Chapter6卒業編♯28 √文芸部(波音物語)×√軽音部(ライブ)-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海
向日葵が教えてくれる、波には背かないで
Chapter6卒業編 √文芸部(波音物語)×√軽音部-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海
登場人物
滅びかけた世界
ナツ 16歳女子
ビビリな面も多く言葉遣い荒い。勤勉家。母親が自殺してしまい、その後は一人で旅を続けていたがスズと出会い行動を共にするようになった。
スズ 15歳女子
マイペース、ナツと違い勉強に興味なし。常に腹ペコ。食べ物のことになると素早い動きを見せるが、それ以外の時はのんびりしている。
ナツと共に奇跡の海を目指してやって来た。
老人 男
ナツの放送を聞いて現れた謎の人物。元兵士の男。緋空浜の掃除を一人でしている。Narumi Kishiと彫られたドッグタグを身に付けているがその正体は・・・
中年期の明日香 女子
老人ともう一人の兵士を見送りに来た、中年期頃の明日香。
七海 女子
中年期の明日香と同じく、老人ともう一人の兵士を見送りに来た少女。年齢は15、16歳。
老人と同世代の男兵士1 男子
中年期の明日香、七海に見送られていた兵士。老人、レキ、男兵士2と同じ隊に所属していた。
レキ 女子
老人たちと同じグループの若い女兵士で、年齢は25歳前後。老人、男兵士1、男兵士2と同じ隊に所属していた。老人とは親しかった様子。
老人と同世代の男兵士2 男子
中年期の老人、男兵士1、レキと同じ隊に所属している兵士。
滅んでいない世界
貴志 鳴海 18歳男子
波音高校三年三組、運動は得意だが勉強は苦手。無鉄砲な性格。両親を交通事故で失っている。歳の離れた姉、風夏がいるが仕事で忙しいため実質一人暮らし状態である。文芸部副部長。 Chapter4の終盤に菜摘と付き合い始めた。
早乙女 菜摘 18歳女子
波音高校三年三組、病弱で体調を崩しやすい、明るく優しい性格。文芸部部長。鳴海と付き合っている。生徒会選挙の直後に原因不明の病に襲われ、現在は入院中。
白石 嶺二 18歳男子
波音高校三年三組、鳴海の悪友、不真面目なところもあるが良い奴。文芸部のいじられキャラである。高校卒業後は上京してゲームの専門学校に通うことを考えている。
天城 明日香 18歳女子
波音高校三年三組。成績も良くスポーツ万能、中学生の時は女子ソフトボール部に所属していた。ダラダラばかりしている鳴海と嶺二を何かと気にかけては叱る。文芸部部員。夢は保育士になること。最近は受験前のせいでストレスが溜まっている。なんだかんだで響紀とは良い関係。
南 汐莉15歳女子
波音高校に通っている一年生、文芸部と軽音楽部の掛け持ちをしている。バンド”魔女っ子少女団”のメインボーカルで歌とギターが得意。20Years Diaryという日記帳で日々の行動を記録している。Chapter5の終盤に死んでしまう。
一条 雪音18歳女子
波音高校三年三組、才色兼備な女生徒。元天文学部部長で、今は文芸部に所属。真面目な性格のように見えるが・・・
柊木 千春女子
Chapter2の終盤で消えてしまった少女で、嶺二の想い人。
三枝 響紀15歳女子
波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のリーダー兼リードギター担当。クールで男前キャラ、同性愛者、 Chapter3で明日香に一目惚れして以来、彼女に夢中になっている。
永山 詩穂15歳女子
波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のベース担当。基本はマイペースだが、キツい物言いをする時もある。
奥野 真彩15歳女子
波音高校一年生、軽音楽部所属。バンド魔女っ子少女団のドラム担当。バンドの賑やかし要員。
早乙女 すみれ45歳女子
菜摘の母、45歳には見えない若さ美しさを保つ。優しい、とにかく優しい。
