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第3課題 LADYBUG 第9問


 どれだけ走っただろうか。


 もう無理だと諦めかけた瞬間、ふとナナが立ち止まった。


 俺の心臓はもう爆発数秒前というぐらい急ピッチで鼓動を繰り返している。



 今までナナの背中だけを見つめて走り続けていて気が付いていなかったが、俺とナナは広い菜の花畑の中にいた。


 黄色い満開の菜の花は、まるで緑の絨毯の上にデッサンされた太陽の滴のよう。


 今まで聞こえていた、ナナのアハハという笑い声は止んでいる。


 そして長い髪を靡かせて振り向くと、ナナは俺に突然キスをしてきた。


 逆光で顔がよく見えないのが残念だったが、そのキスは今まで感じた事の無い耽美かつ上品なもので、このまま一生終わってもよいと思えるほどだった。


 でもそこには、確かな意思が込められていた。


 そして俺はその女性がナナであることを確信した。



 キスを終えたナナは、無言で俺に鞄を渡した。


 それはレイディバッグだった。


 マジマジとレイディバッグを眺めると、その赤色は衝撃的だった。


 だが、俺が視線をナナに戻すと、そこにナナの姿はもう無かった。


 俺の耳に再びアハハというナナの笑い声だけが聞こえてくる。


「ナナ……」


 しかし、ここで予想しない事態が起きた。


 俺の視床で再生機能が始動したのだ。


 俺の視床は未完全な形でナナと繋がたまま、優しく、そしてゆっくりとナナを包み込むように再生し始めている。


 ナナと供に再生するだけならまだ良い。


 こともあろうことに、ナナから授かったレイディバッグまで体内に取り組みながら再生してしまっている。


 時既に遅し。


 レイディバッグからバグプログラムLADYBUGレイディバグが一気に放たれてしまった。


 私の再生に異常が生じる。


 経験をしたことの無い衝撃が、脳内を駆け巡る。


 脳が熱くなる。

 

 そしてその熱さが、体中へと広がってゆく。


 あぁぁあぁ……

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