Chapter6卒業編♯27 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海
向日葵が教えてくれる、波には背かないで
Chapter6卒業編 √文芸部(波音物語)×√軽音部-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海
登場人物
滅びかけた世界
ナツ 16歳女子
ビビリな面も多く言葉遣い荒い。勤勉家。母親が自殺してしまい、その後は一人で旅を続けていたがスズと出会い行動を共にするようになった。
スズ 15歳女子
マイペース、ナツと違い勉強に興味なし。常に腹ペコ。食べ物のことになると素早い動きを見せるが、それ以外の時はのんびりしている。
ナツと共に奇跡の海を目指してやって来た。
老人 男
ナツの放送を聞いて現れた謎の人物。元兵士の男。緋空浜の掃除を一人でしている。Narumi Kishiと彫られたドッグタグを身に付けているがその正体は・・・
中年期の明日香 女子
老人ともう一人の兵士を見送りに来た、中年期頃の明日香。
七海 女子
中年期の明日香と同じく、老人ともう一人の兵士を見送りに来た少女。年齢は15、16歳。
老人と同世代の男兵士1 男子
中年期の明日香、七海に見送られていた兵士。老人、レキ、男兵士2と同じ隊に所属していた。
レキ 女子
老人たちと同じグループの若い女兵士で、年齢は25歳前後。老人、男兵士1、男兵士2と同じ隊に所属していた。老人とは親しかった様子。
老人と同世代の男兵士2 男子
中年期の老人、男兵士1、レキと同じ隊に所属している兵士。
滅んでいない世界
貴志 鳴海 18歳男子
波音高校三年三組、運動は得意だが勉強は苦手。無鉄砲な性格。両親を交通事故で失っている。歳の離れた姉、風夏がいるが仕事で忙しいため実質一人暮らし状態である。文芸部副部長。 Chapter4の終盤に菜摘と付き合い始めた。
早乙女 菜摘 18歳女子
波音高校三年三組、病弱で体調を崩しやすい、明るく優しい性格。文芸部部長。鳴海と付き合っている。生徒会選挙の直後に原因不明の病に襲われ、現在は入院中。
白石 嶺二 18歳男子
波音高校三年三組、鳴海の悪友、不真面目なところもあるが良い奴。文芸部のいじられキャラである。高校卒業後は上京してゲームの専門学校に通うことを考えている。
天城 明日香 18歳女子
波音高校三年三組。成績も良くスポーツ万能、中学生の時は女子ソフトボール部に所属していた。ダラダラばかりしている鳴海と嶺二を何かと気にかけては叱る。文芸部部員。夢は保育士になること。最近は受験前のせいでストレスが溜まっている。なんだかんだで響紀とは良い関係。
南 汐莉15歳女子
波音高校に通っている一年生、文芸部と軽音楽部の掛け持ちをしている。バンド”魔女っ子少女団”のメインボーカルで歌とギターが得意。20Years Diaryという日記帳で日々の行動を記録している。Chapter5の終盤に死んでしまう。
一条 雪音18歳女子
波音高校三年三組、才色兼備な女生徒。元天文学部部長で、今は文芸部に所属。真面目な性格のように見えるが・・・
柊木 千春女子
Chapter2の終盤で消えてしまった少女で、嶺二の想い人。
三枝 響紀15歳女子
波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のリーダー兼リードギター担当。クールで男前キャラ、同性愛者、 Chapter3で明日香に一目惚れして以来、彼女に夢中になっている。
永山 詩穂15歳女子
波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のベース担当。基本はマイペースだが、キツい物言いをする時もある。
奥野 真彩15歳女子
波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のドラム担当。バンドの賑やかし要員。
早乙女 すみれ45歳女子
菜摘の母、45歳には見えない若さ美しさを保つ。優しい、とにかく優しい。
早乙女 潤46歳男子
菜摘の父、菜摘とすみれを溺愛しており二人に手を出そうとすれば潤の拳が飛んでくる。自動車修理を自営業でやっている。永遠の厨二病。
神谷 志郎43歳男子
波音高校三年の教師。鳴海、菜摘、嶺二、明日香、雪音の担任。担当教科は数学。文芸部顧問。Chapter5の終盤に死んでしまう。
荻原 早季15歳女子
Chapter5に登場した正体不明の少女。
貴志 風夏24歳女子
鳴海の6つ年上の姉、忙しいらしく家にはほとんど帰ってこない。智秋と同級生で親友関係。いつの間にか看護師の仕事を始めている。
一条 智秋24歳女子
雪音の姉。妹と同じく美人。謎の病に苦しんでいたがChapter3の終盤にドナーが見つかり一命を取り留めたものの、再び体調を崩し現在は入院中。
双葉 篤志18歳男子
波音高校三年二組、天文学部副部長。雪音とは幼馴染み。
有馬 勇64歳男子
波音町にあるゲームセンター“ギャラクシーフィールド”の店主。千春が登場したゲーム、”ギャラクシーフィールドの新世界冒険”の開発者でもある。なお現在の”ギャラクシーフィールド”は儲かっている。
細田 周平15歳男子
野球部に所属している一年生。Chapter5では詩穂に恋をしていた。
貴志 紘
鳴海の父親、事故で亡くなっている。菜摘の父、潤と高校時代クラスメートだった。
貴志 由香里
鳴海の母親、事故で亡くなっている。菜摘の母、すみれと高校時代クラスメートだった。
神谷 絵美29歳女子
神谷の妻。Chapter5では妊娠していた。
波音物語に関連する人物
白瀬 波音23歳女子
波音物語の主人公兼著者。妖術を使う家系『海人』の末裔、そして最後の生き残り。Chapter4の終盤、妖術を使い奈緒衛の魂を輪廻させ、自らの魂も輪廻出来るようにした。
佐田 奈緒衛17歳男子
波音の戦友であり恋仲。優れた剣術を持ち、波音とは数々の戦で戦果をあげた。Chapter4の終盤に死んでしまった人物。
凛21歳女子
波音、奈緒衛を慕う女中。緋空浜の力を持っており、遥か昔から輪廻を繰り返してきた。波音に輪廻を勧めた張本人。体が弱い。奈緒衛と同じくChapter4の終盤に死んでしまった人物。
明智 光秀55歳男子
織田信長と波音たちを追い込み凛を殺した。
織田 信長48歳男子
天下を取るだろうと言われていた武将。
一世 年齢不明 男子
ある時波音が出会った横暴で態度の悪い男。
Chapter6卒業編♯27 √文芸部(波音物語)×√軽音部-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海
◯1279波音図書館前(昼過ぎ)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276と同日
◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276の続き
波音図書館の前にいる嶺二、千春、雪音
嶺二と雪音はマフラーと手袋をしている
嶺二は紺色の、雪音は白色のマフラーと手袋をしている
マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている
千春は刃の欠けた剣を持っている
千春の姿は誰にも見えていない
嶺二「こんなとこで何をすんだよ?」
雪音「勉強」