早乙女 潤46歳男子
菜摘の父、菜摘とすみれを溺愛しており二人に手を出そうとすれば潤の拳が飛んでくる。自動車修理を自営業でやっている。永遠の厨二病。
神谷 志郎43歳男子
波音高校三年の教師。鳴海、菜摘、嶺二、明日香、雪音の担任。担当教科は数学。文芸部顧問。Chapter5の終盤に死んでしまう。
荻原 早季15歳女子
Chapter5に登場した正体不明の少女。
貴志 風夏24歳女子
鳴海の6つ年上の姉、忙しいらしく家にはほとんど帰ってこない。智秋と同級生で親友関係。いつの間にか看護師の仕事を始めている。
一条 智秋24歳女子
雪音の姉。妹と同じく美人。謎の病に苦しんでいたがChapter3の終盤にドナーが見つかり一命を取り留めたものの、再び体調を崩し現在は入院中。
双葉 篤志18歳男子
波音高校三年二組、天文学部副部長。雪音とは幼馴染み。
有馬 勇64歳男子
波音町にあるゲームセンター“ギャラクシーフィールド”の店主。千春が登場したゲーム、”ギャラクシーフィールドの新世界冒険”の開発者でもある。なお現在の”ギャラクシーフィールド”は儲かっている。
細田 周平15歳男子
野球部に所属している一年生。Chapter5では詩穂に恋をしていた。
貴志 紘
鳴海の父親、事故で亡くなっている。菜摘の父、潤と高校時代クラスメートだった。
貴志 由香里
鳴海の母親、事故で亡くなっている。菜摘の母、すみれと高校時代クラスメートだった。
神谷 絵美29歳女子
神谷の妻。Chapter5では妊娠していた。
波音物語に関連する人物
白瀬 波音23歳女子
波音物語の主人公兼著者。妖術を使う家系『海人』の末裔、そして最後の生き残り。Chapter4の終盤、妖術を使い奈緒衛の魂を輪廻させ、自らの魂も輪廻出来るようにした。
佐田 奈緒衛17歳男子
波音の戦友であり恋仲。優れた剣術を持ち、波音とは数々の戦で戦果をあげた。Chapter4の終盤に死んでしまった人物。
凛21歳女子
波音、奈緒衛を慕う女中。緋空浜の力を持っており、遥か昔から輪廻を繰り返してきた。波音に輪廻を勧めた張本人。体が弱い。奈緒衛と同じくChapter4の終盤に死んでしまった人物。
明智 光秀55歳男子
織田信長と波音たちを追い込み凛を殺した。
織田 信長48歳男子
天下を取るだろうと言われていた武将。
一世 年齢不明 男子
ある時波音が出会った横暴で態度の悪い男。
Chapter6卒業編♯28 √文芸部(波音物語)×√軽音部-夏鈴ト老人ハ大掃除ニツキ=好きにしろ、決別する海
◯1302織田軍隊列(500年前/日替わり/早朝)
晴れている
波音率いる織田軍と上杉軍の残党による戦が行われている
甲冑を身につけ武装した二千の武士たちが横並びしている
波音率いる織田軍の武士たちの方が上杉軍の残党よりも圧倒的に数が多い
織田軍の武士たちの中心にいるのは波音
その隣には奈緒衛がいる
波音たちは馬に乗っている
波音は薙刀を、奈緒衛は槍を持っている
波音たちの後ろには弓矢隊や投石隊がいる
同じく甲冑を身につけ武装し馬に乗った上杉軍の武士たちが波音たちの方へ迫って来ている
戦場には既に弓矢や投石で死んだ上杉軍の武士と馬がたくさんいる
投石で死んだ上杉軍の武士と馬は体が破損しており、周囲には肉塊が飛び散っている
弓矢と投石の攻撃から生き延びた上杉軍の武士たちが武器を構えて波音たちの方へ走って来ている
雄叫びを上げている上杉軍の武士たち
波音「聞こえるか奈緒衛、あの声だ」
奈緒衛「ああ」
波音「この世で最も美しい音色、心地良いわ」
奈緒衛「そうか?俺にはやかましいだけだが」
波音「死の音だよ、坊や。(薙刀を構えて)あれは死の音なんだ」
槍を構える奈緒衛
奈緒衛に続いて馬に乗った武士たちが武器を構える
波音「(大きな声で)戦の時だ!!!!侮るなよ!!!!奴らは上杉謙信に魂を売った化け物だ!!!!死など恐れないぞ!!!!」
奈緒衛「(大きな声で)信長様に天下を!!!!」
兜で顔を隠す波音
声を上げる織田軍の武士たち
