case6 涙の別れ…?感動の出会い!
作業中に聴く曲紹介その1
UNISON SQUARE GARDENさんで
[桜のあと(all quartets lead to the?)]←季節外れかよ
「──と言うわけで、僕が勇者みたいな感じになっちゃったんだけど……」
「そう……話に聞いていたけど、本当の事だったのね」
「寂しくなるけど…光栄な事よ。家のことはねぇちゃんに任せとき!」
私たちはルクシアの家に来ています。理由は勿論、先程曖昧になってしまったルクシアの家族への挨拶や、事情説明などなど。だったんですが…
「お母さん、お姉ちゃん…ありがとう!頑張ってくるよ」
「いいなー、勇者」
「羨ましいねー、冒険」
「「俺達も行き(なり)たかったなー(ねー)」」
ご覧の通り、家族水入らずのお別れ会に。家族愛って良いものですね、見てるだけの私も少し涙が出てきちゃいそうです。ですが…
「ごめんねお兄ちゃん。お土産とかいっぱい持ってくるよ!」
「おねぇちゃんどっか行っちゃうの?」
「気を付けて…行ってくるんだぞ。怪我をしたり、命が…危なくなったりもするかもしれない。でも…必ず、無事に帰ってくるんだぞ」
ルクシアは今朝、畑仕事をしているときに王城に連れられました。それから国王様のお話を聞いたり、武器防具や資金を初めとする諸道具などの旅支度を済ませてから、再びここへ戻ってきました。
つまり只今の時刻は、お昼下がり。つまり…
「お姉ちゃんね、悪い奴等を探して倒しに行くの。寂しいけど…また会えるから!
勿論、そのつもりだよ父さん。途中出来るだけ連絡も、入れるようにッ…するし、グスッ……絶対に、元気で私の家に帰ってくるよ!」
コレが済んだらもう一度街へ行きますが、その後…今日の夕方、また家に帰ることになるのです。
「「「ルクシア……」」」
「みんな……ッ!!」
「……あのーすいません、この場に水を射すのは大変心苦しいのですが…。ルクシアは後程家に帰って頂き、今夜はこちらで過ごして貰うことになります」
「「「………えっ?」」」
そりゃそうなりますよね…完璧にお別れの流れでしたもん。
確かに先にこれからの日程を詳しく話さなかった私が悪いのかも知れませんが…ルクシア、あなたにはしっかりと伝えてある筈ですよ。なに一緒になって呆けているのですか。
「あっ、そう言えばそうだった。ご、ごめん皆……」
「あら…そうだったの。では今夜は腕に寄りを掛けなければなりませんね!」
「母さん私も手伝うよ!」
ようやく話しが落ち着きました…。ルクシアはハルバードの下りといい少し抜けているところがありますね、本当に不安です…。
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「赤ワインとサンドイッチ一つ」
僕は今、貴族街から離れた…庶民で賑わっている場所の酒場に来ている。
ふむ…ワインは熟成があまく、他と混ぜて味を均一にした量産物。サンドイッチも、黒パンに干し肉とレタスを適当に味を整えた素っ気ない物だな。
だがこの先の道中ではこんなものしか無いだろうし、何より僕は貴族の称号なってものは捨てたんだ。身の丈にあった生活をしなければなるまい。
「若様!こんなところにいらっしゃったのですか。ご主人様も心配しておられます、第一この様な庶民の来るような所など…」
「追ってきたのか。だが僕は戻らないぞ、もう決めたのだ。そもそもなぜ…」
その時、僕は見てしまった。パーティー用のテーブルを埋め尽くす数々の料理と…その席にたった一人、ポツンと座り、黙々と料理を片付けてゆく可憐な少女を。
更に僕は見てしまった。その可憐な少女の頭に…不自然な位置にある、毛の生えた尖った耳。そう…獣耳だ!
「しかし…っ!若さ「五月蝿い!僕を若様だと言うのなら命令する、着いてくるな。そうでないのなら二度と関わるな」そんな……」
噂には聞いたことがある。唐突に突然変異で産まれてくるとか、辺境の地に獣人族と言う血筋の種族が暮らしているとか。
眉唾物の与太話だと思っていたが、本当だったとは…周りの目もかなり注目してるな、そりゃ当然か。幻の種族の可憐な少女がとんでもない量のご飯を食べてるんだ。まぁ僕はそんな目は気にしない!
「やぁ可憐なる獣人のお嬢さん。隣、構わないかい?」
「モグモグ…うん、邪魔しなければ…カチャカチャ」
声もまた良い!鈴のようで凛とした可愛らしい音色で…あぁ堪らない!
「君は一人なのかい?もしかして冒険者とか?」
「そう…ゴクゴク…ケフッ、ふぅ…」
「そうなのか!もし良かったら僕と…」
「…それじゃ、私もう行く」
「あっ、ちょっと!」
せっかく話し掛けて、いい情報が手に入ったのに…ここで逃がすわけにはいかない!
にしても凄い食べっぷりだったなぁ。山の様にあった料理をほんの一時で食べ終わってしまった……
って、そうじゃなくて!急いで追わなくては!
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ご飯を食べてたら、変なお兄さんに話し掛けられた…
「待ってよお嬢さん!」
中からさっきの声が聞こえる…もしかして、追ってくる?
「やぁお嬢ちゃん、ちょっと一緒に来て貰おうか」
「へっへっへ…まぁ痛いようにはしないさ」
やっぱり来…ん?
「だれ…?」
「答えてやっても良いが…後でな、ほらこっちへ来な」
「やだ」
「てめっ…調子乗りやがって、おら来い!」
「ちょっ…キャッ」
はぁ…ついてない、柄の悪い人に絡まれちゃった。強引に腕を掴んでくるし、周りに…5・6人仲間が居そう、街の人は遠巻きに見てるだけだし…仕方無い
「へっへ、中々良い声で鳴く…ん?」
「お嬢さん!君は中々に照れ屋さん、なんだ…ね?」
あ、さっきのお兄さん。本当に追ってきた…にしてもこのタイミングとは
「なんだぁ?てめぇ、こいつの連れかなんかか?」
「貴様っ!その子を離せ!」
「おっと」
うわぁ危ない、いきなり剣を抜いてきたよ。この人数差で…もしかして、この二人以外の人のこと気付いて無いのかな?
「君は逃げて!こいつらは僕が引き付ける!」
「ふんっ、させると思うか?囲め!」
「なにっ!?」
やっぱり気付いて無かった…大人しく言われた通り道を開いて逃げよう。
「わかった……フレアストーム」
「「ぐわぁぁーーー!」」「ぎゃーーー!!」
「お前っ!?よくも仲間を!」
「えっ?ちょっと…うわっ!やばっ……」
さぁ今からどうしようかなぁ、逃げはしたけど…また追ってきそうだしなぁ。
ようやくバトル?ですね
……いやバトルシーンでは無いですねハイ(´・ω・`)
一応は魔法が出ました