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64話 フランブルグへ

「という事は『夜と月の王国』は、貧富の差が事実上、使える通貨が二極化するぐらいに開いている、という認識でいいのかな?」

スコルツの説明を聞いた僕が問いかけると、


「遺憾ながらその認識で間違いありません。

そして上層部はその状態を改善する気も全くないですし、改善しようとする者が現れてもすぐさま排除されてしまいます…私も何人か暗殺しております」

無念気な表情を隠さずに肯定した。


そんな話を聞いて僕達姉弟と伯父上は否応なく思い出してしまった…前王が亡くなった後、急速に傾いてしまった祖国の姿を…

昔の暗い記憶が浮かび出し、それを押し留め平静を保ち、

「説明ありがとう。ならば接収した『ルーグ』の用途はケッセリングとスコルツに一任するね」

と認めると、スコルツは恭しく一礼した。


◆ ◆


3日後の朝、スコルツと共に宮殿の離れに設置した《転移陣》を使い、フランブルグに転移した。

部屋を出て警備の者達の敬礼に応えつつ、先ずは執務室へと進む。

先触(さきぶ)れにより僕達の到着を知ったケッセリングは執務室の外で待っており、僕の姿を認めると恭しく一礼し、部屋へと招き入れた。


ソファーに座る前に早速ケッセリングが、

「陛下、ようこそいらっしゃいました。あと30分もすれば謁見の間に主だった者達が揃うと思います。

それでそちらの方が…」

と言い、僕の隣に目線を向ける。


「話は来ていると思うが改めて紹介しよう。

今日からケッセリングの直属の配下となるスコルツだ」

僕が紹介するとスコルツは、

「スコルツです、本日よりよろしくお願いします」

ケッセリングに一礼して着任の挨拶をした。


「ケッセリングです。こちらこそよろしくお願いします」

にこやかに返した後、3人でソファーに座る。


「しかし、私の元の主筋であり、そして諜報で(しのぎ)を削ったスコルツ殿が配下になるとは妙な気分と頼もしい気分が同時に来ますな」

微苦笑と共にケッセリングが言う。

「スコルツ殿の血族の方も何人かこちらに居ますので後ほど会われますか?」


「そうなのですか!それは是非会ってみたいですね」

「分かりました、では会議後に会える様に手配しておきます」

ケッセリングが従者に目配せすると、従者は一礼して部屋から退出した。


そしてケッセリングは僕に向き直り、

「会議前に陛下にお訊きしたいのですが、転送されてきた書類に一番大きい部屋を確保する様に、とあったのですが、何に使われるのでしょうか?」

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