波音、奈緒衛を含む織田軍の武士たちが乗っている馬が走り始める
織田軍の武士たちと上杉軍の武士たちが交わる
薙刀で上杉軍の武士を斬り殺す波音
槍で上杉軍の武士を刺し殺す奈緒衛
上杉軍も負けじと応戦し、織田軍の武士を殺す
織田軍と上杉軍が入り交じり、ごった返しになっている戦場
怪我を負った馬の鳴き声と武器が甲冑に当たる音が響いている
◯1303貴志家リビング(日替わり/朝)
外は快晴
時刻は七時半過ぎ
テーブルの上に置き手紙がある
置き手紙には”結婚したら名字は変えたい派?それとも奥さんに変えさせたい派?因みに私はどっちでも良い派”と書かれている
リビングのテレビではニュースが流れている
制服姿で椅子に座って置き手紙を見ている鳴海
鳴海「(置き手紙を見たまま)貴志鳴海か・・・早乙女鳴海か・・・確かにどっちでも良いな・・・」
◯1304波音高校校門(朝)
快晴
たくさんの生徒たちが門を潜って学校の中へ入って行く
校門の前で部員募集を行っている鳴海、菜摘、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩
鳴海、菜摘、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は部員募集の紙の束を持っている
鳴海、菜摘、嶺二、汐莉、響紀、詩穂、真彩は通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出しているが、雪音は何もしていない
鳴海、菜摘、嶺二、汐莉、響紀、詩穂、真彩はマフラーと手袋を身につけている
鳴海と嶺二は紺色の、菜摘、汐莉、響紀、詩穂、真彩は白色のマフラーと手袋を身につけている
マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている
雪音だけ嶺二から貰ったマフラーと手袋をしていない
菜摘「(通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出しながら大きな声で)部員を募集している文芸部でーす!!!!部活動存続のためにご協力をお願いしまーす!!!!」
鳴海「(通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出しながら大きな声で)一年生と二年生の力を貸してください!!!!後四人の新入部員が必要なんです!!!!」
汐莉「(通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出しながら大きな声で)よろしくお願いしまーす!!!!」
鳴海は通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出したままチラッと雪音のことを見る
雪音は変わらず何もしていない
鳴海「(通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出したまま)一条、お前もやってくれよ」
雪音「うるさい・・・」
菜摘「(通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出すのをやめて)ゆ、雪音ちゃん・・・どうしかしたの・・・?」
雪音「うるさいって言ってんじゃん・・・(少し間を開けて)私に構わないでよ」
嶺二「(通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出すのをやめて小声で)鳴海、菜摘ちゃん、雪音ちゃんは機嫌わりーらしいから関わらない方がいーぜ」
鳴海「(通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出すのをやめて小声で)何かあったのか?」
嶺二「(小声で)別に何もねーよ・・・」
菜摘「(小声で)嶺二くん・・・雪音ちゃんと喧嘩したんじゃないよね・・・?」
嶺二「(小声で)そんなんじゃねーんだ、菜摘ちゃん。俺と雪音ちゃんにはな・・・最初から何もなかったんだよ。それであの女は今拗ねてやがるんだ」
