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【かみはで】神様、うちの巫女達が今日も派手すぎます。〜神社に引き取られた俺を待っていたのは三姉妹ギャル巫女でした〜  作者: 仁波昼海
第1部1章:ハチャメチャストーリーの幕開け

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神様なんて信じてないけど

厳かな静寂に包まれた場に、長女が鳴らす鈴の音が軽やかに、そして心地よく響き渡った。


その音が空気を伝って俺たちの周りを震わせた瞬間、空気がぴりりと張り詰める。

前へ進み出た二人を見て、思わず息を止める。

さっきまで普通に話していたはずの2人は、全くの別人みたいだった。

赤い袴と白い装束。 それだけなら見慣れた巫女服のはずなのに、妙に目が離せない。


やがて、三女の檜扇ひおうぎが作り出す揺れが社殿の隅々にまで染み渡るように鳴り響いた。


長女の右手に持った神楽鈴かぐらすずが振られるたび、シャラン、と涼やかな音が何重にも重なり、まるで空間そのものが清められていく。

三女の左手に携えた五色の檜扇が、流れるような軌跡を描いて空を切る。


「…」


頭の中には至極単純しごくたんじゅんな言葉さえ浮かばなかった。

目の前で繰り広げられる光景を説明する言葉がどうしても見つからない。


そのぐらい、彼女たちの動きには一切の無駄がなかった。

袖はひるがえり、白い衣がふわりと宙に弧を描く。


ゆっくりとした歩みの中に、確かな芯の強さを感じさせる足さばき。

踊り、という言葉で片付けていいのか分からない。

見ているだけなのに、なんだか勝手に背筋が伸びる。

昨日の夜部屋に来た時、参拝客に笑顔を振り向いた時とも違う表情。

同じ神社で暮らしているはずなのに、なんだか今はやけに遠く感じた。


俺はふと隣にいる次女を見てみる。

すごいな、なんてあっさりとした感想をかけてみようか悩んだが、馬鹿らしくなるくらいに彼女は舞に見入っていた。

輝かしい尊敬の瞳。

美しいものをみる眼差し。


姉妹という関係性は捨て、巫女たちの一挙手一投足を隅々まで眺めていた。


踊る2人の額には汗が浮かぶ。

でも不思議と疲れて見えなくて、真剣な横顔から目が離せなかった。

きっと沢山の思いがあって、そして沢山の信頼を背負って、真剣に堅実に。でも楽しんでいる。


まもなくクライマックスのようだ。

臨場感はより増して、巫女たちの動きにも力がこもっている。

俺が対応した人の顔もさっきまでは見えていたのに、気付けば視界は二人から離れなかった。


最後は中央に2人が集まって、一瞬で動いていた空気をピシャリと止める。

ラストに鳴らした大きな鈴の音が余韻を残して消え去り、巫女が深く頭を垂れた。

周囲の参拝客が小さく息を漏らす気配がした。俺もようやく、自分が長い間呼吸を止めていたことに気づき、空気を肺いっぱいに吸い込んだ。

舞が終わってもなお、俺の耳の奥では、あの清らかな鈴の音色、空気を動かす檜扇の音がいつまでも耳の奥に鳴り響いていた。


神様なんて信じてない。

……信じてないんだけどな。



終わった後に、また俺は隣を見た。

2日目にして初めて見る、微笑する少女の横顔がそこにはあった。

もしかしたら泣いていたのかもしれないし、自分も頑張ろうという一つの意思表示なのかもしれない。

片付けをする2人の姿を、俺なんか目もくれずに、しばらくずっと見ていた。






「…それにしてもすごかったな」



時は過ぎて神社に人気(ひとけ)はなくなり、夜を迎えていた。

あんなものを一度見てしまったら長い間引きずってしまうタチな俺は、また勉強の息抜きにと外に出て、今日の舞を回想していた。


目が離せない状況ではなく、目が離れられなかったという方が正しいだろう。

あの酔っ払いと自称あざと女子が踊っていたとは心底信じがたいな。

俺は何度もあの舞と俺の部屋に来た2人を頭の中で比べたが、合点がいかない。


まるで誰か別の人間がやっていたようにしか.....ん?


昨日のように軋む廊下を歩いていると、また同じ部屋にまだ灯りが灯っていた。

おいおい、もう12時だぞ..


俺が確かめに行こうと近づくと....



「ちひろねえそこは踏み込み!」

「はい!」



ここだから許されている深夜の大きな声が、俺の耳に届いた。

皆様、お読みいただきありがとうございます。

是非ブクマ、評価の方をよろしくお願いします。


6/12本文改稿済

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