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守人

「ほーん、近くで見るとやっぱ高いなぁ」


 俺・テトラ・ライチ・ロアンでさらわれたギョクロとチユキを助けるため、頂上にあるらしいというブルーオーシャンを奪取するため高層の塔「正義の聖剣」の足元部分へとやって来た。


「まぁでも塔の攻略はRPGの基本! さくっと終わらせるぞ!」


 ドアが付いていない塔の入り口から足を踏み入れるとこれといって何もない簡素な空間に一人の女性が立っていた。


「お待ちしておりました。エビス様御一行ですね、清廉潔白の間にて守人様がお待ちです。こちらへ」


 アポをとった覚えはないが、守人は俺たちを待っているという。エレベーターガールとおぼしき女性に促され地面に書かれていた円の中に全員入った。


「それでは参ります」


 女性がそう言うと円が書かれていた部分だけ地面が浮き上がり、天井の円とほぼ同じ大きさの穴へ向かって上昇し始めた。


 エレベーターが上層へ向かいはじめて数十分、そろそろじっとしているのも苦になってきた頃、(ひら)けた空間に到着してエレベーターが止まる。


「エビス様御一行をお連れしました」


 エレベーターガールが声をかけたのは軍服とおぼしき格好をした人物。背を向けて外を眺めているため男女の判別が付きづらいが、その体躯はどこかで……


「待ちわびたぞエビス!」


 その人物は昨日見た顔、忙しいからと今回の計画に乗ってこなかった正義の官僚ホテイだ。


「ホテイ……さん……?」


「まさかとは思ったがここに居るとは……」


 テトラもまだ期間が短いとはいえ同じSGFの仲間が出てきたことに動揺を隠せないらしい。


「ここで何してんだよ、っていうのは野暮な質問か?」


「そんな野暮な質問に答えてやろう。私は基本ベシャメルに居ながら時々こうして守人をしている。悪しき脅威からブルーオーシャンを守るためになぁ!」


 悪しき脅威とは俺たちのことだろうか、上級ライセンス持ちのホテイを置いてまで守らなければならないほどのブルーオーシャンとはこの国にとって一体どれほどのものだろうか。待てよ、ホテイは時々守人をしていると言った。じゃあそれ以外の時はどうなっているのか、まさか放置しているわけでもあるまいし……


「一つ聞かせてもらいたいんだが、普段はここに誰もいないのか?」


「普段は他の者がここに在中している。そうだ、エビス達が来たら呼んでくれと言われていたんだった。ちょっと待ってくれ」


 そう言うとホテイはおもむろに部屋の隅に備え付けてあった呼び鈴的なものを鳴らしに行った。


「上で待機してるらしいんだが……」


 直後、天井が爆発して瓦礫(がれき)が降ってくる。避けるのに必死になっていると人が降ってきた。


「ちょっと度々天井破壊するのやめてもらえませんかねぇ?」


「すまんの正義ちゃん、おやぁ? 君らがエビスくん一行かな?」


 よくあることらしくホテイが苛立ちながら注意するが、上から降ってきた六十歳後半以上と見受けられる老人は大して気にも止めず、分かっていたであろうに白々しくこちらに目を向ける。


「し、師匠! 師匠じゃないですか!」


「ん? ん~、誰じゃったかのぉ?」


 老人に対して師匠と呼びかけたライチは老人に向かって歩を進める。確か学園に入る前、入ってからもライチは誰かに手ほどきを受けていたようだった。それがこの老人ってことか。


「なぜ、なぜ姿を消したのでっ……」


「剣士の間合いに入るということは、それなりの覚悟を持たねばならんのぉ」


 ライチが老人の半径二、三歩というところまで近づいたとき、突然老人はライチに刀を向けた。


「覚えてはおらん。覚えてはおらんがのぉ、君は禁忌を犯した気がする」


「なっ……」


「そう、第三の錠を解した……とかのぉ」


 そうか、中級ライセンス試験の二次試験、錠の解放によって暴走したライチを止めたのはこの老人だったのか。これだけ覚えているというのに弟子に剣を向けるのはそういう教育なのか……?


「まぁまぁアルデバラン殿、これからしっかり剣を交えることができますから」


「アルデバラン? その老人が!?」


「そうだ。この方こそ勇者一行が一人、聖剣エクスカリバーを用いて世界を救った大剣豪アルデバラン殿だ」


 勇者一行は四人と聞いていたがラピスラズリを取りに行ったのは三人、この老人アルデバランがここに居たからか。刀を収めたアルデバランからライチは距離をとる。


「というわけで、我々はブルーオーシャンを死守しなければならない。どうしてもというなら………………」


 どういうわけか分からないが、やけに溜めおる。


「……………………私を倒してからにするんだな!!」


 あ~なるほど、これを言いたかったわけだな。シチュエーション酔いの激しいホテイは適切な場面でよくあるカッコいい言葉を言いたがる。端から見るととても痛い。やっと言えたとか感嘆の声をあげるホテイは真剣勝負前とは思えない。


「ふぅ、満足したところで……どうする? 諦めるなら今のうちだぞ」


「諦めるわけねぇだろ! 勝負だ!」


 上級冒険者ライセンス保持者にして官僚のホテイと勇者一行が一人エクスカリバー使いアルデバラン、相手にとって不足はない。ブルーオーシャン奪取のための戦いが火蓋を切った。何かもう一つ大事なことを忘れてる気がするが……

ども!ロカクです(。・ω・)ノ

よしっ、二週間で投稿に至りましたよ!

隔週だ!去年は4話しか進まなかったのに!

このペースを続けたいもんですね(それでも遅筆)!

では、また次回!

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