鳴海たちの前を通りかかる生徒たちは、文芸部のことを気に留めず周りの生徒たちと楽しそうに話をしながら校舎内へ入って行く
◯1305波音高校特別教室の四/文芸部室(昼前)
文芸部の部室にいる鳴海、菜摘、嶺二、雪音
教室の隅にパソコン一台、プリンター一台、部員募集の紙が置いてある
椅子に座りパソコンと向かい合ってタイピングをしている鳴海、菜摘、嶺二、雪音
鳴海たちは部誌制作を行っている
校庭では一年生男子生徒たちが体育の授業を受けている
鳴海たちは部誌制作に集中している
少ししてからタイピングをやめて体を伸ばす菜摘
菜摘「(体を伸ばしながら)お昼は学食にする?」
鳴海「(タイピングをしながら)そうだな、南たちも誘うか」
菜摘「(体を伸ばすのをやめて)うん!!」
嶺二「(タイピングをしながら)明日香のやろーがサボらなきゃ全員で飯が食えたってのに・・・あいつは本当に空気の読めねー奴だ」
鳴海「(タイピングをしながら)サボったんじゃなくオーディションに行ったんだろ」
嶺二「(タイピングをやめて)オーディション・・・?何だよそれ、明日香は恋愛ドラマの主役でも狙ってんのか?」
菜摘「な、鳴海くん・・・オーディションって受験の面接のことだよね・・・?」
鳴海「(タイピングをしながら)そうだ」
嶺二「んだよ芽キャベツのことか・・・俺たちはサボりやがった明日香の分まで芽キャベツと飯を食わねーとな」
鳴海「(タイピングをしながら)芽キャベツは要らないだろ・・・」
菜摘「私も・・・芽キャベツより普通のキャベツが食べたいかな・・・」
嶺二「今から学食に行って芽キャベツがあるか確認してみよーぜ」
菜摘「えっ?もう食堂に行くの?」
嶺二「今行けば汐莉ちゃんたちの席も確保出来るだろ?」
汐莉「そうだね」
鳴海「(タイピングをやめて)なら部誌制作は午後に回すか」
嶺二「おう」
嶺二はパソコンを閉じて立ち上がる
鳴海、菜摘もパソコンを閉じて立ち上がる
雪音「(タイピングをしながら)私行かないから」
少しの沈黙が流れる
菜摘「一緒にお昼ご飯を食べようよ、雪音ちゃん」
雪音「(タイピングをしながら)嫌」
再び沈黙が流れる
嶺二「菜摘ちゃん、早くしねーと汐莉ちゃんたちの席がなくなっちまうぞ」
菜摘「うん・・・雪音ちゃんも行こう?」
少しの沈黙が流れる
雪音は菜摘のことを無視してタイピングを続けている
菜摘「鳴海くん、雪音ちゃんがどうしても部室から離れたくないらしいんだけど、それなら私たちに出来ることも一つしかないよね?」
鳴海「ああ。一つしかないな」
嶺二「な、何すんだよ?」
鳴海「学食に行きたくないんだったら・・・」
菜摘「部室でお昼ご飯を食べよう!!」
雪音はタイピングをやめて鳴海と菜摘のことを見る
時間経過
円の形に椅子を並べて座っている鳴海、菜摘、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩
鳴海、菜摘、嶺二、汐莉、響紀、詩穂は昼食を食べている
鳴海、嶺二、詩穂はコンビニのパンを、菜摘、汐莉、響紀は手作りの弁当を食べている
真彩はカップラーメンが出来上がるのを待っている
鳴海たちのことを見ている雪音
真彩「まだなわけ〜?」
詩穂「まだ」
真彩「5分も待つ必要あるのかよ〜・・・」
詩穂「ぴったり5分待たなきゃ麺が伸びるかバリカタになるんだって」
響紀「バリカタと言えば博多ラーメン、博多と言えば1980年代前半に活躍した幻のアマチュアバンド、ダイナマイトローラーバレルズが結成された聖地。そんな博多への愛を込めて作られたサードアルバム、真っ黄色になっちまえは現在マニアの間でも50万円を超える高額値段で取引されるという」
鳴海「ご、50万もするのか・・・」
汐莉「響紀、そのアルバム持ってるんじゃなかった?」
響紀「うん」
菜摘「お金に困った時は、真っ黄色になっちまえを売れば少しは飢えを凌げるね」
響紀「売りませんが・・・」
鳴海「真っ黄色になっちまえってどんなタイトルだよ・・・」
響紀「博多ラーメンが黄色いので、そこから引用したらしいです」
