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エピローグ II:結婚式

本章をお読みいただきありがとうございます!


本当の本当の最終回! 番外編『Epílogo II: La boda(結婚式)』です!


2年の歳月を経て、大賑わいの庭園で執り行われる姫佳とリッカの「世紀の結婚式」。


オールキャストでお届けする笑いと感動のフィナーレをどうぞお楽しみください!

終わったと思いましたか?


甘いですね。私、全知の語り手(ナラティブ)としては、この二人を壇上に立たせることなしに本を閉じるわけにはいかないのです。これは信念の問題であり、同時に契約上の条項でもあります。『全知の語り手に関する一般規則』第20条――「すべての敵対から愛へ(Enemies to Lovers)の物語は、結婚式と乾杯、そして最低でも一人が隅っこで泣いているシーンを見届けるまでは完結したものとみなさない」。


あのオルレンヌのタワーでの夜から、 two 年の歳月が流れました。


麦は二度収穫され、北の橋は二度崩落しました。羊毛協定は両国を大いに潤し、オルレンヌの国王はアラリック王子を「馬と善意の特別大使」という謎の役に任命しました。本人はその任務に感動的なほどの情熱を注いでいます。


そして今日、ヴァレノワ宮廷の庭園、幾重にも枝を張り巡らせた樹齢数百年のオークの木の下で、世紀の結婚式が執り行われようとしていました。


庭園は見違えるほど華やかに彩られていました。


すべての枝にジャスミンの花輪が飾られ、紙灯籠が下がり、シルクで覆われたベンチと、芝生を抜けてオークの足元へと続く白絨毯が敷かれています。500人の参列者の中には、二人の国王、四人の公爵、扇子を携えた男爵夫人、300人の読者会メンバー、そして極上の笑顔を浮かべながら宴会の厨房を仕切るヒゲの行商人の姿がありました。


「さあさあ、ウェルカム・スープをお召し上がりあれ!」行商人が大声を張り上げます。「破格のお値段だよ!」


「タダじゃないか!」と公爵の一人が叫びます。


「だから破格なのさ!」


最前列では、肩幅のキツそうな礼服を着た赤のグンダールが、レースのハンカチを手に静かにすすり泣いていました。あきれつつも愛おしそうに見つめる妻を横目に。


「言ったろ……」彼は呟きます。「愛に斧も羽根ペンも関係ねえんだって」


「ええ、あなた。これで112回目のお言葉ね」


その隣では、完璧に髪をセットしたアラリック王子が、二つの金の指輪が載せられたビロードのクッションを大切そうに抱えていました。後ろの柱には、ピンクのリボンで繋がれたサンダー号が気品たっぷりに鼻を鳴らしています。


そして壇上の脇には、頭に花冠を載せたコロッケが、白絨毯の上に寝そべっていました。


このオオカミは当初「名誉指輪運搬係」に任命されていたのですが、最初のクッションを平らげてしまうという不祥事を起こしたため、その職はアラリックへと引き継がれることになったのです。


(※そんな目で見ないでください。あのアニマルがなぜまだここにいるのか、私にも分かっていないと言ったはずです)


ファンファーレが響き渡りました。


庭園全体が立ち上がります。


白絨毯の先から現れたのは、セラフィン女王でした。「ドラマチックな演出のため」司式者を辞退したはずでしたが、結局自分で行うことにしたようです。銀色の絹のローブを纏い、小さな王冠を戴き、手にはいつものティーカップ。彼女は穏やかな笑みを浮かべて壇上に立ちました。


吐息のような溜息が漏れ聞こえます。


最初にやってきたのは、リッカでした。


銀の刺繍が施されたミッドナイトブルーの礼服に、騎士の肩当て、歩くたびに揺れるショートマント。アッシュグレーの髪は、その人生で初めて整えられていました――もっとも、担当者がかなりの意地を見せたものの、一本の跳ねっ毛だけは空を突いたままでしたが。


彼女の足取りは、生涯待ち望んだ戦場へと向かう兵士のような強い決意に満ちていました。


耳は、先端まで真っ赤に染まっています。


壇上に着いた彼女は、襟元を整え、存在しない革紐を整え、髪に手をやりました。


「落ち着きなさいな、ヴァンス卿」女王が微笑みを絶やさずに囁きます。「まだ到着していませんよ」


「……落ち着いております、陛下」


「見れば分かりますわ」


「ただ、少々暑いだけでして」


「……今は秋ですよ」


「なんとも暑い秋ですこと」


再びファンファーレが鳴り響きました。全員の視線が一斉に向けられます。


霧のように軽やかなアイボリーのシルクドレス、薔薇の刺繍が施された長いベール、そしてジャスミンの花束を手にした姫佳・フォン・ヴァレノワが、白絨毯を踏みしめて進んできました。