嶺二「う、嘘・・・だろ・・・?」
雪音「ほんと。今から新聞を読み漁るの」
嶺二「ざけんじゃねえ、何で休みの日にてめーと一緒に図書館で新聞を読まなきゃならねえんだよ」
雪音「嶺二、私の話聞いてた?勉強のためだって言ったよね?」
少しの沈黙が流れる
雪音は図書館の中へ入る
渋々雪音について行って図書館の中へ入る嶺二
千春は嶺二の後に続いて図書館の中へ入る
◯1280ファミレス(昼過ぎ)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279と同日
◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276の続き
ファミレスにいる鳴海、菜摘、汐莉
鳴海たちはマフラーと手袋を外している
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている
ファミレスには学生、カップル、家族連れなどたくさんの客がいる
鳴海たちには空になった皿が置いてある
話をしている鳴海たち
菜摘「いよいよだね」
鳴海「明後日だもんな、響紀の面接」
菜摘「響紀ちゃんの面接じゃなくて朗読劇の本番のことだよ」
鳴海「そっちか」
菜摘「うん」
汐莉「鳴海先輩が響紀の面接の日を気にする必要ないですからね」
鳴海「分かってるよ、冗談で言ったんだ」
汐莉「本番直前にふざけるのはやめてください」
鳴海「す、すまん・・・」
菜摘「鳴海くん、総合演出家とは思えないほどの余裕っぷりだね」
鳴海「元からこの企画が始まった時から俺には余裕なんかなかったはずなんだが・・・」
汐莉「一周回っておかしくなってるんじゃないんですか、先輩」
鳴海「そうだろうな。俺としては早く三年生会を送る会を終わらせたいんだ」
菜摘「えっ?どうして?卒業するのが寂しくないの?」
鳴海「そりゃ寂しいけどさ・・・菜摘だって寂しいだろ?」
菜摘「うん、毎日学校に通ってお喋りしてた人と会えなくなっちゃうんだもん」
鳴海「そうだな・・・馬鹿な会話も出来なくなるわけだし・・・」
汐莉「鳴海先輩と嶺二先輩の馬鹿な会話が減れば、私たち後輩のストレスも減ると思います」
菜摘「鳴海くん」
鳴海「な、何だよ」
菜摘「私鳴海くんと嶺二くんは汐莉ちゃんたちに迷惑をかけ過ぎだと思う」
鳴海「そ、それは・・・も、申し訳ない気持ちで胸が・・・」
汐莉「(鳴海の話を遮って)今のは冗談です、鳴海先輩、菜摘先輩」
少しの沈黙が流れる
菜摘「汐莉ちゃんもボケ方が鳴海くんや嶺二くんとか響紀ちゃんに似てきたね」
汐莉「はい。スイートメロンパン迷惑です」
鳴海「ぼ、ボケが似たのを責められても困るんだが・・・」
再び沈黙が流れる
鳴海「れ、嶺二と一条はどこへ行ったんだろうな・・・?」
菜摘「デートじゃないの?」
鳴海「れ、嶺二は否定してたぞ」
菜摘「そうかなぁ。まんざらでもなさそうに見えたけど・・・」
汐莉「よくイチャイチャしてますからね、嶺二先輩と雪音先輩は」
菜摘「そ、そうなの!?つ、付き合ってるのかな!?やっぱり付き合ってるんじゃないのかな!?」
鳴海「きょ、興味津々かよ・・・」
菜摘「だって嶺二くんと雪音ちゃんはしばらく見てない間に心の壁が下敷き一枚くらいになってたんだもん!!」
汐莉「斬新な例えですね・・・」
鳴海「水を差すようで悪いが嶺二は付き合ってないって言ってたぞ」
菜摘「えー!!」
鳴海「だいたい嶺二と一条じゃ合わないだろ」
菜摘「そんなことないと思うけどなー!!」
汐莉「こういうのでよくあるのが、卒業後に実は俺たち付き合ってましたってサラッと打ち明けられるパターンだと思います」
菜摘「あるある!!しかも結婚直前に打ち明けられるんだよね!!」
鳴海「(呆れて)お前ら漫画の読み過ぎだろ・・・」
汐莉「女の子は妄想力が高いんです」
鳴海「そ、そうなのか・・・」
少しの沈黙が流れる
鳴海「俺が思うに嶺二はまだ千春への恋心が若干残っていて、それで一条を保留にしてるんじゃないかって気がするんだが・・・」
菜摘「え・・・保留はちょっと・・・」
汐莉「(小声でボソッと)お買い物上手かよ・・・」
再び沈黙が流れる
菜摘「保留は最低だと思うけど・・・千春ちゃんのことを想い続けてるっていうのは嶺二くんらしいね」
鳴海「あいつは最低だが一途だ」
汐莉「最低な一途って矛盾しまくりじゃないですか」
菜摘「でも嶺二くんらしいよ」
汐莉「そう言われればそうですけど・・・」
菜摘「(小さな声で)千春ちゃん・・・ごめんね・・・」
鳴海「菜摘?」
菜摘「な、何でもない!!」
鳴海「大丈夫か?」
菜摘「う、うん!!大丈夫!!」
◯1281波音図書館(昼過ぎ)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280と同日
◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279の続き
図書館の中にいる嶺二、千春、雪音、双葉
図書館には嶺二たち以外にもたくさんの利用者がいる
テーブルに向かって椅子に座っている嶺二、雪音、双葉
嶺二と雪音はマフラーと手袋を外している
千春は嶺二たちの側に立って嶺二たちのことを見ている
千春は刃の欠けた剣を持っている
千春の姿は誰にも見えていない
テーブルの上には大量の新聞が置いてある
新聞を広げて静かに読んでいる雪音と双葉
ドン引きしながら雪音と双葉のことを見ている嶺二
嶺二「(ドン引きしながら雪音と双葉のことを見て)てめーら・・・何してんだよ・・・」
雪音「(新聞を広げて読みながら)見て分からないの?」
少しの沈黙が流れる
嶺二「質問を変えてやる・・・何でここに双葉がいるのか答えろ」
再び沈黙が流れる
嶺二「質問に答えろよこの野郎」
雪音「(新聞を広げて読みながら)私、双葉じゃないし」
嶺二「俺は本人に直接聞いてやってんだ」
双葉「(新聞を広げて読みながら)嫌いな奴とは極力会話をしたくない。だから俺に喋りかけるな、それと何も聞くな。あと図書館では静かにしろ。以上だ」
嶺二「(小声でボソッと)ぜってークラスメートから嫌われてるよなお前・・・」
少しの沈黙が流れる
嶺二はテーブルの上に置いてあった大量の新聞紙の中から適当に一部を手に取る
嶺二「(新聞を広げながら)黙って新聞を読めばいーのかよ・・・つかここに俺は要らねーだろ・・・」
雪音「(新聞を広げて読みながら)奇跡の記事を探して」
嶺二「(新聞を広げながら)奇跡の記事?」
雪音「(新聞を広げて読みながら)そう。超能力を持つ女の子とか、波音町で不思議なことが起こったとか、神秘的なことなら何でも良いから、探せるだけだ探して」
嶺二「(新聞を広げて読みながら)そんなことをして何になんだよ?」
雪音「(新聞を広げて読みながら)次の菜摘を探す手がかりになるかもしれないでしょ」
嶺二「(新聞を広げて読みながら)まだそんなことを言ってんのか・・・」
再び沈黙が流れる
千春「(大きな声で)嶺二さん!!!!こんなのはやめましょう!!!!そこの二人を止めて今ある幸せを見てください!!!!友達に囲まれていれば奇跡なんか要らないはずなのです!!!!人間が手元にある幸せ無視して欲に走れば必ず自滅します!!!!嶺二さんはそれで良いのですか!?!?ご両親から貰った大事な未来を壊してしまっても良いのですか!?!?東京で夢を叶えるチャンスを捨てても良いのですか!?!?」
千春の声は誰にも届かない
嶺二は新聞を読むのをやめる
