10話 状態異常
「最初はそのつもりだったのだけど、スコルツさんの【ステータス】を見てちょっと思う事があってね…とりあえず解除するからそれからもう一度考えてみてください」
僕はそう言うと姉上を見て、頷いた姉上は怪訝な顔をするスコルツに【(究極級魔法)パーフェクトキャンセラー】をかけ、とある状態異常を解除した。
スコルツは最初は表情に変化が無かったが、徐々に表情が歪み出し、やがて嗚咽を漏らしながら地面を両手で強く叩いた。
「何と…何という事だ…私は母上を自らの手で殺していたのか…!」
慟哭するスコルツを3人で見守りながら、僕は戦闘前に見たスコルツのステータスを思い出した。
オットー・フォン・スコルツ 年齢:467歳
種族:魔族 (エルダーバンパイア)、男
LV 173
職業:第一王子側近(国王直属諜報員)
【剣術:S+】
【格闘術:A+】
【投擲術:A+】
【隠密:SS-】
【属性魔法:闇のみ究極級まで全て】
【属性魔法:闇・光以外最上級まで全て】(光属性は使えない)
【空間魔法:上級まで全て】
【身体強化:最上級】
【自己再生:上級】
【物理攻撃無効(魔力が付与された武器でないとダメージを与えられない)】
【属性攻撃無効:闇】
【属性耐性50%:光以外全て】
【飛行】
【心眼】
【血統魔法:血の隷属(牙から血を吸った者に《魅了》の深度Ⅴを与える。満月の夜にしか深度Ⅴにはならない)】
【影化(20m以内の影から影へ移動出来る)】
【霧散(身体を霧状に変え、僅かな隙間でも通る事が出来る)】
【血統魔法:血の剣(ランクSの剣を生成する。この剣で斬られて剣が体内に侵入した場合、精神抵抗に失敗すると《魅了》される)】
【眷属化(牙から血を吸った者をバンパイアに変える。満月の夜のみ眷属化するとノーブルバンパイアになる)】
状態異常:洗脳(深度Ⅴ)
履歴:オットー家の養子だが、元は国王と下級貴族の側室との子で王族。現在国王と第二王子とスコルツの3人しかエルダーはいない(第一王子はノーブル)。
能力的にも第一王子より優秀だったので、王族である事を秘しオットー家の養子としたのだが、その際に禁術である『欠落の儀』で側室を殺させて強固に洗脳されている。
(母を殺させてまで洗脳しなくても、普通に母を厚遇して忠誠を得れば良かったと思うのだけど…話には聞いていたけど、碌でもない国だね。
深度Ⅴは治療出来る者がほぼ居ないとはいえ、もし洗脳が治療された場合は非常に恨まれるので愚策だと思うのだけど…昔からの悪業の一つだね)