私には、彼女の美しさをどう描写すればいいのか分かりません。


いや、分かりますよ? お金をもらっているプロですからね。ですが、語り手であっても言葉を呑み込み、静寂を守るべき瞬間というものがあるのです。今がまさにその時でしょう。


ただ一つ言えるのは、その姿を目にした瞬間、王室護衛にして山賊を討ち取り、手ぶらで熊を倒せる女騎士・リッカ・ヴァンスは、息の仕方を完全に忘れてしまったということだけです。


彼女は胸に手を当てました。膝の力が抜けそうになります。そして二年の歳月中、初めて調整すべき革紐が見当たらなかったのです。


儀式は、姫佳の要望通り(「長引かせないでちょうだい、母上。さもないと羊毛協定の第9条の解説を始めてしまいますわ」)簡潔で、リッカの要望通り(「誰も泣かないでくれ、恥ずかしいから」)温かいものとなりました。


――まあ、どちらの要望も叶いませんでしたけれど。


誓いの言葉の段になると、庭園全体が息を呑みました。


姫佳はドレスのひだの間から、小さく折りたたまれた一枚の紙を取り出しました。それは黄ばみ、子供っぽい窮屈な文字でびっしりと書かれた紙でした。


「私は一人の騎士について、14章に及ぶ物語を書きました」彼女は震える声で、温かな笑みを浮かべながら言いました。「彼の名はサー・リック。不器用で、勇敢で、頑固で、誰かに見つめられるたびに耳まで真っ赤にする騎士でした。13歳のとき、自分がすでに彼を知っているとも知らずに書いたものです」


ベンチから優しい笑い声が漏れました。


「8年間、あなたを秘密裏に愛してしまった自分を責め続けました。続く2年間で、声に出して愛することを学びました。そして今日、この場所で、皆さんの前で、どの本も教えてくれなかった言葉をあなたに伝えたいのです……」


彼女は紙を折りたたみ、胸にぎゅっと抱きしめました。


「――どんな物語も、現実のあなたには敵わないのだと。他の誰かとの静かな百年よりも、あなたと口喧嘩を重ねる日々を選びたいのだと。もしあなたがそれを忘れてしまったら、毎朝何度でも思い出させてあげますわ」


最前列で、激しい泣き声が上がりました。グンダールです。


その近くでは、オダリス男爵夫人がびしょ濡れの扇子を手に涙を拭っていました。


そして壇上では、品格を保ちつつも、セラフィン女王がティーカップで顔を隠しながらそっと目元を拭っていました。


リッカは目を丸くし、唇を半開きにしたまま姫佳を見つめていました。彼女は一度、二度と咳払いをし、天を見上げ、地を見つめ、そして女王を見ました。


「私は……言葉が上手くありません」かすれた声で、彼女はようやく口を開きました。「昔からご存じの通りです」


愛おしそうな笑い声が広がります。


「ですが、あなたの言葉なら暗記しています。112回……いや、114回は読み返しました。その言葉を正しく並べ直せば、私の気持ちを伝えられるはずです」


彼女は目を閉じ、深く息を吸い込みました。


「――『たとえ貴方に憎まれようとも、私の心は永遠に貴方のものだ』」


静寂。


「ですが、あなたは私を憎んでいない」彼女の声が途切れ途切れになります。「そして私は、もう黙っている必要がない。だから自分の不器用な言葉で伝えます。……愛しているよ、姫佳。子供の頃も、嫉妬を込めて『殿下』と呼んでいた時も、湖でも、オークの木でも、タワーでも。そして私たちが年老いても、あなたの手にインクがついている時も、私をからかうために『ヴァンス卿』と呼ぶ時も、ずっと愛し続ける。私はあなたの護衛であり、剣であり、友人だ。……ですが何より、あなたの妻になります」


万雷の拍手が沸き起こりました。グンダールは跳び上がり、両拳を突き上げて「万歳!」と叫んでいます。アラリック王子は涙を拭うためにサンダー号のたてがみに顔をうずめていました。隅っこでは、賭けのメモを持った小姓が頭を抱えていました――「リッカが失神せずに『妻』という言葉を言えるか」に賭けて負けたのです。


彼が二人の関係についての賭けで負けたのは、これが初めてのことでした。


涙を拭うためにカップを置いたセラフィン女王が、コホンと咳払いをしました。


「よろしい。姫佳・フォン・ヴァレノワ、あなたはリッカ・ヴァンスを妻とすることを誓いますか?」


「誓いますわ」姫佳は即答しました。


「リッカ・ヴァンス、あなたは姫佳・フォン・ヴァレノワを妻とすることを誓いますか?」


「は、はい……っ! 誓います! 何千回でも誓います!」


脇からアラリックが、クッションを落としそうになりながら恭しく指輪を差し出しました。リッカは王国で最も大きく武骨な手で指輪を取り、信じられないほどの繊細さで、震えの止まらない姫佳の指へと滑り込ませました。姫佳も同じように指輪を嵌めます。