嶺二「次の菜摘ちゃんを探すって言うけどよ・・・探したって智秋さんは喜ばねーだろ・・・」
千春「れ、嶺二さん!!」
千春の声は変わらず誰にも聞こえておらず、姿も見えていない
雪音「(新聞を広げて読みながら)あの人の心は凍ってるから良いの」
嶺二「こ、凍ってるって・・・前から思ってたんだが、雪音ちゃんは智秋さんを救おうとしてるくせに素っ気なくねーか?」
雪音「(新聞を広げて読みながら)嶺二が一人っ子だからそう思うんじゃない?」
嶺二「そうじゃねーよ・・・なんつーかお前ら姉妹は気持ちわりーんだ」
雪音「(新聞を広げて読みながら)姉の心が凍ってるせいでしょ」
少しの沈黙が流れる
嶺二「ゆ、雪音ちゃんは・・・奇跡の力で智秋さんの病気を治したい・・・それが無理で・・・死んでしまったら生き返らせたい・・・そーだろ?」
雪音「(新聞を広げて読みながら)うん」
嶺二「だいたいよ・・・俺からすりゃあその目的が達成出来るのか謎なんだ・・・」
千春「(声 モノローグ)奇跡で・・・生き返らせる・・・?人を死から救えるの・・・?」
嶺二「死んだ奴が蘇るなら・・・とっくに他の奴らが試してるはずだろ・・・?」
雪音「(新聞を広げて読みながら)奇跡の力は人々の想像を凌駕してるの。ゲームのキャラクターに魂を宿すことなんて奇跡にもならないでしょうね。本当の奇跡は・・・もっと強大で美しいの・・・」
嶺二「それは雪音ちゃんの妄想だ。(少し間を開けて)鳴海想いの菜摘ちゃんが、鳴海の両親を生き返らせないわけがねえ。鳴海の親が今も死んでるってのは、奇跡の力を持ってしても人は生き返らねーって言ってるよーなもんだぜ?」
雪音「(新聞を広げて読みながら)菜摘は鳴海の成長のために親を生き返らせてないのかもしれないよ」
再び沈黙が流れる
嶺二「どっかのタイミングで、誰かが輪廻転生をしている波音ちゃんたちを生き返らせようとしてなきゃおかしくねーか?」
雪音「(新聞を広げて読みながら)波音たちは特別なんじゃない?」
嶺二「そんな都合の良いシステムなわけあるかよ・・・雪音ちゃん、奇跡の力には代償が必要なんだぜ。人なんて生き返らせちまったら何を代償で払うんだ?」
双葉「(新聞を広げて読みながら)命には命がいる」
◯1282ファミレス(昼過ぎ)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1281と同日
◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280の続き
ファミレスにいる鳴海、菜摘、汐莉
鳴海たちはマフラーと手袋を外している
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている
ファミレスには学生、カップル、家族連れなどたくさんの客がいる
鳴海たちの前には空になった皿が置いてある
話をしている鳴海たち
汐莉「千春とは・・・もう会えないんですかね」
鳴海「会えないかもな・・・」
少しの沈黙が流れる
菜摘「私は会えると思う」
鳴海「何か根拠があるのか?」
菜摘「うーん・・・」
鳴海「なさそうだな・・・」
菜摘「き、きっと会えるよ!!」
汐莉「だと良いですけど・・・」
鳴海「文芸部全員で朗読劇とはいかないか・・・」
菜摘「ま、まだ本番まで時間があるのに諦めちゃうの!?」
汐莉「諦めるも何も・・・そもそも千春と会うための努力をしてないですよ・・・」
鳴海「ああ・・・」
再び沈黙が流れる
菜摘「で、でももしかしたら・・・千春ちゃんは朗読劇を見に来てくれるかも・・・」
鳴海「そうなったら一番のハッピーエンドだな」
菜摘「う、うん・・・」
汐莉「千春がいてくれたら、部員を集めるのも少し楽になりますよね」
鳴海「集める人数が四人から三人になるだけだぞ」
汐莉「一人入るだけで勢いってつくじゃないですか」
菜摘「そうだね。私が文芸部を作った時も、鳴海くんが入ってくれたおかげで一気に集まったし・・・」
鳴海「そもそも明日香、嶺二、千春は俺が文芸部に連れ込んだようなものだしな・・・」
菜摘「確かに!!」
汐莉「ということは先輩たちは実質私一人しか新入部員を勧誘出来なかったわけですね」
菜摘「あ・・・言われてみれば・・・」
鳴海「途中入部だったけど、一条も新入部員に該当するんじゃないのか?」
菜摘「すると思うよ」
鳴海「学園祭の朗読劇が部員募集としての効果を発揮して、一条を文芸部に招いたわけだな・・・」
少しの沈黙が流れる
菜摘「今回の朗読劇も絶対に成功させようね、鳴海くん、汐莉ちゃん」
汐莉「は、はい!!」
鳴海「後悔のないように・・・(少し間を開けて)全力でやるぞ」
菜摘「うん!!」
◯1283波音図書館(昼過ぎ)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1281、◯1282と同日
◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1281の続き
図書館の中にいる嶺二、千春、雪音、双葉
図書館には嶺二たち以外にもたくさんの利用者がいる
テーブルに向かって椅子に座っている嶺二、雪音、双葉
嶺二と雪音はマフラーと手袋を外している
千春は嶺二たちの側に立って嶺二たちのことを見ている
千春は刃の欠けた剣を持っている
千春の姿は誰にも見えていない
テーブルの上には大量の新聞が置いてある
新聞を広げて読みながら嶺二と話をしている雪音と双葉
嶺二「智秋さんを救うために、他の人の命をよこせってか」
雪音「(新聞を広げて読みながら)そう」
嶺二「智秋さんが悲しむぞ」
雪音「(新聞を広げて読みながら)姉の心は凍ってるって言ってんじゃん」
嶺二「だったらどーして助けようとすんだよ?」
少しの沈黙が流れる
双葉「(新聞を広げて読みながら)雪音、まだ説明してないんだな」
雪音「(新聞を広げて読みながら)うん。面倒だし」
嶺二「せ、説明って何のことだ?」
双葉「(新聞を広げて読みながら)後で聞かせても面倒だよ、雪音」
雪音「(新聞を広げて読みながら)知ってる」
嶺二「どーゆーことだよ?説明とやらをしてくれ雪音ちゃん」
雪音は新聞を読むのをやめる
雪音「嶺二は私の姉のことをどう思う?」
嶺二「美人で・・・優しそーとか?」
雪音「美人だよね?凄く可愛いよね?」
嶺二「美人なのがどーかしたのかよ・・・?」
雪音「姉は勉強もスポーツも芸術も、完璧にこなす人なの」
嶺二「そーなのか・・・」
雪音「おまけに性格も完璧、異性からも同性からもモテモテ。相手がどれだけクズでも姉は上手く丸め込んで虜にするの」
嶺二「そ、そんなパーフェクト人間はいるわけねーだろ」
雪音「そのパーフェクト人間が私の姉。少なくとも病気になる前の姉はマシンみたいな女だった。ミスもしないし、トラブルも起こさない、両親が死んでも一条会は姉のおかげで安泰だった」
嶺二「病気になってからは変わっちまったのか?」
雪音「今の姉はゴミ。完璧だった頃の面影はほとんどない」
再び沈黙が流れる
嶺二「雪音ちゃんは智秋さんが元気だった頃に戻してやりてーんだろ・・・?」
雪音「嶺二、あなたは大きな勘違いをしてる」
嶺二「な、何だよ勘違いって・・・?」
雪音「私は・・・姉のことが心の底から嫌いなの。軽蔑してるし、憎んでる。死ぬ時はあの体が引き裂かれてしまえば良いと思ってるくらいに嫌い」
嶺二「な、何言ってんだ・・・雪音ちゃん・・・」
雪音「あなたには分からないでしょうね。生まれた時から欠点のない人間と比較され続けられる苦痛が」
