case4 可愛いは正義!
「うるさいっ!パパとママが何と言おうと僕は行くぞ!」
ここはとある王国の貴族家が集まる街の一角、中でも特に広い敷地を持った公爵の邸宅。三階建てのその家の一室。
「待ちなさい、お前にはそんなこと無理だ!」
「そうよ、あなたにはまだ早いわ!」
そこには四つの影が、華やかな装飾を施された服を纏う一組の初老の夫婦。
それに対するように構えるのは、動き易いデザインの将校の服に上質なマントを羽織り大きな荷物を背負った若者。
その仲を仲裁するように、中立の立場から見守るメイドの姿が。
「ご主人様も若様も、落ち着いて下さいますよう。」
「落ち着いておるわ!わしはただ無謀な旅にでようとする我が息子を止めているだけだ。」
「無謀?確かに無謀かもしれない。だが僕は無謀でも行かなきゃならないんだ!」
ここはとある公爵家。そんな家柄の一人息子が家を出るとなれば、それなりの理由が必要になる。
行政、跡継ぎ、周囲の眼、あらゆる大小の問題が生まれるからだ。
「まだ全員がそうだと決まった訳じゃ無いわ、まだチャンスはあるわ!」
「チャンス?そんなもの無い。パパもママも見ただろう、王子様の即位パーティーに集まった面々を…」
若者はこの公爵家の一人息子、早い話秀才児である。一週間ほど前に卒業した将校では、入学当初から勉学も総合戦術も常に首席。
その身体は控え目に見えつつも適度に筋肉が付き、その整った顔立ちは誰に見てもイケメンと呼ばれる部類に入るだろう。
「若者。余りその様な事は、控えた方が宜しいかと」
「だがっ、あの様なもの達がこの僕と…良いか、僕は認めない、僕は可愛い娘が欲しいんだ!!」
将校を卒業するのは16歳、もう良い年頃である。頭脳も体術も優秀でイケメン、加えて公爵家の息子とあれば当然女性は寄ってくるし、他の貴族が縁を持とうと迫ってくる。
実際つい先程迄見合いをしていた。だが、若者の気に召さなかったようである。
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パパもママも何も分かってない、この僕があんなブ…少々酷い見た目の女と結婚しろなんて…
きっと僕に似合う可愛い娘が世にはいるはずだ、その為には僕は爵位なんて要らない、必要なら自分で掴み取る!なのに……
「お前は何も分かってない。この地位は一度捨てれば、再び手にするのかどれ程大変なのか。確かに相手の容姿はとても優れているとは言えないが…」
「あんなブサイクじゃ確かに辛いでしょう。だけど分かって頂戴、政略結婚は必要なのよ」
「ご主人様!控えて下さい!もしも聞かれたりしていたら……」
分かってるじゃないか!ならどうしてそこまで僕に結婚を…いや、もう関係無いな、もう決めたんだ。この家を出て、可愛い娘を見つけてくると!
「何と言われようと僕は行くぞ!さようなら。」
「おいっ…!」
「待って、行かないで!」
「お待ちくだ…っ!追ってきます!」
これで良かったんだ、これで…金もある程度用意はあるし、何とかなるだろう。
取り敢えず…酒場とやらに行ってみるか、小腹も空いたし。これからは国を街を出て、冒険者としていくつもりだから情報収集や、仲間も作れたら作っておくほうが良いだろう。
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──本当に、この者達を組ませて良いのでしょうか…御信託で伝えられた限りでは、こう捉えるしか無いのですが……
うむ…、確かにわしが調べた限りでも、この誰もが凶星の持ち主じゃ。それも特大級のな。じゃが、神様のご意向とあらば従うほかあるまい。
そう……ですね、分かりました。すべき事は全てしました、後は当人達次第ですね。
そうじゃ。さぁ何時までもこうしているわけにはいくまい、過ぎたことを言っていても仕方がない、わしらも仕事へ戻るぞい──
どこにでも居る咬ませ犬さん登場ですね
そして、物語は陰でも進行中




