏」


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沈黙。


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陽太の思考停止。


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りさは横で笑いをこらえている。


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青年


「いつもお世話になっております」


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陽太


「なってない」


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ひなた


「パパ落ち着いて」


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陽太


「無理」


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その夜。


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食卓。


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青年は礼儀正しい。


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優しい。


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真面目。


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欠点が見当たらない。


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陽太


(余計に困る)


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りさ


(昔の陽太に似てる)


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ひなた


(やばい面白い)


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食後。


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青年が帰った後。


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ひなたが聞く。


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「どうだった?」


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陽太


「……いいやつだった」


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ひなた


「でしょ」


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陽太


「悔しいけど」


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ひなたは笑う。


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そして少しだけ真面目な顔になる。


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「パパ」


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「ん?」


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「ありがとう」


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陽太


「なにが」


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ひなた


「ずっと家族でいてくれて」


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陽太は少し驚く。


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ひなたは続ける。


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「私ね」


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「この家好きなんだ」


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「ずっとうるさくて」


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「ずっと同じ話してて」


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「ずっと幸せそうで」


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「だから帰ってきたくなる」


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陽太は何も言えなかった。


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りさが隣で笑う。


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少しだけ目を潤ませながら。


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「私も」


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夜。


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ひなたが帰ったあと。


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陽太とりさ。


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二人だけ。


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静かなリビング。


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りさが言う。


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「ねえ陽太」


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「ん?」


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「覚えてる?」


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「なにを」


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「あの公園」


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陽太は笑う。


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忘れるわけがない。


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人生が変わった場所。


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りさ


「もしあの日」


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「うん」


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「もう一回やり直せるって言われても」


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陽太は答えを知っていた。


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「やり直さない」


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りさ


「だよね」


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二人は笑う。


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だって。


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今があるから。


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失敗も。


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後悔も。


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遠回りも。


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全部必要だった。


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窓の外。


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春の風が吹く。


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あの日と同じ風。


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でも。


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もう願わない。


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戻りたいとは。


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陽太はりさの手を握る。


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「ありがとう」


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りさは少し驚いて。


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そして笑った。


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「こちらこそ」


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春は終わらない。


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家族の形を変えながら。


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ずっと続いていく。


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## 『人生を変えられるなら』


### 本当の完結



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