鳴海「ゆ、ユーモアのあるバンドだな・・・」
真彩「ラーメンが出来上がるのを待ってる奴がいる中でラーメンの話をするなんて鬼畜過ぎるよあんたら・・・」
鳴海「すまん」
嶺二「(コンビニのパンを食べながら)ああやん、おろおろえいあがっあんじゃええか」
少しの沈黙が流れる
鳴海「パンを食い終えてから喋れ」
嶺二「(コンビニのパンを飲み込み)まあやん、そろそろ出来上がったんじゃねーか」
真彩「そ、そうっすね!!ちょいと確認してみます!!」
真彩はカップラーメンの蓋を開ける
蓋の隙間から蒸気が出る
真彩「(カップラーメンを見ながら)おおー!!キタキター!!」
詩穂「5分36秒も経ってるよ」
真彩「食べられれば良し!!じゃっ、早速いたたぎ・・・」
菜摘「食べないの?まあやん」
真彩「わ、割り箸が・・割り箸がねえっす・・・」
嶺二「手で食っちまえよ」
詩穂「汚い・・・」
詩穂「(大きな声で)うおー!!!!終わったー!!!!ラーメンが食べられねー!!!!」
再び沈黙が流れる
鳴海たちのことを見るのをやめて立ち上がる雪音
詩穂「ゆ、雪音さん・・・もしかして・・・割り箸を持ってたり・・・?」
雪音「持ってるわけないじゃん」
少しの沈黙が流れる
雪音「私、学食で食べるから」
鳴海「お、お前のために部室で飯を・・・」
雪音「(鳴海の話を遮ってイライラしながら)私のため?鳴海たちとご飯を食べたら私が喜ぶと思ってるんだ」
鳴海「よ、喜ぶとか喜ばないとか、そういうことじゃないだろ」
雪音「(イライラしながら)じゃあ何なの?つか何で群れてご飯を食べるの?私たちは群れでしか行動出来ないクソ犬か何かなの?」
鳴海「み、みんなで飯を食ったって良いじゃないか一条」
雪音「(イライラしながら)何故?」
鳴海「い、一緒に食ったらさ・・・(少し間を開けて)め、飯の交換とか出来るだろ」
雪音「(イライラしながら)そう。それなら勝手にやってろって感じ」
菜摘「雪音ちゃん、食堂に行くんだよね?私も行っていい?」
嶺二「やめろよ菜摘ちゃん・・・こいつに絡んでも良いことねーぞ・・・」
菜摘「私、雪音ちゃんとも一緒にご飯が食べたいな」
菜摘は食べかけの弁当を持って立ち上がる
菜摘は食べかけの弁当を持って雪音のところへ行く
菜摘「(食べかけの弁当を持って)食堂なら箸もあるし、みんなも一緒に・・・」
雪音「(菜摘が持っていた食べかけの弁当を払い落として大きな声で)調子に乗んなクソ女!!!!」
教室の床に菜摘の弁当の食材が散らばる
詩穂、真彩が驚き怖がりながら雪音のことを見る
菜摘「ご、ごめん・・・」
再び沈黙が流れる
嶺二「雪音ちゃん、てめえは・・・」
鳴海「(嶺二の話を遮って)嶺二、ここは俺に言わせてくれ」
嶺二「な、鳴海・・・」
鳴海「お前は口出しするな」
嶺二「あ、ああ・・・」
鳴海は立ち上がり、食べかけていたコンビニのパンを椅子の上に置く
雪音のところへ行く鳴海
菜摘「な、鳴海くん、悪いのは私だから冷静に・・・」
鳴海「(菜摘の話を遮って)黙ってろ」
雪音の目の前で立ち止まる鳴海
鳴海「調子に乗ってるのはお前だ一条。いつも大人の真似をして気取りやがって」
雪音「鳴海たちが子供なんでしょ」
鳴海「そうだよ、俺たちは子供だ。高校生だからな。でもそれは一条だって同じだ」
雪音「私は鳴海たちよりも・・・」
鳴海「(雪音の話を遮って)優しさを踏みにじる奴は子供よりも子供だろうが。(少し間を開けて)人を傷つければ大人になれると思ってるんだとしたら大間違いだぞ一条。お前の心の腐ってやがる、だがそれでもお前は俺たちの仲間だ。いけ好かなくても卒業するまでは文芸部の一員だということを忘れるなよ。お前がはみ出そうとしたってそうはいかないからな。俺たちが一条のやさぐれた行動を全力で修正してやる」
雪音「文芸部はブラック企業だね」
鳴海「優しさと思いやりを黒と取るか白と取るかはお前の好きにすれば良い。だけどこれ以上の好き勝手が許されると思うなよ。俺たちだって一条に振り回されるだけじゃないんだ」
少しの沈黙が流れる
雪音は椅子に座る
