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エビス先生の異世界学校経営論  作者: ロカク
ロメスコ遠征編
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王と従者とロメスコと

「どうもー写真届けに来ましたー」


 学校に送られてきた卵と一緒に入っていた手紙に王から産まれたドラゴンの写真を持ってきてくれとあったためこうして持ってきたわけだ。


「何者だっ!?」


「FOAB学園から来ました海老沢という者でーす。エビスで通ってるんですけどねー」


 守衛に止められたがこっちは理由あってきているので少々舐めてかかる。守衛にアポを取ってある訪問者の顔写真くらいまわしておいて欲しいと思ったが、隠し撮りされるのは恐いのでまわさなくていいです。


「これは失礼いたしました。王はここからまーっすぐ行った王の間でお待ちです!」


「あざっす」


 王ご在宅かよ……頭をもたげながら長い廊下を歩く。歩きながら左右を見渡すとこんなに必要かと思うくらいの部屋が並んでいる。しばらく行くと一際大きな扉が現れた。


「ここか……失礼しまーす」


「おっ! よく来たねエビス君!」


 やたらだだっ広い部屋にポツリと王は座っている。さらに横には従者と思われる女性、よく来たと言われても本心は断りたかったですなんて口が避けても言えないよなぁ。


「なるべく早く写真をお届けしようと思いまして、こちらです」


「おー素晴らしい! きれいな蒼いドラゴンだねぇ」


「ですね、では私はこれで」


 目的は果たした。さっさとおさらばしたい。


「まぁ待ちたまえ」


「な、なんでしょう?」


 もう帰ろうと背中を向けていたところさっきまでのテンションからは考えられないような冷たい声が背中に当たったため恐る恐る上体から王に向き直る。


「だいぶ搾取してくれたよねぇ?」


「そ、それは……」


「とりあえず座りたまへよ」


 座ると言ってもこの部屋には簡単に言うと玉座、階段、扉しかなく床に座る他ない。ここはひとつ話に付き合って差し上げるとするか……


「さっき搾取と言ったが私は王だ、財力もあるから大したことではない。君はうちの子に勉強を教えてくれている身でもあるからね」


「……はい」


 もうこれ許してくれる流れだから帰らせてくれても良いのではないだろうか?


「とはいえ王と言えども、いや、王だからこそ国民の勝手な行動を見逃すわけにわいかないんだ」


 お縄につけってことか? それはちょっと今後の予定もあるし、やめてほしい。何とか交渉して金を返すことで許して貰いたい、何年ローンになるか分からないが……前世界(あっち)に帰ることでバックレてしまえばこっちのものか。


「子供たちのために使われたはずだからお咎めはなしとするが、代わりに一つ頼み事を聞いてはもらえないかな?」


 そうきたか。内容にもよるがそれでいいなら話が早い。


「内容も聞かずに了承してくれと言うのは酷な話かな、それというのはとある国の計画を止めることだ」


「計画?」


「あぁ、国の名はロメスコといって砂漠の機械都市として有名なんだけど、奴ら機械開発の技術を使って強力な光化学レーザーを作ろうとしているらしいんだ」


「ちゃんと生き残ってる三国にはなかったということはギリ生き残ってるうちの一国ですか……それとこれとにどういう関係が?」


「その強力レーザーの標的が我が国って訳さ」


 正直ロメスコの存在は知っていたがベシャメル王国において機械は地産地消、輸入はほとんどないためそもそもロメスコと縁もゆかりもないと思っていた。だが敵視されているということはベシャメル王国(うち)が何かやらかしたか、その光化学レーザーを射つことであちらさんに得があるのか……何にせよ射たれるのは危険だが指を加えて見守っているわけにもいかないというわけだな。


「理由は深く聞かないで欲しいんだけど民を守ると思って……どうかな?」


「……分かりました、受けます」


「本当かい!? ありがとう!」


「ですが、計画を止めるというのは具体的にどういうことですか? ボコればいいんですか?」


「いや、争いは最小限にしたい。ってことでロメスコ最高にして最小の宝である『ガイアアクアマリン』を取ってきて欲しいんだ」


 ガイアアクアマリンといえば水を発生させる装置みたいなもの……だった気がする。テレビ何かによると極たまに一般公開されていたらしいが、見るにしても公開毎に抽選で一人とか……それ一般公開って言うのか? と思った記憶がある。