嶺二「て、てめーと喋ってきた中で、今の話が一番理解出来ねえ・・・」
雪音「私が姉を助けたいのは、あの女に復讐することが目的だから」
嶺二「ふ、復讐・・・?」
雪音「そう・・・完璧な姉でも病気には勝てない。死ぬ時は惨めに死ぬ。それを妹の私が助けるの・・・(少し間を開けて)姉を助けた瞬間、私は初めて姉に勝利する・・・奇跡の力があれば、姉は私に太刀打ち出来なくなるでしょ?」
嶺二「雪音ちゃん・・・」
雪音「うん」
嶺二「てめーは・・・(かなり間を開けて)変人だ。こーゆー話は人にしねー方が良い。馬鹿にされて終わるぞ」
少しの沈黙が流れる
嶺二「大好きなおねーちゃんを助けたいって正直に言えよ」
雪音「あんな奴もっと苦しんで肥溜めの中で死んだら良いの」
再び沈黙が流れる
嶺二「お前、部活をサボってしょっちゅうお見舞いに行っては、仲良し姉妹アピールを散々してたじゃねーか」
雪音「復讐っていうのはね嶺二、復讐したい相手の身近にいて親しくなることが一番のポイントなの。表面で仲の良い姉妹のふりをすることで、あの女の冷たい心に私は踏み込めた。奇跡の力を手に入れて、姉を見返すために健気な妹を私はずっと演じて来たんだよ」
嶺二「意味が分からねーんだが・・・」
雪音「18年間完璧な人間と比較されて・・・馬鹿にされて・・・笑われて・・・苦しかったの。私も姉のように完璧になってみたかった・・・だから嶺二、私に協力して。私も嶺二に協力するから」
嶺二「だからじゃねーよ・・・ふざけんな・・・」
雪音「あなたは千春の復活を・・・私は姉の蘇生を・・・(少し間を開けて)人か人じゃないかって点を除けば、私たちのやってることはほとんど同じじゃないの?」
嶺二「クズ女が・・・二度と千春ちゃんの名前を口にすんじゃねえ」
雪音「怒らないでよ。私たち部活仲間兼友達じゃん。私、嶺二のことが本気で好きなんだよ?だから卒業後も仲良くしてよ?ね?良いでしょ?私に付き合ってくれたら、夜は私の体を嶺二に貸してあげ・・・」
嶺二「(立ち上がり雪音の話を遮って怒鳴り声で)きめえんだよ!!!!」
図書館で本を読んでいた利用者や貸し出しのカウンターにいた司書が嶺二の声に驚き、嶺二と雪音のことを見る
雪音「どうして・・・?復讐も愛情の形なのに・・・嶺二が千春を想う気持ちと同じなのに・・・」
嶺二「心が凍ってるのはおめーの方だ・・・」
再び沈黙が流れる
嶺二「(小声でボソッと)俺は降りさせてもらうぞ」
嶺二は紺色のマフラーと手袋を持って図書館から出て行く
嶺二について行く千春
白色のマフラーと手袋を持って雪音が嶺二を追いかける
双葉は変わらず新聞を広げて読んでいる
◯1284波音図書館前(昼過ぎ)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1281、◯1282、◯1283と同日
◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1281、◯1283の続き
図書館から出て来た嶺二と千春
嶺二は紺色のマフラーと手袋をはめる
マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている
千春は刃の欠けた剣を持っている
千春の姿は誰にも見えていない
嶺二は図書館から立ち去ろうとする
図書館から白色のマフラーと手袋を持った雪音が出て来る
雪音「どこへ行くの?嶺二」
嶺二は立ちまり、雪音のことを見る
嶺二「帰るんだよ・・・」
雪音「何で?」
嶺二「降りるって言っただろ。もう俺はやめるんだ」
雪音「逃げるんだね」
嶺二「クズ女と関わるか、逃げるかの二つしか選択肢がないんだぞ。そんなの逃げるに決まってんだろ」
少しの沈黙が流れる
雪音「柊木千春のことが好きなのに、どうして彼女を全力で手に入れようとしないの?」
嶺二「千春ちゃんへの想いよりも、俺には大切しなきゃならねえ道徳とか、正義があんだよ。分かるか?てめーはそいつを大切にしねえ。だから俺は雪音ちゃんの計画から降りるんだ」
雪音「後悔するよ、嶺二」
嶺二「俺は今雪音ちゃんと出会ったことに後悔してるぞ」
再び沈黙が流れる
雪音「人は・・・自分にないものを渇望してる・・・それが人間という生き物だって嶺二も知ってるよね?」
嶺二「何が言いてーんだ」
雪音「私は完璧になって・・・姉を越えたいの。(少し間を開けて)姉と姉の周りに集まってた信者たちを蹴散らすためには、奇跡がいる」
嶺二「お前な、雪音ちゃんでさえ自分のことを愛してねーのに、奇跡の力で完璧になって他人からちやほやされよーってのは虫が良過ぎんだよ。愛されたきゃ、まずは自分を愛してみろ」
雪音「そう言うあんたもゲームのキャラクターに愛を求めてるじゃん」
嶺二「俺は復讐なんかしねーし、人に代償を払わせよーとも思わねえんだよ」
雪音「利用出来るものを利用するのが人間でしょ。他人を踏み台にすることで初めて成功や勝利を掴めるのがこの世界なの。(少し間を開けて)嶺二みたいに綺麗事を言ってる人の未来は負け犬でしかないから」
嶺二「負け犬の何がわりーんだ」
雪音「一生馬鹿にされて底辺で過ごしたい?それこそクズだと思うけど、嶺二はそんなクズな人生に憧れてるの?」
嶺二「俺は確かに馬鹿にされる人生だろーし、完璧とは程遠い劣等感だけの人間かもしれねーが、下と比較して自分の優位さを噛み締めてる雪音ちゃんの姉貴とはちげえぞ。(少し間を開けて)雪音ちゃんは智秋さんのことをマシンって言ってたけどよ、それはつまり智秋さんが非人間的だったってことだろ。おめーはそーゆー非人間的な奴に復讐することを憧れてやがるが、俺からすりゃ雪音ちゃんの思考回路だってイカれてるとしか思えねえ」
雪音「嶺二には劣等感がないんでしょ?」
嶺二「馬鹿か。劣等感のねえ奴なんかいるわけねーだろ。雪音ちゃんは俺のことを負け犬だって馬鹿にするけど、底辺で生きてるよーな奴でも誰かのために自分を犠牲にすることは出来るんだぞ。そーゆー人たちはてめえが考えてる以上に素晴らしい人間だ。劣等感を丸出しにしたクズでも・・・輝く瞬間は人生にあるんだよ」
雪音「そう・・・でもその輝きは、私の姉に比べると古くて見苦しい蛍光灯にしか過ぎないけど?」
少しの沈黙が流れる
嶺二「わりーが・・・もう雪音ちゃんには付き合えねえ・・・(少し間を開けて)じゃーな・・・」
嶺二は雪音に背を向け歩き出す
雪音「(大きな声で)私は生まれた時から姉と比較されてきたの!!!!だから傷ついた分だけ復讐させてよ!!!!私だって人間なんだから勝ちたいって思うのは自然でしょ!?!?私のこの考えのどこが間違えてるの!?!?ねえ!!!!嶺二ってば!!!!戻って来てよ!!!!今までみたいに私の味方でいて欲しいの!!!!お願いだから!!!!」
嶺二は雪音の言葉を無視して、図書館から離れて行く
千春は嶺二のことを見ている
再び沈黙が流れる
嶺二は振り返ることもなくそのままどこかへ行く
雪音は白色のマフラーと手袋を地面に叩きつけ俯く
雪音「(俯いたまま小さな声で)信じてたのに・・・私の想いを馬鹿にして・・・(少し間を開けて)あんな分からず屋は・・・死ねば良い・・・後悔して死ねば良いんだ・・・みんな早く死ねよ・・・クソ・・・」
千春は嶺二のことを見るのをやめて、俯いている雪音のことを見る
千春は俯いている雪音のことを見たまま深くため息を吐く
千春「(俯いている雪音のことを見ながら 声 モノローグ)完璧になりたい・・・ですか・・人間じゃない私でも、理解出来る感情です・・・」
