Chapter6卒業編♯48 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海
向日葵が教えてくれる、波には背かないで
Chapter6卒業編 √文芸部(波音物語)×√軽音部-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海
登場人物
滅びかけた世界
ナツ 16歳女子
ビビリな面も多く言葉遣い荒い。勤勉家。母親が自殺してしまい、その後は一人で旅を続けていたがスズと出会い行動を共にするようになった。
スズ 15歳女子
マイペース、ナツと違い勉強に興味なし。常に腹ペコ。食べ物のことになると素早い動きを見せるが、それ以外の時はのんびりしている。
ナツと共に奇跡の海を目指してやって来た。
老人 男
ナツの放送を聞いて現れた謎の人物。元兵士の男。緋空浜の掃除を一人でしている。Narumi Kishiと彫られたドッグタグを身に付けているがその正体は・・・
中年期の明日香 女子
老人ともう一人の兵士を見送りに来た、中年期頃の明日香。
七海 女子
中年期の明日香と同じく、老人ともう一人の兵士を見送りに来た少女。年齢は15、16歳。
老人と同世代の男兵士1 男子
中年期の明日香、七海に見送られていた兵士。老人、レキ、男兵士2と同じ隊に所属していた。
レキ 女子
老人たちと同じグループの若い女兵士で、年齢は25歳前後。老人、男兵士1、男兵士2と同じ隊に所属していた。老人とは親しかった様子。
老人と同世代の男兵士2 男子
中年期の老人、男兵士1、レキと同じ隊に所属している兵士。
滅んでいない世界
貴志 鳴海 18歳男子
波音高校三年三組、運動は得意だが勉強は苦手。無鉄砲な性格。両親を交通事故で失っている。歳の離れた姉、風夏がいるが仕事で忙しいため実質一人暮らし状態である。文芸部副部長。 Chapter4の終盤に菜摘と付き合い始めた。
早乙女 菜摘 18歳女子
波音高校三年三組、病弱で体調を崩しやすい、明るく優しい性格。文芸部部長。鳴海と付き合っている。生徒会選挙の直後に原因不明の病に襲われ、現在は入院中。
白石 嶺二 18歳男子
波音高校三年三組、鳴海の悪友、不真面目なところもあるが良い奴。文芸部のいじられキャラである。高校卒業後は上京してゲームの専門学校に通うことを考えている。
天城 明日香 18歳女子
波音高校三年三組。成績も良くスポーツ万能、中学生の時は女子ソフトボール部に所属していた。ダラダラばかりしている鳴海と嶺二を何かと気にかけては叱る。文芸部部員。夢は保育士になること。最近は受験前のせいでストレスが溜まっている。なんだかんだで響紀とは良い関係。
南 汐莉15歳女子
波音高校に通っている一年生、文芸部と軽音楽部の掛け持ちをしている。バンド”魔女っ子少女団”のメインボーカルで歌とギターが得意。20Years Diaryという日記帳で日々の行動を記録している。Chapter5の終盤に死んでしまう。
一条 雪音18歳女子
波音高校三年三組、才色兼備な女生徒。元天文学部部長で、今は文芸部に所属。真面目な性格のように見えるが・・・
柊木 千春女子
Chapter2の終盤で消えてしまった少女で、嶺二の想い人。
三枝 響紀15歳女子
波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のリーダー兼リードギター担当。クールで男前キャラ、同性愛者、 Chapter3で明日香に一目惚れして以来、彼女に夢中になっている。
永山 詩穂15歳女子
波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のベース担当。基本はマイペースだが、キツい物言いをする時もある。
奥野 真彩15歳女子
波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のドラム担当。バンドの賑やかし要員。
早乙女 すみれ45歳女子
菜摘の母、45歳には見えない若さ美しさを保つ。優しい、とにかく優しい。
早乙女 潤46歳男子
菜摘の父、菜摘とすみれを溺愛しており二人に手を出そうとすれば潤の拳が飛んでくる。自動車修理を自営業でやっている。永遠の厨二病。
神谷 志郎43歳男子
波音高校三年の教師。鳴海、菜摘、嶺二、明日香、雪音の担任。担当教科は数学。文芸部顧問。Chapter5の終盤に死んでしまう。
荻原 早季15歳女子
Chapter5に登場した正体不明の少女。
貴志 風夏24歳女子
鳴海の6つ年上の姉、忙しいらしく家にはほとんど帰ってこない。智秋と同級生で親友関係。いつの間にか看護師の仕事を始めている。
一条 智秋24歳女子
雪音の姉。妹と同じく美人。謎の病に苦しんでいたがChapter3の終盤にドナーが見つかり一命を取り留めたものの、再び体調を崩し現在は入院中。
双葉 篤志18歳男子
波音高校三年二組、天文学部副部長。雪音とは幼馴染み。
有馬 勇64歳男子
波音町にあるゲームセンター“ギャラクシーフィールド”の店主。千春が登場したゲーム、”ギャラクシーフィールドの新世界冒険”の開発者でもある。なお現在の”ギャラクシーフィールド”は儲かっている。
細田 周平15歳男子
野球部に所属している一年生。Chapter5では詩穂に恋をしていた。
貴志 紘
鳴海の父親、事故で亡くなっている。菜摘の父、潤と高校時代クラスメートだった。
貴志 由香里