「かなり稀少なものと認知していますが、警備が厳しいのでは?」


「そこを何とかするのが今回の肝ってわけさ」


 なるほど、ル○ンさながらにテクニックを駆使しろというわけか。確かにグレーホールは今回の件にピッタリではあるだろう、しかし俺は善良なベシャメル王国民であり、石ころ一つ盗んだことはない。まぁ、最悪王に罪を着せればいいか。


「了解しました。それでは地図を用意してもらえますか?」


「オッケーだよ! そうだ! 倉庫に武具を置いてるんだけど使えそうなものがあったら持っていってくれたまへ。ルメラ、ご案内を」


「かしこまりました。こちらへどうぞ」


 そうして王の横に突っ立っていた? いや、控えていた年齢にして恐らく二十歳前後の従者ルメラさんに連れられて倉庫へとやって来た。多分物色している間に誰かが地図を持ってきてくれるのだろう。


「……」


「……」


 何か言った方がいいのか? しかしガン無視されると辛……いや、むしろご褒美じゃないか? 何もせずに見守ってくれているのでせめて暇させないようにしよう。


「あの~、ルメラさんはどれがいいと思います?」


「……!」


 しまった! 女子なんだから武器とか防具に興味ない可能性が高い! ましてや王の従者でありメイドさん的立ち位置の人に武具は必要ないだろうしなぁ……ルメラさんどっか行っちゃったよ……


「これはいかがでしょう?」


「えっ」


 興味ないし話しかけられるのも嫌でどっか行ったんだと思っていたルメラさんは小さいタイヤの付いた台座に立つ甲冑を着たマネキンを押して戻ってきた。しかしそこまでしっかりしたのはいらない。


「それはちょっと重そうですね」


「そうですか、私のお気に入りだったのですが」


 ちょっと待って! そこまであからさまにシュンとされるとそれが演技だとしても罪悪感残るからね!? 気持ちよく旅立てないからね!?


「ちょ、ちょっと一回試着してみようかなぁ」


「……!! お手伝いしますね!」


 意外と表情豊かだなぁ、もう何か色々身に付けさせられてはいるがルメラさんが楽しそうで何よりだ。


「できました! こんな感じです」


「……ん?」


 俺が半分寝ている間に甲冑は装備完了していた。が、何とも違和感がある。そうか、兜の代わりに矢で射抜かれたあまり毛を植え付けていない焼け野原のようなかつらを被せられ、顔には特殊メイク的な血やら傷やらが付いているからか。


「首から上の遊び心必要ですか?」


「もちろんです。普通の武将風では気乗りしません。やはり落武者でないと」


 何なのそのこだわり!? 着せる側は面白いかもしれないけど着せられる方は気分が乗らないからね!?


「失礼しますっ! 王の命により地図を……」


「……あ」


「失礼しましたぁ!」


 どうやら驚かせてしまったらしい。とはいえ地図は置いていってくれたので俺だと気づいてくれていることに期待したい。


「えーっと、それじゃあ俺もうちょっと見てから出発するんでもう戻ってもらって……」


「かしこまりました。では、お気をつけて」


 一礼してルメラさんは倉庫から出ていった。とりあえずこの特殊メイクを落として一、二個武具を拝借して出発するとしよう。


挿絵(By みてみん)

どうも!すこぶるお久しぶりです!ロカクです!

どうにも忙しくてしばらく投稿していませんでしたがちまちま書き続けてようやく一話できたのでupしておきますね~

で、次回更新は未定なのですがちょっと間が空いて今までのところを読み返していますと矛盾が所々発生していたり、小説ルールに乗っ取っていない箇所を発見したりしましたし、そろそろ挿し絵も入れたいと思っていますので今までのところを大幅修正+アップデートします!

お話自体はまだ終わる感じでは全然ないので今後ともよろしくお願いしますm(__)m

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