雪音「あっそ。私が大人しくしてれば良いんでしょ大人しくしてれば」
再び沈黙が流れる
菜摘は雪音に手を差し出す
菜摘「(雪音に手を差し出したまま)しつこくしてごめんね、雪音ちゃん」
菜摘から顔を背ける雪音
雪音「(菜摘から顔を背けたまま)私にどうしろと言うの」
嶺二「てめえは菜摘ちゃんの手を取ればいーんだよ」
菜摘から顔を背けたまま渋々菜摘の手を握る
菜摘と雪音は握手をする
雪音「(菜摘から顔を背けたまま握手をして小声でボソッと)ごめん・・・お弁当・・・」
菜摘「(雪音と握手をしたまま)良いよ、雪音ちゃん。私もごめんね」
雪音「(菜摘から顔を背けたまま握手をして小声でボソッと)うん・・・」
◯1306早乙女家に向かう道中(放課後/夜)
日が沈み暗くなっている
菜摘を家に送っている鳴海
部活帰りの学生がたくさんいる
鳴海と菜摘はマフラーと手袋をしている
鳴海は紺色の、菜摘は白色のマフラーと手袋をしている
マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている
鳴海と菜摘は話をしている
菜摘「鳴海くん、雪音ちゃんに怒鳴るかと思ったよ」
鳴海「怒鳴ったって、一条が俺の話を聞くか分からないだろ」
菜摘「そうだね」
鳴海「一条とは落ち着いて・・・いや、俺も落ち着いてはなかったか・・・」
菜摘「でも鳴海くんが冷静に怒ってくれて助かったよ、きっと雪音ちゃんには鳴海くんのお説教が効いたんじゃないかな」
鳴海「そうか?」
菜摘「うん。雪音ちゃん、ちゃんと謝ってくれたし、お弁当のおかずも拾ってくれたもん。それにあの後は真面目に部活をしてたから」
鳴海「謝るのも、拾うのも、真面目に参加するのも、全部当たり前だろ・・・」
菜摘「それはそうだけど・・・でもね鳴海くん、鳴海くんやみんなが思ってるほど、雪音ちゃんは悪い子じゃないんだよ」
鳴海「よくあいつのことを擁護出来るな・・・菜摘が入院している間、俺たちは一条に振り回されまくったんだぞ」
菜摘「さっきも鳴海くんは振り回されるだけじゃないんだって言ってたけど、雪音ちゃんと何があったの?」
鳴海「た、大したことじゃないんだ」
菜摘「大したことじゃないって?」
鳴海「な、菜摘、俺は過去を振り返らない主義なんだよ」
菜摘「えっ、そうなの?」
鳴海「お、おう。わ、わざわざ振り返ることでもないしな」
菜摘「鳴海くん」
鳴海「な、何だ?」
菜摘「今嘘ついてない?」
鳴海「つ、ついてるわけないだろ!!」
菜摘「そっか。鳴海くんは発言に自信のない時が多くて、嘘ついてるのかと思っちゃうよ」
鳴海「こ、今後は自信を持って発言するように心がけよう・・・」
菜摘「うん」
◯1307戦の跡地(500年前/夜)
◯1302と同日
日が沈み暗くなっている
松明を持った織田軍の武士たちがいる
上杉軍の生き残りを探している波音と奈緒衛
波音と奈緒衛は馬から降りている
波音は薙刀を、奈緒衛は槍を持っている
それ以外の武士たちは捕虜になった上杉軍の武士たちを見張っている
足元には死んだ馬、遺体、壊れた甲冑や武器、肉塊が転がっている
波音「(織田軍の武士たちに向かって)歯向かう奴は命を断ち切ってしまえ、戦意がない者は生け捕りにしろ!」
怪我をして動けなくなった上杉軍の武士がいきなり波音の足首を掴んで来る
上杉軍の武士は足を怪我している
怪我をした上杉軍の武士に槍を向ける奈緒衛
奈緒衛「(怪我をした上杉軍の武士に槍を向けながら)離せ!!手を斬られたいのか!!」
波音「まあ待て。この者、上杉軍の大将だと見受けるが・・・」
怪我をした上杉軍の武士「(大きな声で)大将は謙信様だ!!!!」
波音「その謙信殿はお主たちを置いて逃走したのか?」
怪我をした上杉軍の武士「(大きな声で)無礼者!!!!!貴様のような妖術使いが軽々しくその名を口にするな!!!!」
奈緒衛「(怪我をした上杉軍の武士に槍を向けたまま低い声で)黙れ。お前のその頭、串刺しにするぞ」
怪我をした上杉軍の武士の前にしゃがむ波音
波音「降伏するか?」
怪我をした上杉軍の武士「命など惜しくはない、殺れ」
