嘘か真か作り物の世界
本がところ狭しと並ぶ部屋をあとにして洞窟の奥へと進むと一つの扉に行き着いた。
「開けるぞ」
一応ウンディーネの同意を得てから扉を開ける。するとそこは意外にも広いスペースが広がっていた。
「この洞窟ってこんなに広かったのか……」
「エビちゃん!!」
「よっ! 今助け……」
手首を縛られて壁に繋げられているミサに歩み寄ろうとしたとき、一体の機械兵が遮ってきた。
「簡単には渡さねぇってか」
「そりゃそうだよ」
「お前は!?」
床に座り込んでドライバーを右手に持ち、機械をいじるのはことあるごとに俺の前に現れるボーイッシュガールだった。
「ようこそ僕のホームヘ」
「おめーがここの主人だったのか」
「まぁそうなるね」
一瞥もくれず手を動かしながらボーイッシュガールは続ける。
「目的は……僕かな?」
「お前がいるなんて思ってもみんかったわ。俺の目的はガイアアクアマリンの奪還! それがダメならせめてレーザーを止めることだ!」
「あーそういうことか~」
おっ、以外と話が分か……
「でもダメだね」
「何でだよ!」
「んーこれ言っちゃうと問題あるけど……まぁもういっか! そもそも……」
もういっか? 今なら言えることなのか?
「この世界って作り物じゃん?」
「は?」
「うーん、理解しろって方が難しいかな」
突如ボーイッシュガールが言い出した「作り物」という言葉。この世界が作り物だと? こんなリアルな作り物を前の世界の技術力で作れたのか? VRなんてものができて三次元と二次元の境は薄くなってきていたとはいえまだ三次元と二次元を完全に繋げることはできていなかったはず。もしかすると俺の知らない間にそんな技術が出来上がっていて密かに機能していたってことか!? いやまてよ、じゃあ俺の生徒たちやSGFメンバー、この世界の住人たちは……
「頭いいんだろうから整理できたかな? あともう一つ、この世界を作ったのは僕なんだよね。んで、そろそろテストプレイは終わりにして、外に戻って製品化しなきゃいけないからこの世界はぶっ壊して終わりにしようかなーって思ってるんだよ。お兄さんが攻略するの待ってられないから」
「意味わかんねぇよ……」
「まだ分かんないかー、大丈夫! お兄さんはちゃんと生きて帰れ……」
「そういうことじゃねぇだろ!!」
全く理解できない。俺がSGFのエビスとして姫の奪還や、こうして遠征していること。教師として生活し、授業やらライセンス試験やらと生徒たちと過ごした時間、全部がこいつの作ったストーリーだったってことかよ!
「まぁまぁそう怒らないで! お兄さんも本当は勝手にこんな世界に引き込まれて不本意でしょ?」
「……」
「元の世界に戻って全うな教師目指しなよ」
「……るせぇ」
「元の世界では年を重ねてないことになってるからそこは問題な……」
「うるせぇって言ってんだろうがぁあああ!!」
何もかも知っているようなことを言われたとき、それに対してなにも言い返せなかったとき、人というのはなりふり構ってられなくなるんだなって、
「何でそんなに怒るの?」
「おらぁ!」
頭のなかは冷静のつもりでも身体も冷静でいられないときもあるんだなって、身体は頭で動くもんでもないんだなって、
「効かないよ、僕の作品たちが自動的に守ってくれ……」
人は心で動いてんじゃねぇかなって今は思う!
「知るかっ!」
鉄を打つ音が響く。拳は痛いが悪くない。痛みで感傷的な気分を払拭できそうだからだ。
「くそっ! くそっ! こんなの嘘だろうがぁ!」
俺が地面に手をついても機械兵は攻撃を仕掛けてこない。もう最終的な勝利が見えてるから相手もしないということか。
「くそぉ……嘘だと言ってくれ……」
「嘘じゃないわよぉ」
「おまっ、何すんだよ!」
突然ウンディーネに水をぶっかけられた。追い討ちしてくるんじゃねぇよ、今気が立ってんだ。
「嘘じゃないのよぉ」
「だろうな」
「本当に意味分かってるぅ?」
「あぁ?」
一体何が言いたいのか。
「あのさぁ、エビちゃんにとって私たちは嘘なのかな? 偽物なのかな?」
「それは……」
ウンディーネが手を回していたらしくミサの拘束が解けている。もはやそんなことが気にならないくらいこの質問は重い。
「私たちには本当に私たちが作り物かは分からないよ、けど誰かが作り物じゃないって、現実だって言ってくれたらそれは本物に成り得るんだよ!?」
……そうか、なんでそんな簡単なことに気づかなかったんだ。例えるなら当たり前だが大切にしているペットも家族だと言うように、ちょっと体調が悪くて風邪かなと思っているうちに本当に風邪を引くように、ようは気持ちの持ちようであり心のあり方なんだって。
CPUみたいに定められた言葉で話しかけてくるようなやつはいなかったし、一人として「生きてない」やつはいなかった。そうだ。そうだよ、この世界は現実だ!
「ありがとよ、頭冷えたわ」
「物理的に冷やしたおかげねぇ」
「どういたしまして!」
「さぁて、反撃の始まりだ!」
改めて当たり前の尊さに気づかされた。もしかしたら本当の本当はこのボーイッシュガールがいっていることが正しいのかもしれない。だが、信じれば全て本物だ! 今はそれを疑わないことこそが俺のすべきことだ!
どうもロカクです!
花粉症からの流れで鼻が乾燥して非常に痛いです!(つд⊂)
それはさておきもうすぐ60話です!2年くらい書き続けてきましたからねぇ……感慨深いなぁ……(遅筆でなければもっと話数いってる)
こんな話をしていますが話数は関係ないですよね!大事なのは中身!人と一緒で中身で勝負します!
では、また次回!