雪音は白色のマフラーと手袋を拾わずに俯いたまま波音図書館の中へ入って行く
千春は白色のマフラーと手袋が落ちてるところへ行く
周囲を確認する千春
千春はしゃがむ
周りに人がいないことを確認した後、千春は白色のマフラーを丁寧に畳み始める
千春が白色のマフラーを畳んでいると、白色のマフラーの中から一羽のスズメが飛び去って行く
千春「(マフラーを畳むのをやめて不思議そうに)何故スズメがマフラーの中に・・・?」
白色のマフラーの中から出て来たスズメはどこに飛んで行ったのか分からない
再び千春は白色のマフラーを畳み始める
白色のマフラーを畳み終えた後、千春は白色のマフラーの上に白色の手袋を置く
マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている
千春は立ち上がり、波音図書に背を向けて歩き始める
千春「(声 モノローグ)しかしあのやり取りは・・・雪音さんとの友情を完全に破壊しましたよ・・・嶺二さん・・・(少し間を開けて)皆さんの未来の面倒ごとが増えていなければ良いんですが・・・」
◯1285緋空浜(昼過ぎ)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1281、◯1282、◯1283、◯1284と同日
◯1210、◯1212、◯1227、◯1231、◯1236、◯1258の続き
緋空浜の浜辺にいる制服姿の早季
浜辺に正座している早季
早季の目の前には将棋の盤が置いてある
早季の横には取った駒が置いてある
早季は一人将棋を行っている
浜辺にはペットボトルやお菓子の袋のゴミが落ちている
浜辺には釣りやウォーキングしている人がいる
早季は一手打つたびに、将棋の盤をひっくり返す
早季「(駒を進めながら 声 モノローグ)いつだって人類は気づくのが遅くて・・・」
早季は将棋の盤をひっくり返す
◯1286ファミレス前(昼過ぎ)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1281、◯1282、◯1283、◯1284、◯1285と同日
◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1282の続き
ファミレスから出て来た鳴海、菜摘、汐莉
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている
鳴海、菜摘、汐莉はマフラーと手袋をしている
鳴海は紺色の、菜摘と汐莉は白色のマフラーと手袋をしている
マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている
早季「(声 モノローグ)後悔をします・・・」
鳴海たちは一緒に帰り始める
早季「(声 モノローグ)人類には口があるのに、大切なことを伝えようとしません・・・」
◯1287帰路(昼過ぎ)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1281、◯1282、◯1283、◯1284、◯1285、◯1286と同日
◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1281、◯1283、◯1284の続き
一人自宅に向かっている嶺二
嶺二はマフラーと手袋をしている
嶺二は紺色のマフラーと手袋をしている
マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている
早季「(声 モノローグ)人類には耳があるのに、話を聞こうとしません・・・」
◯1288公園(昼過ぎ)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1281、◯1282、◯1283、◯1284、◯1285、◯1286、◯1287と同日
◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1281、◯1283、◯1284の続き
公園のベンチに一人座っている千春
公園では遊んでいる小さな子供がたくさんいる
千春は刃の欠けた剣を持っている
千春の姿は誰にも見えていない
早季「(声 モノローグ)人類には目があるのに、地球に起きていることを見ようとしません・・・」
◯1289波音図書館(昼過ぎ)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1281、◯1282、◯1283、◯1284、◯1285、◯1286、◯1287、◯1288と同日
◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1281、◯1283、◯1284の続き
図書館の中にいる雪音と双葉
図書館には雪音と双葉以外にもたくさんの利用者がいる
テーブルに向かって椅子に座っている雪音と双葉
テーブルの上には大量の新聞が置いてある
新聞を広げて静かに読んでいる雪音と双葉
早季「(声 モノローグ)人類には未来があるのに、未来を気にかけようとしません・・・」
◯1290滅びかけた世界:波音博物館(昼過ぎ)
◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243、◯1246、◯1251、◯1253、◯1255、◯1259、◯1261、◯1263、◯1265、◯1275、◯1277と同日
波音博物館の中にいるナツ、スズ、老人
老人は肩にライフルをかけており、手にはかつて波音が使っていた日本刀、槍、薙刀を持っている
老人が手に持っている波音の日本刀は、◯1248、◯1250、◯1252で千春が見ていた物と完全に同じ
波音博物館の中は広い
波音博物館は薄暗く荒れ果てている
展示ケースは割られ、展示物にはロシア語で落書きがされていたり、破壊されたりしている
ナツ、スズ、老人は波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真の前にいる
緋空浜の大きな写真には、ゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている
緋空浜の大きな写真はびりびりに破られており、ロシア語で落書きがされている
ロシア語の落書きは赤い文字でされている
波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真は◯1252、◯1254、◯1256、◯1260で鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩が見ていた物と完全に同じ
波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真の前で話をしているナツたち
早季「(声 モノローグ)人類には知恵があるのに、学んだことを活かそうとしません・・・」
◯1291緋空浜(昼過ぎ)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1281、◯1282、◯1283、◯1284、◯1285、◯1286、◯1287、◯1288、◯1289と同日
◯1210、◯1212、◯1227、◯1231、◯1236、◯1258、◯1285の続き