立ち上がる波音
波音は少し悩む
奈緒衛「(怪我をした上杉軍の武士に槍を向けたまま)波音?どうしたんだ?」
波音「何でもない、そなたは気にするな」
怪我をした上杉軍の武士「早く殺せ!!白瀬波音!!」
波音「では・・・(怪我をした上杉軍の武士に向かって薙刀を構えて)そうさせてもらうぞ!!」
怪我をした上杉軍の武士の首を斬り落とす波音
波音は怪我をした上杉軍の武士の手を斬り落とす
斬り落とした上杉軍の武士の手を足首から外す波音
斬り落とした手首から血が垂れる
波音は斬り落とした上杉軍の武士の手を見る
奈緒衛「(死んだ上杉軍の武士に槍を向けるのをやめて)晒すか?」
波音「(斬り落とした手首を見ながら)首の上に手を乗せてな」
◯1308波音高校特別教室の四/文芸部室(日替わり/朝)
外は快晴
文芸部の部室にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、雪音
教室の隅にパソコン六台、プリンター一台、部員募集の紙が置いてある
教室の窓際で話をしている鳴海、菜摘、明日香、嶺二
雪音は椅子に座ってスマホを見ている
菜摘「明日香ちゃん、オーディションはどうだった?」
明日香「何オーディションって・・・」
鳴海「何で当事者の明日香まで忘れてるんだ・・・」
明日香「だってオーディションとか意味分かんないし・・・あっ、もしかしてめから始まってつで終わるやつのことを聞いてんの?」
嶺二「芽キャベツだろ」
明日香「あー・・・芽キャベツね・・・うん・・・芽キャベツ・・・」
少しの沈黙が流れる
菜摘「あ、明日香ちゃん・・・?大丈夫・・・?」
明日香「大丈夫・・・(少し間を開けて)じゃないかも・・・」
鳴海「面接中に何があったんだよ」
明日香「だから面接って言わないでってば・・・」
鳴海「す、すまん」
嶺二「万が一落ちても明日香ならだいじょーぶだろ」
明日香「ぶっ殺されたいのあんた」
嶺二「ぶ、ぶっ殺されたくはない。がしかし、明日香が落ちたら会話にもオチがつくと思うのは俺だけだろーか」
菜摘「死に急ぎ過ぎだよ・・・嶺二くん・・・」
嶺二「そ、そんなことはねーって・・・」
鳴海「明日香に自ら命を差し出して首を晒してくださいって言ってるようなもんだぞ」
嶺二「ぶ、物騒だな・・・明日香がそんな野蛮なことをするわけ・・・って逆だな・・・あの明日香だからこそやりかねないか・・・」
鳴海「そうだ。あの明日香だからこそお前の首を・・・」
鳴海と嶺二の頭を後ろから引っ叩く明日香
鳴海「お、俺まで叩くなよ!!」
明日香「ムカついたから良いの」
嶺二「なんて横暴な女なんだ・・・」
明日香「あんたらのせいで横暴になったんでしょうが・・・」
再び沈黙が流れる
チラッと雪音のことを見る明日香
雪音は変わらず椅子に座ってスマホを見ている
明日香「嶺二、あんた雪音のことも怒らせたの」
嶺二「怒らせたんじゃなくて勝手に怒ってるだけだぞ」
菜摘「嶺二くん、やっぱり雪音ちゃんと何かあったんだよね?」
嶺二「だから何もねえって」
明日香「ならどうして今日の雪音は私たちの会話に参加しないのよ」
嶺二「雪音ちゃんは現代っ子なんだぜ?たまにはスマホくらい見て過ごすだろ」
明日香「たまには、ね・・・」
鳴海「一条がスマホを見てるのは俺のせいかもしれないな」
明日香「あんたも雪音を怒らせたわけ?」
菜摘「というよりは私が雪音ちゃんを怒らせて、その上から鳴海くんが雪音ちゃんに怒ったんだ」
明日香「い、意味不明なんだけど・・・私が面接に・・・私がオーディションに行ってる間に何があったの?」
鳴海「明日香、俺は過去を振り返らない主義なんだ」
明日香「何それ・・・?」
菜摘「昨日あったことはもう語りたくないって意味だよ」
少しの沈黙が流れる
鳴海「安心しろ明日香。仲が悪くなったわけじゃない」
明日香「全く安心出来ないんですけど・・・」
嶺二「文芸部はいつも通り明日香を歓迎するぜ」
明日香「創設メンバーを今更歓迎してどうすんの・・・」
