図書館
2024年、高1の夏。
学校はテスト週間に入り、期末テストに向けて皆が気を引き締め始める時である。
僕、西川翔も例外ではなく、何も手をつけてこなかった宿題に本腰を入れて取り掛かる。
そんな時であった。
「今から図書館で勉強するんだけど来る?」
神田宗介のメールが一通、僕のスマホに届いていた。
僕はOKと書かれたスタンプを送り、急いで図書館へと向かった。
神田宗介は、中学校時代からの友達で、受験期の時には共に志望校に向けて切磋琢磨し合った仲である。
図書館に行く道を辿ると、半年前一緒に勉強をしていた情景が目に浮かぶ。
僕等がいつも勉強していたのは、3階の隅にある6人用のテーブルで、今日もまた、そこで勉強をするつもりだろう。
「遅かったな。」
先に着いた神田は、既に勉強を始めていたようで、教科書と問題集がテーブルに散らばっていた。
「懐かしくてさ、この図書館が。ちょっと寄り道してたんだ。」
「流石、卒業式で一番泣いた男。」
「いつまでいじられるの?それ。」
神田はフッと、いじらしい笑みを浮かべて、隣の席の荷物をどかした。
そして、席に座った瞬間、突然尿意が襲いかかって来た。
「ちょっとトイレ行ってくる。」
「おう。」
ここは3階のトイレの反対側にあり、歩いている内に自然と周りの”本棚"が目に入る。
(ナイジェリアの郷土料理……)
珍しい本に気を取られ、寄り道していたその時、本棚から一冊の”本が落ちている”のを見つける。
(拾った方がいいよな、あれ。)
そう思い、僕はその本を手に取って本棚に戻した。
その本は資料集のように厚く大きく、妙に古びていて、本の節々が欠け、題名も霞んでよく読めなかった。
(何でこんなボロい本図書館に置いてあるんだろう?)
そう疑問に感じながらも、本棚の元の位置に戻してから、トイレへと向かった。
そこからは勉強に集中したり話したりして、あっと言う間に時が過ぎていった。
「明日も来るよな。図書館。」
「まぁテスト週間だし、行こうかな。」
そう約束をかわし、その日は図書館を後にした。
その日の夜は勉強したからか、いつもより寝つきが早かった。
僕は夢の中に入り、今日の疲れを癒す。
夢の舞台は、日本。僕が学校に宿題を忘れて、深夜に宿題を撮りに行く夢だった。
その時、空を見上げると、月が消えていた。
そして、朝を迎えて、学校に行くと、クラスの月島が風邪で学校を休んでいた。
この微かな”異変”に、その時は気づかずに、昨日と変わらない日常を過ごしていた。