「ならば、この王冠と、この庭園、そして一人の母親としての権限において」女王が宣言しました。「二人を結ばれたものと認めます。……誓いの」


最後まで言い終わることはできませんでした。


姫佳はすでにリッカの頬を両手で包み込み、身を乗り出していたからです。


――語り手である私から、一つ言わせてください。今回はスタイルを変えたりはしません。かつて一度やりましたし、それは美しい思い出として残っているでしょう。ですが、これは結婚式なのです。結婚式とはそのままを語るべきものです。不器用で、賑やかで、涙と歓声があり、オオカミが歓喜の声を上げる、そんなありのままを。


だから、ただシンプルにお伝えしましょう。二人はキスをしました。


それは長く、温かく、どんな修辞や比喩も必要としないキスでした。500人の参列者が一斉に拍手を送りました。赤のグンダールは帽子を宙に投げ上げ、それが木の枝に引っかかりました。誰も鳴らしていないはずのヴァレノワの鐘が自ずと鳴り響き、オークの木からは風に煽られたジャスミンの花びらが降り注ぎました。


コロッケが遠吠えを上げました。


そして二人が離れたとき、額を合わせ、頬を涙で濡らしながら、リッカは目の前にいる女性だけに聞こえるほどの小さな声で囁きました。


「……写真にまで、耳が赤く写ってしまいそうだ」


「まだ写真なんて発明されていませんわよ、あなた」


「そのうち発明される。そして真っ赤に写るんだ」


姫佳が笑いました。リッカも笑いました。そしてふたりは手を繋ぎ、16年前に二人の少女がブドウと秘密を投げつけ合ったオークの木漏れ日の中、庭園全体に向かって、完璧に息の合ったお辞儀をしたのでした。


宴会は翌朝まで続きました。


無料のスープが振る舞われ、音楽が鳴り響き、アラリック王子が感動的な情熱をもって全員をダンスに誘いました。王子のプラムタルトと王宮のレモンタルトのどちらが優れているかという議論は、双方のタルトが床に落ちるという技術的引き分けで決着がつきました。


オダリス男爵夫人が杯を掲げて言いました。


「すべての始まりである、ミッドナイト・ローズに乾杯を!」


500人の声が応えます。


「ミッドナイト・ローズに乾杯!」


夜半、姫佳はいたずらっぽい笑みを浮かべて新しい本を発表しました。タイトルは『護衛と王女』。第1章の最初の一行は「ヴァレノワ王国の誰もが三つのことを知っていた」で始まるのだそうです。


隣に座るリッカが片眉を上げました。


「……王国は、他に何を知っていたんだ?」


「王女とその護衛は、同じ部屋にいるだけで何かが壊れてしまうということよ」


「……違いないな」


「ですが、これからは壊れるのはいつも枕だけになるということですわ」


リッカは赤くなりました。耳まで真っ赤になりました。そして礼服の襟元を、ものすごい集中力で整え始めたのでした。


翌日、ヴァレノワの王宮厨房で、賭けメモを持った小姓が新しいページを開きました。


彼は小さな文字で、大いなる希望を込めてタイトルを書き込みました。


『二人が「買い出しに行くのはどちらか」で最初の喧嘩をするのはいつか?』


その下には、城中の人間――料理人、侍女、兵士、オダリス男爵夫人、スープ売り、オルレンヌ国王、アラリック、グンダール、そして隅っこにはインクのついた肉球のスタンプを押したオオカミの名がずらりと連なっていました。


これにて、甘ったるい小説を書く王女と、それを暗記していた女騎士の物語は、ほんとうにおしまいです。


もし皆さんの人生が、出口のない冷戦のように思える日があったなら、思い出してください。ほんの少しの秘密と、スープと、ひとつのベッドと、湖と、オオカミと、お節介な語り手が一人いれば、すべてを変えることができるのだということを。


読んでいただき、本当にありがとうございました。


今回は、心からの感謝を込めて。


(※「覗き見禁止」の札は、一応そのままにしておきますね)


【完】

ここまでお読みいただき、本当に、本当にありがとうございました!


クセの強い参列者たちに見守られ、誓いの言葉を交わした姫佳とリッカ。


10話+エピローグを通して、二人の愛おしいドタバタ劇をお届けできたことを心から嬉しく思います!


全10話の短編連載として、これにて堂々の完全完結となります!


最後に「この作品に出会えてよかった!」「ふたりともお幸せに!」と思ってくださった方は、ぜひ作品ページ下のブックマーク登録や、評価の**★★★★★**を押していただけますと、作者としてこれ以上の幸せはありません!


これまでお付き合いいただいたすべての読者様に、心からの感謝を込めて。


また次の物語でお会いしましょう!

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