菜摘「一応明日香ちゃん以外の人たちも歓迎してるよ、まだ新入部員くんと新入部員ちゃんは集まらないけど・・・」
再び沈黙が流れる
鳴海「諦めずに、出来ることを続けよう」
菜摘「うん!!」
嶺二「努力もいつかは報われるだろ」
明日香「そうだと良いけどね・・・」
時間経過
昼前
椅子に座りパソコンと向かい合ってタイピングをしている鳴海、菜摘、明日香、嶺二、雪音
鳴海たちは部誌制作を行っている
校庭では二年生女子生徒たちが体育の授業を受けている
鳴海たちは部誌制作に集中している
鳴海「(タイピングをしながら 声 モノローグ)一条は無闇に逆らったりすることはなくなり、大人しく俺や菜摘の言うことを聞くようになった」
◯1309波音高校食堂(昼)
昼休み
食堂にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩
混んでいる食堂
注文に並ぶ生徒がたくさんいる
鳴海、嶺二、明日香、汐莉、響紀、真彩は昼食を食べ終えている
菜摘は手作りの弁当を、雪音はコンビニのパンを、詩穂は食堂の醤油ラーメンを食べている
食堂のテーブルはほとんど埋まっている
話をしている鳴海たち
鳴海「(話をしながら 声 モノローグ)菜摘が言っていたように俺の説教が一条に効いたのか、それともただの気まぐれで大人しくなったのかは分からない」
◯1310波音高校二年生廊下(昼)
昼休み
二年生廊下にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩
鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩は部員募集の紙の束を持っている
鳴海たちは部員募集を行っている
廊下では喋っている二年生や、昼食を取りに移動している二年生がたくさんいる
鳴海たちは通りかかる二年生たちに部員募集の紙を差し出している
鳴海「(通りかかる生徒たちに部員募集の紙を差し出しながら 声 モノローグ)嶺二と一条の間に何があったのかも不明のままだ」
◯1311波音高校特別教室の四/文芸部室(放課後/夕方)
夕日が沈みかけている
文芸部の部室にいる鳴海、菜摘、明日香、嶺二、汐莉、雪音、響紀、詩穂、真彩
教室の隅にパソコン六台、プリンター一台、部員募集の紙が置いてある
鳴海、明日香、汐莉、雪音は朗読劇用の波音物語を手に持って立っている
菜摘たちは椅子に座っており、朗読劇用の波音物語を持っている
朗読の練習を行っている鳴海、明日香、汐莉、雪音
菜摘たちは朗読の練習の様子を見ている
鳴海「(朗読劇用の波音物語を読みながら 声 モノローグ)嶺二と一条が語りたがらない以上、俺たちは不要な詮索をしないことにした。(少し間を開けて)世の中には俺や菜摘が知らない方が良い人間関係の問題もある」
◯1312波音高校一年六組の教室/軽音部一年の部室(放課後/夜)
外は日が沈み暗くなっている
軽音部の部室にいる鳴海、汐莉、響紀、詩穂、真彩
軽音部の部室でライブの練習を行っている汐莉、響紀、詩穂、真彩
汐莉はリードギター、響紀はサイドギター、詩穂はベース、真彩はドラムを演奏している
ボーカルは汐莉が担当している
椅子に座って軽音部の演奏を聴いている鳴海
鳴海「(軽音部の演奏を聴きながら 声 モノローグ)波音博物館に行ってから、嶺二と一条がイチャつくこともなくなった。もっとも、嶺二からすればイチャついていたつもりはないんだろうが・・・とにかく、あの二人が個別で話をしたり、何かするような機会は完全に消滅したらしい」
◯1313早乙女家に向かう道中(放課後/夜)
菜摘を家に送っている鳴海
部活帰りの学生がたくさんいる
鳴海と菜摘はマフラーと手袋をしている
鳴海は紺色の、菜摘は白色のマフラーと手袋をしている
マフラーと手袋には小さくペンと音符が刺繍されている
鳴海と菜摘は楽しそうに話をしている
鳴海「(菜摘と楽しそうに話をしながら 声 モノローグ)結局嶺二は一条と付き合っていたわけでもないようだ。俺は二人の関係から仄かに漂っていた恋愛感情が消えたことに気が付いていた」