緋空浜の浜辺にいる制服姿の早季
浜辺に正座している早季
早季の目の前には将棋の盤が置いてある
早季の横には取った駒が置いてある
早季は一人将棋を行っている
浜辺にはペットボトルやお菓子の袋のゴミが落ちている
浜辺には釣りやウォーキングしている人がいる
早季は一手打つたびに、将棋の盤をひっくり返す
早季「(駒を進めながら 声 モノローグ)最悪な時代の訪れを感じます・・・人口爆発・・・食糧難・・・未成年の犯罪・・・環境破壊・・・疫病の流行・・・兵器開発・・・核戦争・・・(少し間を開けて)混沌の世界になる・・・」
早季は将棋の盤をひっくり返す
早季「(駒を進めながら 声 モノローグ)子供たちの未来が悪い方へ・・・地球が滅びてしまう未来へ・・・」
将棋の盤をひっくり返す早季
◯1292南家に向かう道中(昼過ぎ)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1281、◯1282、◯1283、◯1284、◯1285、◯1286、◯1287、◯1288、◯1289、◯1291と同日
◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1282、◯1286の続き
汐莉を家に送っている鳴海と菜摘
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている
鳴海、菜摘、汐莉はマフラーと手袋をしている
鳴海は紺色の、菜摘と汐莉は白色のマフラーと手袋をしている
マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている
鳴海たちは楽しそうに話をしている
早季「(声 モノローグ)人類は地球に対して責任を取らないといけません・・・」
少しすると汐莉の家にたどり着く
汐莉はポケットから家の鍵を取り出す
早季「(声 モノローグ)世界中で起きている悲劇に目を向けるためには・・・きっかけがいる・・・」
汐莉は鳴海と菜摘に別れを告げ、家の扉を開けて中へ入る
鳴海と菜摘は歩き出す
◯1293緋空浜(昼過ぎ)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1281、◯1282、◯1283、◯1284、◯1285、◯1286、◯1287、◯1288、◯1289、◯1291、◯1292と同日
◯1210、◯1212、◯1227、◯1231、◯1236、◯1258、◯1285、◯1291の続き
緋空浜の浜辺にいる制服姿の早季
浜辺に正座している早季
早季の目の前には将棋の盤が置いてある
早季の横には取った駒が置いてある
早季は一人将棋を行っている
浜辺にはペットボトルやお菓子の袋のゴミが落ちている
浜辺には釣りやウォーキングしている人がいる
早季は一手打つたびに、将棋の盤をひっくり返す
早季「(駒を進めながら 声 モノローグ)人類よ・・・」
早季の一人将棋に決着がつく
早季「(声 モノローグ)目を開け、地球の悲鳴を聞き、立ち上がりなさい・・・」
突然、将棋の盤と駒が砂になって跡形も無く崩れる
立ち上がる早季
早季「(声 モノローグ)災いから地球と子供たちの未来を守りましょう・・・」
◯1294滅びかけた世界:波音博物館(昼過ぎ)
◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243、◯1246、◯1251、◯1253、◯1255、◯1259、◯1261、◯1263、◯1265、◯1275、◯1277、◯1290と同日
波音博物館の中にいるナツ、スズ、老人
老人は肩にライフルをかけており、手にはかつて波音が使っていた日本刀、槍、薙刀を持っている
老人が手に持っている波音の日本刀は、◯1248、◯1250、◯1252で千春が見ていた物と完全に同じ
波音博物館の中は広い
波音博物館は薄暗く荒れ果てている
展示ケースは割られ、展示物にはロシア語で落書きがされていたり、破壊されたりしている
ナツ、スズ、老人は波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真の前にいる
緋空浜の大きな写真には、ゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている
緋空浜の大きな写真はびりびりに破られており、ロシア語で落書きがされている
ロシア語の落書きは赤い文字でされている
波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真は◯1252、◯1254、◯1256、◯1260で鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩が見ていた物と完全に同じ
波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真の前で話をしているナツたち
老人「考えてみたが・・・(少し間を開けて)やはり俺には無理だ。すまない」
少しの沈黙が流れる
老人「俺の人生はもう何十年も前に止まっている。今更振り返ることも、進むこともないんだ」
ナツ「あんたは汐莉の日記も読まずに、この世界と滅びるだけの運命を受け入れるの?」
再び沈黙が流れる
スズ「いつかジジイの気が変わるかもしれないからもうちょっと待ってみよーよなっちゃん!!」
老人「スズ、こんなことで時間を無駄にするな。(少し間を開けて)どれだけ待っても貴志鳴海は帰って来やしない。彼は死んだんだ」
老人はポケットからクシャクシャになったタバコの箱と汚れたZIPPOライターを取り出す
クシャクシャになったタバコの箱からタバコを一本取り出す老人
クシャクシャになったタバコの箱をポケットにしまう老人
ナツ「行こう・・・スズ・・・」
スズ「なっちゃん・・・」
ナツ「貴志鳴海はもういないんだ・・・私たちがこいつを頼ろうとしたのがいけなかった・・・」
ナツはスズと老人から離れて行く
波音博物館の出口に向かっているナツ
少しの間スズはナツと老人のことを交互に見る
老人はタバコを咥える
スズ「(ナツのことを見るのをやめて)なっちゃんと私はまだジジイのことを信じてる!!」
老人「(タバコを咥えたまま)ナツに必要なのは俺よりもスズだ」
スズ「ジジイもなっちゃんにはひつよーだよ!!」
老人「(タバコを咥えたまま)良いからスズはナツのところへ行ってやれ」
スズ「ジジイはどーすんの・・・?」
老人「(タバコを咥えたまま)俺も後から行くよ」
スズは少し悩んだ後、走ってナツのことを追いかける
老人は汚れたZIPPOライターを使いタバコに火をつける
タバコの煙を吐き出す老人
老人はポケットに汚れたZIPPOライターをしまう
波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真を見る老人
老人はタバコを咥えたまま目を瞑る
◯1295早乙女家に向かう道中(夕方)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1281、◯1282、◯1283、◯1284、◯1285、◯1286、◯1287、◯1288、◯1289、◯1291、◯1292、◯1293と同日
◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1282、◯1286、◯1292の続き
