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5.断罪人のささやかな奇跡
かつて、人は奇跡の女神と呼ばれる尊い存在によって魔法を与えられていたのだという。女神を敬い、光を抱き、罪を犯さず生きる善い人間は、一生に一度だけ、奇跡を起こす権利があったらしい。だから当時は犯罪者などほとんどいなくて、みんな幸せに暮らしていたと。
女神の言い伝え自体は、今も色褪せず残っている。この世界に生きる者なら誰もが知っているのも、恐らく変わらないだろう。
けれど、それが『御伽噺にして昔話』であったのは、遠い過去のこと。荒廃しきったこの世界で、罪を犯さずに生きていけるわけがない。善良なままでは、生き残れない。それを知った私たちの先祖は光を捨て、奇跡を捨て、剣を取って生きる道を選んだ。
今となってはもう、女神の奇跡はただの『御伽噺』でしかなくなって、絵本の中の呪文を唱えてみても奇跡なんて起こらない。辛うじて女神信仰は残っているけれど、人々は祈ることすらしなくなった。それで救われるわけではないのだと、みんなが知っているから。
ああ、だけど。
願わくはどうか、貴方が――
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