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【かみはで】神様、うちの巫女達が今日も派手すぎます。〜神社に引き取られた俺を待っていたのは三姉妹ギャル巫女でした〜  作者: 仁波昼海
第1部第3章:私はあなたの妹

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思い出は形に残すもの

さっきまで散々探し回ったせいか、少しだけ身構えてしまう。とは言っても本当に何かあれば今度こそ電話をしてくれるはずだ...多分な。

安堵はできないそんな気持ちを抱えながら、駅前のベンチへ腰を下ろす。

休日の夜というのもあって、人通りはまだ多い方だ。

色々なところから帰ってきた家族連れや学生たちが、イルミネーションを眺めながら歩いていた。


「お待たせぇ」


十分も経たないうちに、聞き慣れた声がした。


「早かったな」

「えへへ」


紗理奈は少しだけ息を切らせながら、俺の前まで来る。

その手には、小さな紙袋が一つ増えていた。


「また何か買ったのか」

「うん」


そう答えると、袋の中を少しだけ探り始める。


「はい」


差し出されたのは、小さく包まれた袋だった。


「…なんだ?」

「おにーさんのために買ったんだよ!」

「へぇ..なんで?」

「ん〜今日のお土産かな!」


満面の笑み。

俺は一度紗理奈を見てから、その袋へ視線を落とした。


「俺、何も買ってないぞ」

「いいのいいのぉ」

「いや、よくないだろ」

「あ〜聞こえない〜」



三女はわーわーと喚きながら耳を塞ぐ。

良くも悪くも三女らしく、こういうことを伝えれれるのは、こいつのすごいところなのかもしれない。


「開けてみて」


言われるまま包みを開く。

中から出てきたのは、小さなアクリルのキーホルダーだった。

夜のイルミネーションをイメージした星形の飾りに、さっきのテーマパークのロゴがさりげなく入っている。


「記念限定か」

「そうそう」

「…なるほど」

「どう?」

「普通にいいな」


そう答えると、紗理奈はぱっと表情を明るくした。


「よかったぁ」


そのまま自分のスマホケースを持ち上げる。


「ほら」

「ん?」


見ると、同じキーホルダーがぶら下がっていた。

色だけ少し違う。


「お揃いだよぉ」

「……」

「今日の記念!」


まるであの時の「ほら」くらいの軽い調子で言う。

そこに深い意味なんてないんだろう。

だからこそ、返事に少し困ってしまった。


「さっき..買ったんだな」

「まぁ写真よりもこっちのが嬉しいかなって」


にひひ、と紗理奈は悪びれもせず笑う。


「おにーさんの分あるかなぁって、ちょっと急いじゃった」

「そんな気使わなくても」

「そんなんじゃないよぉ」


首を横に振る。


「これは思い出」


ぶら下げたキーホルダーを見ながらの、その一言だけだった。

さっき、写真を見ながら言っていた言葉を思い出す。


『思い出って、写真だけじゃないんだよ』


見れば思い出せる、そんな物があればたしかに面白い。


「ありがとな」


そんな言葉が自然と口から出る。


「どういたしまして!」


パッと明るくなった顔。満足そうに笑う紗理奈を見ていると、本当に今日一日が楽しかったんだろうなと思えた。


「じゃあ帰ろ、おにーさん!」

「...あぁ。少し遅くなってきたしな」


俺たちは駅へ向かって歩き出す。

改札を抜け、電車へ乗り込む頃には、遊び疲れた人ばかりだった。

空いていた席へ並んで座る。

昼間あれだけ喋っていた紗理奈も、さすがに疲れたのか静かだった。


「眠いか?」

「んん〜..ちょっとだけ」

「寝てもいいぞ」

「乗り過ごすじゃん」

「起こすに決まってんだろ」

「じゃあ安心かなぁ」


そう言って彼女は小さく笑い、俺の肩に頭を預ける。

寝息は聞こえてなかったけれど、別にそんなのは気にならなかった。



「ただいまぁ」


三女が玄関の扉を開けると、聞き慣れた声が返ってくる。


「お!おかえり〜」


未来だった。

その奥から千尋も顔を出す。


「遅かったわね」

「遊び過ぎちゃったぁ」

「見れば分かるよ」


笑いながら脱がれた紗理奈の靴を揃え、俺も一息つく。

想像以上に長い一日だった。


何となくポケットへ手を入れると、さっきもらったキーホルダーが指先に触れる。思わず取り出して眺めていると、紗理奈が気付いたらしい。耳元で囁いた。


「それ、付けといてね?」

「まぁ善処な」

「えぇ〜」


不満そうに声を漏らす。

まあ、そのうちでつけるだろう。


そう思いながらキーホルダーをポケットへ戻した。



「ふふ」


遠くから社務所の玄関を眺めて、軽い笑いがこぼれる。


「思い出は形に残す...ね」


風が狐の仮面を撫でる。


「ま、そんなのも悪くないねぇ」


遠く、家へ帰っていく二人の姿を見送りながら、狐面は静かに目を細めた。


「さて」


「今日はここまでにしてあげようかな」


その言葉だけを夜風に残して、狐面の姿はゆっくりと闇へ溶けていった。

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― 新着の感想 ―
現時点での最後まで、しっかりと読ませていただきました。ありがとう。 僕は作品に対する評価や可能性などについては、お伝えしていないことを先に申し上げます。 個人として、上手と感じたのは、「」を3行に…
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