50話 フランブルグ到着
途中の街や町に1個又は2個中隊、伯爵領都には1個大隊を置きながら南下すること1週間…遂に北部最大の都市フランブルグに到着した。
幸い、4万を超える軍勢に抵抗する街や町は無く、伯爵領都も我が軍が近づくと留守居が早々に無防備都市宣言をして、戦闘によって血が流れる事は無かった(伯爵の財貨を隠匿した者などの血は流れたが…)。
ケッセリングの配下などの報告によると、フランブルグには一応守備隊が2千ほど残っている様だが、他に第二王子派の軍7千ほどが北上していて、明日にはここに到着する見込みだ。
(道路を舗装しながら南下しなければ、フランブルグに先に入られていたかもね)
4万近い軍を一部を残して都市を包囲する様に展開し、ひとまず休止がてらに降伏勧告を出してしばらく様子を見る事にし、その間に方針を決めるため各師団・部隊の首脳部が大天幕に集まった。
「さて、このまま市街戦に突入してもあまり被害が出ずに攻略出来ると思うけど、北上して来る部隊を叩いて士気喪失を狙うのも悪くないかと思う。
皆はどちらかがいいと思う?」
僕が皆に訊くと、グレンディルが発言を求め、
「その前に状況がおかしくありませんか?
敵は合わせても僅か9千ほどです。普通なら即座に撤退すべきなのにそのまま向かって来るとは…よほどの策があると見ざるを得ないのですが…」
その言に「確かに」「向こうは一体どうする気なのだ?」など賛同の声が上がる。
「それは多分、隷属契約に細工がしてあったからだと思いますよ。
農奴兵達の隷属契約には判りにくかったですけど、上位者が設定されていたので。
つまり、向こうが上位者権限を行使出来る者が居るかそういう物があれば、隷属契約をしている者に一斉にこちらを攻撃させる事が出来るという訳だった様です」
そう説明するとケッセリングが、
「なるほど、どうやって数に勝る第一王子派を抑えるのかと疑問に思っておりましたが、そういうカラクリがあったのですな」
「そうですね。そして隷属契約は見た感じ相手を変える事は比較的容易ですけど、解除するのはなかなか大変です。
なので向こうは、こちらが隷属契約の相手を変えただけだと思っているのではないかと思います。
それなら機をみて裏切らせれば勝機は充分にありますからね」
僕の推測に居並ぶ者達が一斉に頷く。
「では向こうの希望に沿うためにも、迎撃はケッセリング麾下の者達を中心に行った方が良さそうですな」
ニヤリ、と迫力のある笑みを浮かべグレンディルが言った。




