金髪と赤紫髪
パタンと扉が閉じ、俺ははっと我に返る。
「まあ今のは見なかったことに....」
見慣れない女性の下着姿にぽわーっと体の内から体温が上がっていくのを感じる。
「出来るわけねえだろ!この変態ドスケベむっつり紫髪!」
「さ、さすまた!?」
音が鳴るほど勢いよく襖が開き、今度は巫女装束を身にまとった先ほどの3人が現れた。
奥2人は様子を伺うようにこちらを見ているが、真ん中の黒髪ボブはさすまたを右手に持ち、こちらを睨んでいる。
「ちょっ!待てって!」
「問答無用!!」
「うっ...」
さすまたの先端を素早く俺の腹に当てて俺は地面に押し付けられる。
起き上がるも虚しく、力が入らず、抵抗をやめる。
すると、押さえつけている黒髪以外のふたりがこちらに近づいてきて、しゃがんで俺をを覗き込んだ。
「あ〜君、結構いい顔してんのにもったいないなあ」
と、金髪ロング女子。
「どうかなあ少年よ、見下される気分は」
と、赤紫髪女子。
「お前みたいな不届き者がここは入っていい場所じゃねえんだ。とっとと帰れよ!」
黒髪女子の放った言葉と共に、腹にあたるさすまたがより強くなる。
俺はまた悶えながらも、一つ口にした。
「ギャルが巫女ってありかよ...」
客観的に見てもどう見ても、俺を見る3人は超がつくほどのギャルだった。
「...というわけでして、今日からここに住まわせてもらう天野蓮です。以後お見知り置きを」
嫌な幕開けから少し経って、俺は居間的な場所に案内され、自己紹介をしていた。
目の前に座る3人はそれぞれ違ったタイプのギャルだ。
「全く、こんなやつを養子に取るとは..爺さんはどんな目してんだか」
黒髪の吐く言葉に他二人はうっすらと愛想笑いを浮かべる。
「それに関しては謝罪した。いつまでも言われると困る」
俺は頭を掻きながら本心を告げる。
ここに住まわせてもらう身として、恐らくこれから毎日会わなければならない人たちだからだ。
「まったく、クラスのやつにも見せたことねえのによ」
「それは見せたらだめじゃない?w」
天然なのか知らないが、右手を握りしめながら言う黒髪の一言に金髪が笑いながら突っ込む。なんとも姉妹らしい。
「そんで、じいさんはどうした?今日尋ねる予定なのにどこにも見当たらないが..」
俺はあんなことになってしまった1つの要因でもある爺さん不在の件について聞く。
すると金髪があ、それなんだけど..と口を開く。
「実は町内の協賛会が年に1回親睦会をしてるんだけどさー、ちょうど今それの時期で2日いないんよ」
へー、と俺は新しく住む地の知識を1つ蓄えた。
ただ住むだけにしても、こういう事は何かと知っておいた方が便利だからな。
「だから君は遠慮無く、お姉さんのウチを頼ってもらっていいよ?蓮っち。とりま化粧しちゃう?」
少し関西っぽい訛りが垣間見える金髪女子は、所謂母的なキャラで、名前を「東雲未来」といった。年齢は21歳で、大学三年生らしい。
「でもみらねえ化粧出来ないじゃーん、それに1番ガキだしぃ」
その未来を横で嘲笑うのは赤紫色の髪をした軽い地雷系。
メイクこそしてないが、他二人と違って1人だけ巫女装束が変わっており、下の部分がスカートだ。
「あー、さりなそういうこと言うんだ。もう髪やってあげないからねー」
「それはちゃうくない?」
「初対面の人の前で喧嘩するな2人とも」
言い合う2人を黒髪が静止して、未来は頬を膨らませる。
(もう、なんでいっつもいっつも!)
そんな未来を他所に、その赤紫髪の女子はこちらに這ってきた。
「私はこの中で1番ピッチピチなのでぇ、おにーさんにも甘えさせてもらいますよー」
よく写真をする時にやる小顔ポーズでわざとらしく笑顔を見せ、こう続けた。
「だから蓮たんも、私のことをさりなっちって呼んで私といちゃラブしてくださーい♡」
よく掴めない性格の彼女は「東雲紗理那」といった。年は13歳で中2らしい。
嘘でもにやけてしまうセリフに俺は顔を逸らす。
「おにーさんと呼ばれる筋合いは無いし、さりなっちなんて呼ばねぇよ..」
「いいじゃーん、一緒に住む家族みたいなもんだしぃ」
「そうだよ蓮っち!ウチらはもう家族なんだから♪」
恥ずかしくなっている俺に未来も乗っかって追い打ちをかけてくる。
その2人をまたも黒髪が静止した。
「勝手に話を進めるな2人とも。だいたい私は反対だったんだ、養子を向かい入れるなんて話自体がな」




