六ヶ所目
「何だよ、これ……おい! 大丈夫か!?」
学校へと戻ってきた俺の目の前には引率を任せたテトラと生徒たちの姿。それは校庭にそれぞれ倒れていて、応答はない。
「話が違うじゃねーか! 襲撃は五ヶ所じゃなかったのかよ!」
「やはり素直ですなぁそれでいて脇が甘い」
現れたのは三人の頭から足先ギリギリまで全身黒い布でおおわれた奴ら。真ん中の声を発したであろうやつは車椅子に座っており、その声には聞き覚えがあった。
「参観日はまだ先ですよギョクロのお父さん!」
「いやはやそうでしたか」
ふんだんに怒気を含めて放った言葉も効かなかったらしいな。ギョクロ父だけが布を取り歩み寄ってくる。
「これが世界征服の序章って訳ですか」
「察しが良いですな、しかしもう終盤なんですなぁこれが」
「何っ!?」
刹那、何かが横を往復した。直後に振り返ると一人の生徒がいなくなっている。これは身体強化か?
「自分家の娘を連れ帰ろうと言うならまだしも人の子を連れていこうとするとはどういうことですかねぇ!」
「価値あるものを持ち帰りたいと思うのは人の性でしょう、この子を人質に王位を譲って頂こうというわけですよ。くっくっく……」
下郎め、取り巻きの一人が抱えているのは次期王女であるロアンだった。最初から間接的に頭を叩く算段だったわけか、やられたな。
「クソッ、そんじゃあここでっ!」
「おっと、分かってるとは思いますがそれ以上動くとこの子供の頭が胴体とおさらばすることになりますよぉ?」
「……分かりました、どうすれば返してもらえるんですか?」
「明日正午この地図の場所までお越しいただきたいですなぁ、王の首を持ってねぇ」
そのやんわりとした語尾とは裏腹に鋭く投げられた紙はどうやら地図らしい。しかし王の首か……
「楽しみですなぁ! フッヒッヒ……」
笑い方統一しろよとは口が避けても言えない状況の中、奴らはワープホールの中へと消えていった。まずはこの場からどうにかするか。
「どうしたもんかなぁ」
「エビス殿!」
「モロゾフか、どうした?」
「セルゲイです! 一文字もあってないじゃないですか! それよりロアン様のGPSがここで途絶えてしまったんですが……ロアン様はどちらですか?」
「それがな……」
今あったことを包み隠さず話してやった。
「何やってたんですかエビス殿!」
「しょうがねぇだろ、手を出したらそれこそロアンに危害が加えられるところだったんだよ」
「そうですか……私助けに行きます!」
「待て! 一人で行っても無理だ、相手も相当準備してきてるだろうからな。お前戦えるか?」
「いざとなったときにロアン様をお守りするため色々とやってはいますが、いざとなってもこのざまでは……」
「いや、お前の力が必要だ! 車で来たんだろ? こいつらを病院に連れていきたいんでこっちに車まわしてくれ!」
「ご学友ですか、承りました」
◆◆◆
「命に別状はないとのことで良かったですね!」
「ひとまずは……な、まだ全員城に残ってっかなー」
四人をテトラの診療所に預けて俺たちは街道を城方面へと上っている。もしまだ戦ってるなら加勢したいところだが……
「……おう、ホテイか? こっちはひとまず落ち着いたんでSGF全員に話がしたいんだがそっちはどうだ?」
『こっちもとっくに片は付いているぞ。それより奇妙なことがあってそれについてこっちからも話がしたい、ほぼ全員揃っているから城に来てくれ』
「了解した」
ほぼ? 今日は全員来てたはずだし、一人いなくてもだいぶ致命的だぞ。何かおかしい気がするが……とにかくさっさと城に行って状況を確認したい。
「ちょっと送ってくれよ」
「私はエビス殿の足じゃないんですよ!?」
「これがロアンを助けるためだとしてもか?」
「それならいたしかたありませんね、早く乗ってください」
「悪いな」
法定速度なんてもんがあるかは知らないが、例えるならボブスレーくらいの早さでセルゲイは城へ向かってくれた。まぁボブスレーをやったことはないが……しかし奇妙なことに心当たりが無さすぎて不安になってきた。うまく事が進めばいいが……
どうも!ロカクです!
土曜二本投稿サード一本目です!
いつも小説を書いてた場所に行けないんでペース落ちるんですが、お付き合い頂ければと思います!
では、また二本目で!




