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ロアン・ファルガイア

 ~二月目前半から中盤辺り~


「ラストはツバキだな!」


「は、はい! 大丈夫です!」


 予定表通りなら大丈夫じゃなきゃ困る。できればスゥについても言及したいところだ。


「移動手段は?」


「むか……いえ、徒歩でお願いします!」


 今何て言おうとした? まぁともかく歩きってことはそう遠くないのか。


「んじゃ、レッツゴー!」


          ◆◆◆


「あれ? あれ? この辺のはずなんですけど……」


「いやいや、ここ一月(ひとつき)くらいその家から来てるんだろ?」


 ツバキの後を付いていくこと数十分、一向にツバキ家にはたどり着かない。もしかして方向音痴なのか? にしてもそうだとすればよくここ一月学校に来て帰れてたよな。


「うーん……あ! ありました! ここです!」


 普通自分家をありましたって言うか?明らかに怪しいが、もう少し泳がせてみよう。


「お待ちしておりましたエビス殿」


 若い男が一人、ツバキの家らしい建物の前で俺らを待ち伏せていた。


「先生! こ、この人が私のお父さんです!」


「お父さんだなんて恐れ多いですよロアン様」


「その呼び方はやめなさい!」


 ツバキ……だよな? しかしどう考えてもあの男をお父さんというには無理がある。


「それではどうぞエビス殿」


「あぁ、どうも」


 ここ数日の家庭訪問を通してこの誘いを断るのがめんどくさいことに気づいた。話が長くなるであろう事と一筋縄ではいかなそうなことを考えると座れるに越したことはない。


「で、あいつは何者なんだ?」


「えっ……」


 通された先、リビング的なところで机を挟んで俺とツバキが向かい合う。出迎えてくれた男はお茶を用意してくれているらしい。


「どう考えてもお父さんじゃないよな?」


「えっと……はい、あの人は私の従者です……」


 なるほどな、それなら合点が行く。だがまだ違和感がぬぐいきれない。従者をつけるほどの身分のわりにこの家はそんなに豪奢じゃない、それ以前にここは生活感が皆無だ。まさか……


「もう一つ、この家で生活してないだろ?」


「うぅ……それも正解です」


「何でこんなことしてんだよ?」


「あ……え……」


「何やってるんですかエビス殿!」


 戻ってきた従者は素早く手に持ったティーセットをテーブルに置いて俺を羽交い締めにし、口を塞ぐ。


「やめなさいセルゲイ! ……すいません」


 いつもなら考えられない怒声を浴びせたツバキは小さく謝る。


「全て……は言えないのですが、ある程度の事はお話しします。改めましてそこにいるのは従者のセルゲイ、そして私の本当の名前は……ロアン・ファルガイアです」


 名前を呼ばれて一礼するセルゲイに俯きそうになる顔をなんとか上げて話すツバキ改めロアン。それにしてもこの世界にもファミリーネームがあったのか、どいつもこいつもファーストネームしか言わないもんだから知らなかった。


「それから……」


「この家は何なんだ?」


「ここは今日のために急遽用意させた仮家です。本家にお招きするとちょっと厄介なので……」


 そこは伏せたいところなのか、まぁそうならなかったわけだから良しとよう。


「つまりお前は何者なんだ?」


「……はい、実は私は……」


「いけませんロアン様……!」


 止めに入ろうとしたセルゲイをロアンが片手で制す。その様子から俺はここに核心があると見た。そして一呼吸置き、


「……次期王女なのです!」


「そうか」


「驚かないんですか?」


「驚いてはいるがそれより全部が繋がって脳が納得してんだな」


 仮の名、従者、本家……そこから導き出される答えはそう多くない。


「そうですか……本当はスゥに譲るつもりだったんですが今のあの子の状況ではさすがに無理なので私が引き受けることになりましたが、何分(なにぶん)私には力がありませんのでエビス先生の学校で学ぶことにしたのです」


「ふむ……まぁどんな事情があれ俺の生徒であることには変わりないわけだからこれからも今まで通りやるだけだし、困ったことがあったら話聞くぞ。隠し事は極力なしにしてもらいたいけどな」


「フフ……ありがとうございます」


 そりゃあ俺にも隠し事はあるからあんまり言えたもんじゃないが、教師と生徒であるからにはお互いにある程度は腹を割った関係でいたいと思う。そのためには……まぁそのうち言わにゃならんだろうなぁ。

どうも!ロカクです!

土曜二本投稿サードです!

先週は投稿できず申しわけありませんでしたm(__)m

気を取り直してまた書いていきたいと思います!ちなみに今さらですが今作のコンセプトは「一話一話を短めに読みやすく!」です!読みやすく思っていただけていれば幸いです!

では、また夜の部で!

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