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1章 侵攻   1話 望楼にて

王国暦元年6の月  鉱石と闘技の国、宮殿望楼


(この国を奪取してからもう1ヶ月か…)

政務がひと段落し、王都全体が見渡せる望楼から何の気なく景色を眺める。

見知った気配が上がってくるが、特に反応することなくそのまま眺めていると、


「陛下、ここにおられましたか」

「…こんにちは、クロイゼ伯父上」

40代半ばの人間族の男性にそう声をかける。


「伯父上はお止めください、今は臣下なのですから」

「ここには他に誰もいないのですから、問題ないでしょう?

…ところで、何か用でしょうか?」


「いや、用事と言いますか、この1ヶ月3人共働き詰めですから少しは休んで欲しいと皆が思っておりますので…」

「働いていると気が紛れるのです」

伯父の言葉を遮って、思わず強い語気で言ってしまう。


伯父は哀しげな顔で

「陛下の母…セラフィーネの事は本当に残念だった。だがここで君達姉弟が倒れたら、この『絶望の大陸』で初めて奴隷以外の人間族が普通に住める国はあっさり無くなってしまう。

この様な言い方しか出来ないのは心苦しいが、どうか無理しすぎないでくれ」

そう語りかけてきた。


「伯父上…ありがとうございます。今こうして息抜きしていますので、しばらくはそれでご容赦ください」

苦笑いしながら返すと、伯父は隣に並び共に景色を眺めながら、

「しかし、改めてこの光景を見ると違和感があるね…城壁が無いのは…」

「僕もこの大陸に落ちて初めて見た時はかなり違和感があったのですが、この大陸には空を飛べるのが竜族、竜人族(最大数時間)、炎獄鳥と氷獄鳥(と少数の亜種)、サタニアン、バンパイア…などいっぱい居ますからね。

おまけにそれなりの射程がある攻撃魔法が使える者もかなり多いそうですし。

野生の魔物や魔獣除け用の結界はありますから、わざわざお金のかかる割には効果の薄い城壁の必要性が無くても当然かと」


「その代わりに要所の建物の強化と地下施設が発達している、と。市街戦になると双方甚大な損害が出る上に街が廃墟になるから、割に合わないので大抵条件付き降伏が多い様だね」

「みたいですね、なかなか興味深い話ですよね」


などと話していると、再びここに上がってくる気配がする。

「あっ、フレッドここに居たのね。ちょっといいかしら?」

姉のレティシアが近づいてきた。


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