18 プロポーズと誘拐
私達はいつも食堂に集まって雑談したり、宿のお手伝いで一日があっという間に過ぎる。
床が光った瞬間、エルが一人で私の前で止まり、服の中から小さな箱を出し言葉を添えた。
「私はココが大好きで愛しい。私は死ぬことのない長い長い時間を共にすることになるが、私の伴侶……妻になってほしい」
「…………」
あまりにも突然だった為、言葉が直ぐに出なかった。ううん、出せなかった。
「私は焦りすぎているな。ココ……困らせてすまなかった」
「……あ、違うんです。プロポーズが初めてだったのと、受け取る時のマナーが分からなくて考えていたんです!
ふつつか者ですが、宜しくお願い致します!」
「ありがとう。ココ、ありがとう!」
後ろでは「お祝いだ!!」と言いながら、宴会が開催されている。
私の薬指にはピンクダイヤの指輪が光っている。その指輪をそっと触れ、結婚するんだという実感が今になって押し寄せてきた。
「良かった。ココネが幸せになってくれて本当に嬉しい!」
「次はお姉ちゃんの番だね」
私はチラッとマルクを見ると、頬を染めてそっぽをむいていた。
結婚式はエルのお城で行われた。
式に呼んだのは、お決まりの人達。ドワーフ族のマッドさんにも参加してもらい。凄く幸せな結婚式だった。
この日の夜は初夜だったのだけど、数日間起きることが出来なくて、エルはみんなからせめられ変なあだ名を付けられたのだとか。
数ヶ月後、久しぶりにスズラン宿へ入る前だった。誰かに口を……鼻の奥がツ~ンとした瞬間、視界がボヤけ意識を手放した。
目を覚ますと知らない部屋にいた。だが、ドアが開かない。誰かに鍵をかけられているようだ。
私は何度もドアを叩き、助けを呼ぶが聞こえてきたのはブヨブヨガエルの声。
「お前はここからは出られない。なぜなら、ローラン王の第一王女様と第二王女様がエルクレイ様の伴侶となるからだ!
お前は癒しの能力を使い国の為に働くんだ!!」
「そんな、エルの奥さんは私よ!
ここから出して!!」
「その部屋からは出られないし、今頃は第二王女様がエルクレイ様の元へ行っている頃だ。もう諦めるんだな!」
私は何度もドアを叩き、手が痛くても諦めずに叩き続けていると。小さな声で訪ねてきた人物がいる。
「キミはエルクレイ様の奥様で間違いありませんか?」
「は、はい。私がエルの妻、ココネです。
あなたは誰ですか?」
「ここを開けますが、静かに私の後ろからついてきてください。いいですね、沈黙ですよ」
ドアが開き、私は見たこともない男性に頷いて応え、1時間くらいついて歩き。そこがアリーシオンの入り口だった。
青年は私の前から立ち去ろうとしたが、私は呼び止めていた。
だって、青年から「助けて」という心の声が聞こえるんだもの。
「待って下さい。貴方のお名前を伺ってもよろしいですか?」
「名乗る程の者ではありませんよ。家族に嫌われた男が名前です」
そこへエルが現れ。青年と私を強制的に連れ去った。
お城へ戻るとみんな安堵していた。そして、青年を見たアルナンが一言。
「ロッド第二王子様、貴方様がココネを助けて下さったのですか?」
「あぁ……バレたか」
「私からの提案なんだが、ココを助けてくれた君を、私の補佐としてここに残らないかい?
無理強いはしないよ」
「……はい! 喜んで補佐をお受け致します!!」
良かった……あれ、立ちくらみかな?
ヤバイ倒れ……ちゃう……。
「ココネ!!」
「面白かった!」
「続きが気になる!」
「早く読みたい!」
と思ってくれたら
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