夕日が沈みかけている
菜摘を家に送っている鳴海
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている
鳴海と菜摘はマフラーと手袋をしている
鳴海は紺色の、菜摘は白色のマフラーと手袋をしている
マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている
鳴海と菜摘は話をしている
菜摘「鳴海くん、今日はこれで良かったのかな?」
鳴海「どういう意味だ?」
菜摘「みんなで波音博物館に来て正しかったと思う・・・?」
鳴海「正しかったさ。おかげで朗読劇と卒業式の前に良い思い出が出来ただろ?」
菜摘「うん!」
◯1296滅びかけた世界:波音博物館(昼過ぎ)
◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243、◯1246、◯1251、◯1253、◯1255、◯1259、◯1261、◯1263、◯1265、◯1275、◯1277、◯1290、◯1294と同日
波音博物館の中にいる老人
老人は肩にライフルをかけており、手にはかつて波音が使っていた日本刀、槍、薙刀を持っている
老人が手に持っている波音の日本刀は、◯1248、◯1250、◯1252で千春が見ていた物と完全に同じ
波音博物館の中は広い
波音博物館は薄暗く荒れ果てている
展示ケースは割られ、展示物にはロシア語で落書きがされていたり、破壊されたりしている
老人は一人波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真の前にいる
緋空浜の大きな写真には、ゴミ一つない綺麗な緋空浜と夕陽が写っている
緋空浜の大きな写真はびりびりに破られており、ロシア語で落書きがされている
ロシア語の落書きは赤い文字でされている
波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真は◯1252、◯1254、◯1256、◯1260で鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、千春、雪音、響紀、詩穂、真彩が見ていた物と完全に同じ
老人はタバコを咥えたまま目を瞑っている
菜摘「(声)鳴海くん」
鳴海「(声)ん?」
菜摘「(声)またみんなで波音博物館に来たいね」
鳴海「(声)そうだな。今度は朗読劇が終わってから行くか」
老人は目を開ける
タバコの煙を吐き出す老人
菜摘「(声)もっと後が良いよ、鳴海くん」
鳴海「(声)なら卒業後だな」
菜摘「(声)良いね!!」
老人は波音博物館の壁に飾られた緋空浜の大きな写真に背を向け、波音博物館の出口に向かって歩き出す
◯1297滅びかけた世界:波音博物館(昼過ぎ)
◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243、◯1246、◯1251、◯1253、◯1255、◯1259、◯1261、◯1263、◯1265、◯1275、◯1277、◯1290、◯1294、◯1296と同日
波音博物館の壊れた扉の近くで老人のことを待っているナツとスズ
波音博物館の中は薄暗い
だだっ広い波音博物館のチケット売り場
チケット売り場にある数台の券売機は全て破壊されている
券売機と同じように入場口のセンサーも破壊されている
窓口にはたくさんのほこりが溜まっている
ナツは波音博物館の壊れた扉にもたれている
少しするとタバコを咥え、肩にライフルをかけた老人が出口から出て来る
老人はかつて波音が使っていた日本刀、槍、薙刀を持っている
老人が持っている波音の日本刀は、◯1248、◯1250、◯1252で千春が見ていた物と完全に同じ
スズは老人に向かって大きく手招きをしている
菜摘「(声)鳴海くん、私、大人になってから来てみたいな。卒業した後すぐにじゃなくて、みんなが少し歳を取ってから」
ナツは波音博物館の壊れた扉にもたれるのをやめて、扉を通って外へ出る
菜摘「(声)大人になった私と、明日香ちゃんと、汐莉ちゃんがあの頃は楽しかったなぁって語り合ってると、鳴海くんと嶺二くんが、今も楽しいじゃないかってツッコミをしてくれて・・・」
鳴海「(声)つまり俺と嶺二は全く成長していないわけだ」
菜摘「(声)ううん、そうじゃないよ鳴海くん。いつの時代に集まっても、みんなはみんなのまま変わらないんだ」
スズは老人に手招きをするのやめて、波音博物館の扉を通ってナツのことを追いかける
◯1298滅びかけた世界:波音博物館前/南波音駅に向かう道中(昼過ぎ)
◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243、◯1246、◯1251、◯1253、◯1255、◯1259、◯1261、◯1263、◯1265、◯1275、◯1277、◯1290、◯1294、◯1296、◯1297と同日
波音博物館から出て来たナツ、スズ、老人
ナツとスズは老人よりもかなり先を歩いている
老人はタバコを咥え、肩にライフルをかけている
老人はかつて波音が使っていた日本刀、槍、薙刀を持っている
老人が持っている波音の日本刀は、◯1248、◯1250、◯1252で千春が見ていた物と完全に同じ
波音博物館は建物に傷がたくさん出来ており、壁にはロシア語で落書きがされている
波音博物館の建物に貼られてある”波音博物館”と書かれたプレートが剥がれかかっている
波音博物館の扉は壊れかけている
ナツ、スズ、老人は南波音駅(荷台のある黒くて大きなピックアップトラック型の車を駐車した場所)に向かっている
ナツ、スズ、老人が歩いてる場所は◯1267の鳴海たちが歩いていた場所と完全に同じ
ナツとスズは話をしている
鳴海「(声)響紀たちもか?」
菜摘「(声)うん。響紀ちゃんは未来でも明日香ちゃんと仲良しで、今日みたいに二人で待ち合わせ場所の波音駅に来るんだ」
鳴海「(声)だとすれば南、永山、奥野の三人が一番最初に波音駅にやって来て、その後は俺と菜摘、明日香と響紀、嶺二と一条って順番で集まるんだな」
◯1299滅びかけた世界:南波音駅の近く(昼過ぎ)
◯1208、◯1209、◯1211、◯1220、◯1221、◯1226、◯1233、◯1235、◯1239、◯1241、◯1243、◯1246、◯1251、◯1253、◯1255、◯1259、◯1261、◯1263、◯1265、◯1275、◯1277、◯1290、◯1294、◯1296、◯1297、◯1298と同日
廃駅と化した南波音駅の近くにいるナツ、スズ、老人
電車の線路には雑草が生え、駅のホームには至るところに植物のツタが巻き付いている
老人はタバコを咥え、肩にライフルをかけている
老人はかつて波音が使っていた日本刀、槍、薙刀を持っている
老人が持っている波音の日本刀は、◯1248、◯1250、◯1252で千春が見ていた物と完全に同じ
ナツたちの側には荷台のある黒くて大きなピックアップトラック型の車が駐車されている
車の荷台にはショッピングモールから盗んだ楽器、スポーツ用品、様々な電化製品、映画のDVD、海で遊ぶ道具、スケートボードなど、色々な物が山のように積まれている
ナツとスズは話をしている
菜摘「(声)千春ちゃんを忘れてるよ、鳴海くん」
老人は車の荷台にかつて波音が使っていた日本刀、槍、薙刀を積み、ポケットから車の鍵と携帯用灰皿を取り出す