鳴海の母親、事故で亡くなっている。菜摘の母、すみれと高校時代クラスメートだった。
神谷 絵美29歳女子
神谷の妻。Chapter5では妊娠していた。
波音物語に関連する人物
白瀬 波音23歳女子
波音物語の主人公兼著者。妖術を使う家系『海人』の末裔、そして最後の生き残り。Chapter4の終盤、妖術を使い奈緒衛の魂を輪廻させ、自らの魂も輪廻出来るようにした。
佐田 奈緒衛17歳男子
波音の戦友であり恋仲。優れた剣術を持ち、波音とは数々の戦で戦果をあげた。Chapter4の終盤に死んでしまった人物。
凛21歳女子
波音、奈緒衛を慕う女中。緋空浜の力を持っており、遥か昔から輪廻を繰り返してきた。波音に輪廻を勧めた張本人。体が弱い。奈緒衛と同じくChapter4の終盤に死んでしまった人物。
明智 光秀55歳男子
織田信長と波音たちを追い込み凛を殺した。
織田 信長48歳男子
天下を取るだろうと言われていた武将。
一世 年齢不明 男子
ある時波音が出会った横暴で態度の悪い男。
Chapter6卒業編♯48 √文芸部(波音物語)×√軽音部-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海
◯1614緋空寺/境内(500年前/日替わり/夜)
波音と一世が出会ってから数年後
月が出ている
緋空寺の境内にいる波音と一世
まだ荒れ果てていない緋空寺の境内
境内の外れの方に奈緒衛のお墓がある
墓石には佐田 奈緒衛と彫られている
お墓の近くには奈緒衛が使っていた日本刀が地面に刺さっている
奈緒衛のお墓の隣には枯れかけた一輪の向日葵が咲いている
奈緒衛のお墓の前に座っている波音
波音は痩せている
少しすると一世が波音のところにやって来る
一世「まだこんなところにいたのか」
波音「妻と子を残して夜出歩くでない、一世」
一世「てめえにとやかく言われる筋合いはねえ、俺は俺の好きなように生きるんだ」
波音「村の者の信頼を勝ち得て、美しい女子と結ばれ、二人もの子を授かったと申すのに・・・お主の頑固さはどうして変わらぬのか・・・不思議でならぬよ」
一世「俺の意志が強いことを忘れたんじゃねえだろうな、波音」
波音「そのようなことを私が忘れるものか・・・(少し間を開けて)お主の瞳は初めて出会った数年前と同じままだからのう・・・」
波音は咳き込む
波音「(咳き込みながら)ゲホッ・・・ゲホッ・・・一世よ・・・私は・・・もう長くない・・・ゲホッ・・・」
一世は波音の隣に座る
一世「何で薬師のところに行かねえ」
波音「(咳き込みながら)ゲホッ・・・行ったところで・・・薬師では私を救えぬよ・・・ゲホッ・・・」
一世「あんたは本当に生まれ変わるのか?」
波音「(咳き込みながら)ゲホッ・・・無論だ・・・」
少しの沈黙が流れる
波音「お主に頼みがある・・・一世・・・」
一世「申してみろ」
波音「そなたに私の葬儀を行って欲しい・・・」
一世「住持の仕事を俺にやらせるな」
波音「しかし以前より決めておったのだ・・・私の葬儀は首を譲るそなたに任せたいと。(少し間を開けて)こればかりは住持様も納得されておる。それに村の者も今のお主には反発せぬだろう?」
一世「俺はもう波音の首に興味はねえ・・・(少し間を開けて)だが・・・図らずともあんたには家族共々世話になっちまった上に・・・命を救われた個人的な借りもある・・・その借りを葬儀で精算出来るなら、喜んで弔ってやろう。どうだ?波音」
再び沈黙が流れる
波音「私も老いたよ・・・一世・・・勘も鈍って・・・身は錆び付いた刀のようだ・・・(少し間を開けて)お主の企んでいることも、もう分からなくなってしまったな・・・」
一世「何も企んじゃいねえよ。俺はあんたの死後、取引した通りに村の奴らの生活を影から支えるつもりだ」
波音「葬儀は取り行ってくれるのか?」
一世「ああ」
波音「すまぬな・・・」
少しの沈黙が流れる
波音「一世よ・・・そなたには姓と名を新たに授けようと思っておる」
一世「頼んでもねえのに死ぬ前に余計な物をくれるんじゃねえ」
波音「そう申すな・・・いつまでも上杉謙信の家臣だった頃の名を使うのはまずい。それに、姓は村の者を束ねる男に必要だろう」
一世「悪くねえ名だったら使ってやるよ」
波音は地面に右手をかざす
妖術を使う波音
波音が右手をかざしたところに、文字が彫られていく
地面に掘られる文字を見ている一世
少しすると波音は右手を地面にかざすのをやめる
地面には”一条 虎吉”と掘られている
一世「意味を教えろ、波音」
波音「一条は、一本の道筋を進むお主の強い意志を表し、虎吉は、お主の鋭い瞳を意味しておるのだ」
一世「一条・・・・虎吉・・・か・・・」
波音「気に入ってくれたかのう?」
一世「悪くねえな・・・あんたが死んだら・・・首の代わりに一条虎吉の名を貰って行くぞ」
波音「うむ・・・」
一世「波音・・・」
波音「何だ?」
一世「てめえがおっ死ぬ前に聞きてえんだが・・・(少し間を開けて)俺や村人じゃ本当に妖術は得られねえのか」
波音「以前にも答えただろう?妖術は全ての者が学べるわけではないと・・・」
一世「あんたの生まれ変わりは妖術を・・・」
波音「(一世の話を遮って)いかなる時も奇跡は起きるが、欲張ってはならぬよ、一世。お主が考えてるほど、妖術は使い勝手の良いものではないのだからな」
再び沈黙が流れる
一世は立ち上がる
一世「俺は俺の好きなように・・・だ。死んでもそいつを忘れんじゃねえよ、波音」
一世は波音から離れ、緋空寺の方に歩いて行く