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十五話目

 対抗戦当日、俺は控え室で対抗戦が始まるのを座って待っていた。部屋の中には俺以外に二人(・・)の人物がいる。俺はその二人のうちの一人にこう問いかけた。


「さて、学園長?」


「なんじゃ?」


「ここには俺と学園長、それにブルーさんしかいないのですが?」


 そう、二人とは一緒に戦うブルーと学園長の二人しかいない。戦うのは三人のはずなのに、三人目がここに居ないことを学園長に尋ねたのだ。


「ふむぅ……なんと言ったらいいのか……」


 学園長は腕を組み、首を傾げて心底困ったような表情をしている。するとその横で満面の笑みを浮かべながら、ブルーが俺にこう話してきた。


「大丈夫ですよ。サシュタイン君僕がいれば我が校の勝利は何も揺るぎません。フェンブレン君がいなくとも気にすることは何も無いですよ」


「だ、そうだ。フェンブレン君は辞退してな……当初は同意してくれていたのだが、急に態度が変わってな。ギリギリまで説得したんじゃが……おかげで他のメンバーも都合がつかず……」


 学園長がブルーの言葉にこう続けてきた。


「そうですか……あ、スノウなら……」


 フェンブレンが辞退したのなら、代わりに誰かを入れればいいのではないか、と。幸い俺はこの会場にいる強者を一人知っている。俺の応援に来ているスノウだ。観客席にいるはずだ。なら声をかければ……

 そう思って俺は口にしたが、学園長は静かに首を横に振った。


「ダメじゃ……既にメンバー登録の期限は過ぎておる」


「そうですか……それなら仕方ないですね」


 ルールで決まっているなら仕方ない。と、思った俺はこれ以上そのことについて尋ねることを諦めた。


 するとこのタイミングでブルーが学園長に話しかけた。


「ハゲ、サシュタイン君と打ち合わせをしたい。少し席を外してくれませんか?」


「ふむ、良かろう。時間が来たら呼びに来るから少しの時間になるが話すがよい」


 学園長はブルーにそう告げて、控え室から出て行った。ブルーは扉が閉じられたのを確認してから、俺に落ち着いた声で話しかけてきた。


「サシュタイン君、君はまだ二人で対抗戦に出ることに不安があるのかい?」


「いや、そういう訳では……ただ、前例がないのでは? と思って……」


 俺はただ単純に先程まで思ったことを口にした。その言葉を聞いてブルーはニヤリと笑い、俺に顔を寄せ小声でこう話した。


「そう、前例がない。だから良い機会だ。僕と一緒に伝説を作らないか?」


「ブルー・ラビットさん? 伝説ですか?」


 俺はよく分からずにブルーに聞き返してしまった。すると、ブルーはゆっくりと何度も頷いていた。


「ああ、そうだ。伝説だよ。詳しくは話せないが、僕はこの対抗戦で伝説を作りたいと思っている。君もその伝説に加わって欲しいと思ってね」


「よく分からないが……詳しく話せないなら同意も何も出来ないですよ」


 内容もわからずに同意など難しい。俺は至極当然の答えを返した。


「なるほど……僕のことを信じられないということかい?」


 少し悲しげな表情でブルーは俺にそう尋ねてきた。


「そういう訳ではありませんが……わかりました。では、その伝説とやらに加わることにしますよ」


 これから一緒に戦う人物だ。今後のことも考えると一旦同意をしておいた方がいいだろう。俺はそう思い、同意の意思を示した。


「ありがとう。では、対抗戦の作戦に関してだが……君は先日わが校に加わった。その前には今の対戦相手である第二学園に通っていたと聞く。違いないか?」


「ええ」


「つまり、対戦相手のことを知っている可能性は高い。これも違いないか?」


「はい。恐らく出てくる三人は俺が知っている人物でしょう。そして、その三人も俺のことを知っている。それはブルーさんの仰る通りです」


 俺が居た当時の四天王、その中の三人が出てくる可能性は高い。向こうだってこの対抗戦に力を入れているはずだからだ。ま、それ以外であっても、大抵は俺のことを知っているだろうが……


「ならばまず君にはまず前衛に出てもらって三人の動きを僕に見せて欲しい。得意な魔法、戦略、動き……僕が簡単に三人を倒してしまっても良いのだが、それでは君の活躍の場が無くなってしまうからね。この対抗戦を伝説にする為にも、君にも活躍して頂かないといけない」


「なるほど……」


「まだ何か心配事でもあるのかい? 大丈夫、僕も何もしない訳では無い。後方からすぐに魔法を使うよ。それに対抗戦では相手を殺すことは禁止されている。安心してくれたまえ」


「不安という訳では無いのですが……まぁ、特に異論はありません。仰る通りにまず俺が三人に対峙致します」


 俺がブルーの提案に同意を示すと同時に控え室の扉が二度ノックされた。


「そろそろ時間じゃが、どうだ?」


「ハゲが呼んでいる。さて、行こうか?」


 とブルーが俺に話しかけ、立ち上がる。俺も頷き返しながら席を立ち上がった。

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