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エビス先生の異世界学校経営論  作者: ロカク
ロメスコ遠征編
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海神ポセイドン!の遣い

「出やがったなっ!」


 機械と砂の国ロメスコの街からさらに奥、ミサが電波塔の上から見つけた洞窟に入るや否や機械兵に出くわした。


「ロボだねぇ」


「撤退……は無理だな、やるか」


 前方には敵、後方にも砂嵐という名の敵、八方塞がりとなった。となれば選択肢はひとつ、前に進む!


「いくぞぉ! 素晴らしき神の恩寵(アメイジンググレイス)!」


 この技はユグ戦で使った「神の恩恵」の派生技として最近開発したもので、俺の見知った神々の力を俺自身に憑依させることができる。手懐けた奴しか出てこないが、まだどいつが憑依するか指定できないのが難点ではある。


「……ふぅ、今回は誰だ?」


『私よぉ』


 背後霊さながら俺の背後で可視化しているこのおば……じゃない、お姉様は水の精霊ウンディーネだ。神の恩恵系の技はまだ二つしか持っていないが、イフリートも含めて主に神そのものが来るわけではなくその遣いである精霊が来るようになっているらしい。


「あれどうにかできるか?」


『できるにはできるけどぉ……』


「けど?」


『そこは察してよねぇ』


 何か見返りを求めているらしいが何が欲しいか知らない。まずは目の前の問題を解決してからにするか。


「とにかくやるぞ!」


『はぁーい、濃厚海水!』


 海水の塊が機械兵に押し寄せ、みるみるうちに錆びさせていく。ただの海水なら鉄が錆びるのに少々時間がかかるだろうが、なんせ「濃厚」海水なので何かしら錆びを早くする成分が入っているのだろう。


『いっちょあがりよぉ』


「上出来上出来!」


 機械兵が完全にフリーズしたのを確認してウンディーネを讃える。


『それでぇ、報酬なんだけどぉ』


「よし! ミサ行くぞ! ってどこ行った?」


 振り返ると戦闘前には後ろにいたはずのミサがいない。洞窟を出たのか? いや、外に出る理由もないだろう。とすると……


「連れていかれた可能性が高いな」


『私仕事毎に報酬貰うようにしてるのねぇ?』


「やかましい! そんなの後だ! ミサを見つけねぇことには報酬もクソもねぇ!」


『えぇ~』


 一応主従関係ってことで言うことは聞いてもらわなければなるまい。イフリートだったら報酬うんぬん言わないだろうになぁ……


「にしても横穴が多いな」


『そうねぇ、洞窟だものねぇ』


 洞窟だからといって横穴が多いわけではないと思う。

 ウンディーネによるとガイアアクアマリンの在り処をオーラで感じ取っており、そこにミサもいるという。もっとまっすぐ奥ということなので横穴を見る必要がない。


「ロボ出てこねぇだろうな? ん?」


『マスターそっちは関係ないわよぉ?』


「ちょっとこれが気になってな」


 というのはとある横穴の前に落ちているスパナだ。スパナというのはナットやボルトといったネジ的なものを締める工具だが機械都市なので前に作業していた人が落としたとすれば不思議はない。一本道に無造作な横穴という風景に変化があったことが嬉しかった。


「誰かの落とし物か……いや、どうやら有力な情報源のようだな」


 スパナ近くの地面には小さな穴がこの横穴から俺たちが向かう奥に向かって続いている。たしかさっき対峙した機械兵はそんなんでよくバランス保ってられるなと思うくらい足となる部分がドリルのように円錐の形状だった。そんなドリルの先端くらいの穴が所々に開いている。


「ここだけは一見の価値あるだろ」


『しょうがないわねぇ、少しだけよぉ?』


「要領のいい精霊は好きだぜ」


『そういうのはいいからぁ』


 渾身の告白も軽くかわされた。かに思われたが、ウンディーネはまんざらでもなさそうだ。やっぱ愛の言葉はストレートに伝えないとな。


「お邪魔しますよーっと、お~すげぇな」


 問題の横穴に入るとすぐスクラップと化している機械兵の残骸が目に飛び込んできた。あとはスタンドライト付きの散らかった机と小さめの本棚には本と少々のノートがところ狭しと並んでいる。


「どれどれ……」


 一冊のノートを手に取って見てみると中身はロボットの絵と文字がビッシリ書かれている。感心するところではあるが、正直なところ必要はない。もっとここの住人のプライベートな事が書かれていればいいんだがなぁ。


「どれもこれも機械のことばっかりでつまらないわぁ、早くアイドルちゃんを助けに行かないとぉ」


「あいつもそんなやわじゃねぇから心配ねぇよ」


「そうねぇ……ん? 日記ねぇ、機械の設計図よりは面白そうじゃないの」


「なんじゃそれ……なっ!?」


 面白そうだというのが気になってウンディーネの持つ日記を覗いてみるとそこには「前世回帰還研究」というタイトルから文章が綴られていた。


「ここにも前の世界(あっち)に帰ろうとしていたやつが居たってことか」


「まだ生きてるかも……揺れてる!?」


 前世帰還研究を読もうとしたとき、けっこうな揺れを感じた。何か異常があったらしい。


日記(それ)は後にした方がいいんじゃなぁい?」


「そうだな、行くぞ!」


 とりあえず例の日記だけ拝借して奥を目指すが、進むにつれミサのものではない気配を感じるようになってきた。これはただ者ではなさそうだ。

どうも!ロカクです!

ストックがあったんで二週連続投稿です。

さて、何か近年気候がおかしなことになってますよね!春と秋が極端に短いような……

過ごしやすい時期が短くて辛いところではありますが頑張っていきましょう!

では、また次回!早めに投稿します!

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