タバコの煙を吐き出す老人
菜摘「(声)全員で集まるなら、千春ちゃんもいなきゃ」
鳴海「(声)そう・・・だよな・・・」
老人は携帯用灰皿でタバコの火を消し、タバコを捨てる
携帯用灰皿をポケットにしまい、車の鍵のボタンを押して車の扉を開ける老人
老人は運転席に乗り込む
ナツとスズは後部座席に乗り込む
老人は助手席にライフルを置く
菜摘「(声)千春ちゃんは真面目だから一番に来ると思うよ」
鳴海「(声)あいつが一番なのか・・・それにしても菜摘はよくそんなことまで分かるな」
菜摘「(声)だって千春ちゃんとは一緒に暮らしてた仲だもん」
車の電源を入れる老人
車は大きな音を立てて進み始める
菜摘「(声)長い時間を共有したわけじゃないけど、私にとって千春ちゃんは家族みたいな存在なんだ」
老人が運転をし、ナツとスズを乗せた車は波音高校を目指して進んでいる
◯1300早乙女家に向かう道中(夕方)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1281、◯1282、◯1283、◯1284、◯1285、◯1286、◯1287、◯1288、◯1289、◯1291、◯1292、◯1293、◯1295と同日
◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1282、◯1286、◯1292の、◯1295の続き
夕日が沈みかけている
菜摘を家に送っている鳴海
鳴海は一眼レフカメラを首から下げている
菜摘は鳴海から貰った青いクリスタルがついているネックレスと、汐莉から貰った小さな青いクリスタルがついているブレスレットをそれぞれ首と手首につけている
鳴海と菜摘はマフラーと手袋をしている
鳴海は紺色の、菜摘は白色のマフラーと手袋をしている
マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている
鳴海と菜摘は話をしている
鳴海「家族、か・・・」
少しの沈黙が流れる
菜摘「どうかしたの?鳴海くん」
鳴海「いや・・・(少し間を開けて)家族だなんて聞けば嶺二が菜摘に嫉妬するぞ」
菜摘「えっ、女の子同士なんだから嫉妬しなくても良いのに」
鳴海「俺たちの近くには女の子同士でくっついた奴らがいるだろ」
菜摘「た、確かに・・・」
再び沈黙が流れる
鳴海「千春は・・・今どこで何をしてるんだろうな・・・」
菜摘「大丈夫だよ鳴海くん、千春ちゃんとはまた絶対会えるから」
鳴海「でもどこにいるのかも分からないんだぞ」
菜摘「大丈夫。絶対に会えるもん」
鳴海「そういえば菜摘、お前は波高を卒業したら千春を探しに行きたいって言ってたよな」
少しの沈黙が流れる
菜摘「卒業後は・・・」
鳴海「他にもやりたいことがあるのか?」
菜摘「うん。色々考えてるんだ」
鳴海「色々って・・・?」
菜摘「そ、それは言えないよ・・・」
再び沈黙が流れる
鳴海「は、犯罪じみたやばいことをするんじゃ・・・」
菜摘「(慌てて鳴海の話を遮って)ち、違う違う!!鳴海くん、私悪いこととか危ないことはしないよ」
鳴海「だと良いが・・・」
菜摘「も、もしかして私、鳴海くんからあんまり信頼されてない・・・?」
鳴海「な、何を言うんだ。菜摘のことを一番信頼してるに決まってるだろ」
菜摘「そ、そっか。じゃあ鳴海くんの次の目標は、私以上に鳴海くん自身を信頼することだね!!」
鳴海「菜摘以上に・・・自分自身を・・・?」
菜摘「うん!!」
鳴海「な、何のためにだ?」
菜摘「いざという時に自分のことを信頼出来ないと、ダメな大人になっちゃうよ、鳴海くん」
鳴海「な、なるほど・・・」
菜摘「自分自身を信頼してなければ、人を助けるのも難しくなる・・・だから、いつか鳴海くんに助けを求めて来る人が現れる前に、鳴海くんは自分自身の信頼を勝ち取らなきゃ」
鳴海「俺に助けを求める奴は相当な変わり者だぞ」
菜摘「鳴海くん、優しくしてあげなきゃダメだからね?」
鳴海「優しくって・・・菜摘には誰か思い当たる奴がいるのか?」
菜摘「うん」
鳴海「俺に助けを求めて来る変人は誰なんだ?」
菜摘の家に辿り着く
菜摘は家の前で立ち止まる
鳴海も菜摘に合わせて立ち止まる
菜摘「未来の子じゃないかな」
鳴海「未来・・・?」
菜摘「(頷き)朗読劇が終わって、波音高校を卒業した先には・・・きっと色んな変化がある。人生は長いから・・・悲しくて辛いことも起こるだろうし・・・(少し間を開けて)でも鳴海くんは信頼を得られる人だから、その時々で鳴海くんに助けを求める子が現れるんだ。例えば私とか」
鳴海「な、菜摘は俺に助けを求めてたのか?」
菜摘「覚えてないの?文芸部を作った時に、私鳴海くんに助けを求めたんだよ、副部長になって欲しいって」
鳴海「そ、それは助けを求めたことにはならないと思うんだが・・・」
菜摘「そうかなぁ?」
鳴海「あ、ああ。それに現実は俺よりも菜摘に助けを求めて来る奴の方が多いだろ」
菜摘「私じゃダメだよ」
鳴海「どうしてダメなんだ」
少しの沈黙が流れる
鳴海「少なくとも南は俺じゃなくて菜摘に・・・」
菜摘「(鳴海の話を遮って)どうしてもダメなの、鳴海くん」
鳴海「り、理由を聞かせてくれよ」
菜摘「私が助けられる人には・・・限りがあるから・・・」
鳴海「そ、そうか・・・」
菜摘「鳴海くん」
鳴海「な、何だ?」
菜摘「鳴海くんには汐莉ちゃんや明日香ちゃん、嶺二くんがいるよ」
鳴海「そ、そうだな・・・」
菜摘「逆に汐莉ちゃんには鳴海くんや響紀ちゃんたちがいるからね?それを忘れちゃいけないよ」
鳴海「お、おう」
菜摘「みんなにはみんながいて、決して一人ではない。大切なことだから絶対に覚えておいてね、鳴海くん」
◯1301貴志家鳴海の自室(深夜)
◯1210、◯1212、◯1213、◯1215、◯1216、◯1217、◯1219、◯1222、◯1224、◯1225、◯1227、◯1228、◯1229、 ◯1230、◯1231、◯1234、◯1236、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1258、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1281、◯1282、◯1283、◯1284、◯1285、◯1286、◯1287、◯1288、◯1289、◯1291、◯1292、◯1293、◯1295、◯1300と同日
◯1213、◯1215、◯1216、◯1222、◯1224、◯1228、◯1229、◯1230、◯1234、◯1238、◯1240、◯1242、◯1245、1248、◯1250、◯1252、◯1254、◯1256、◯1260、◯1266、◯1267、◯1269、◯1271、◯1273、◯1276、◯1279、◯1280、◯1282、◯1286、◯1292の、◯1295、◯1300の続き
片付いている鳴海の部屋
鳴海の部屋は物が少なく、ベッドと勉強机くらいしか目立つ物はない
机の上にはパソコン、菜摘とのツーショット写真、菜摘から貰った一眼レフカメラ、朗読劇用の波音物語が置いてある
机に向かって椅子に座っている鳴海
鳴海は朗読劇用の波音物語を読んでいる
カーテンの隙間から月の光が差し込んでいる
朗読劇用の波音物語を閉じる鳴海
鳴海「俺たちに残された行事も後は三年生を送る会と卒業式だけか・・・(少し間を開けて寂しそうに)こうやって全部過去になるんだな・・・」