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異世界ってやっぱり異国よりも言葉が通じないよね!?  作者: 月媛(*'―'*)♪
優しい大きな人達に、子供扱いされる私は中年女
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42.守られる安心とぬくもり


 雨期って、どれくらい続くんだろう。


 雷の頻度は下がったけど、まだ、ジメッとした空気は続き、曇っててもすぐ、雨が降る。


 晴れ間は短くて、日本の梅雨より降るのではないだろうか……


 すっかり不眠症になってしまった。


 最後にルーシェさんに会ってから、五日? 七日?

 時間も日にちもよく解らなくなってきた。


 もう若くないのに、眠らなくて大丈夫なのだろうか……

 体は起きてるけど、脳の一部は寝てるみたいで、ぼんやりしてる時間が長くなっている。


 もう、ルイヴィークに埋まっても、ルーティーシアさんが添い寝してくれても、熟睡は出来なくなっていた。


 うとうとしては風の音に目が覚め、何か嫌な夢を見ていては雷の音に目が覚める。


 現代日本の騒がしさが懐かしい。


 レコードやラジオもないので、音楽を聴くことも出来ない。


 はぁ、クラシック聴きてぇ。

 漫画読みてぇ。

 ラノベでも、世界子供童話全集でもいいから、本が読みてぇ……!!


 お菓子作りたい!

 モモちゃん達愛猫'sに会いてぇ!


 ジワッと滲むのも普通で、本当に哀しいのか反射なのか判らなくなりつつあった。



 ドドーン カカッ ッオォォーン


 また派手に落ちたらしい。


 カタカタ震え、目は爛々と冴える。


 おかしい。雷は、科学的根拠で、安全圏において観るのは好きだったはず。なんで、こんなに怖いんやろう……


 なんで、ここの雷は特に夜落ちるんやろう。

 日本には居ない、魔物とか関係してるんやろか。


「ルーシェさん……」

 雷撃の魔道を操るあの人なら、この雨や雷も抑えられたりするんやろか。

 もし、雷獣や天候を操る妖魔や魔属がいて、そいつらが落としてるんやったら、退治してくれるんやろか。


 昔話の鬼とか妖怪って、こう言う不安から生まれるんやろな…… 語源の1つに(おぬ)(隠れるもの、姿の見えないものの意)から成ったって言うのもあるらしいし。


 添い寝してくれてたルーティーシアさんが、身を起こし、私の頰をひと撫でして寝室を出て行く。

 おトイレか、自室に帰ったのかな? 毎晩これじゃ、ルーティーシアさんまで寝不足だよね。


 また、落雷したのかと思うような、大きな音がして、震えが強まり、滲んだ涙は盛り上がって溢れた。


 もしかしたら、本が読めない、言葉が通じないから会話・お喋りが出来ない、音楽が聴けない、趣味のお菓子づくりが出来ない、そういったストレスが重なって、どこか精神状態も健康状態も壊れてるんだろうか……


 そう思うと、今度は吐き気までして来た。


 グゥ……ウッ……ウェ


 天蓋の外に待機していたらしい、いつものオレンジの髪のメイドさんが、陶器のボウルを差し出す。


 嘔吐(えづ)いたので、気を利かして差し出してくれたのだろう、おかげで堪える気がしなくなり、本当に吐いてしまった。これ、胃液で喉が灼けるから嫌いなんだよね……


「う~、のろいらひぁ(喉痛い)」


 ガチョリッダーン タタタ


 お上品なお貴族様のお屋敷に見合わない騒音と共に、のっぽな真っ黒い影がリビングと寝室を隔てる扉から現れた。


「られ(誰)?」


「ヴァニラ!」

 え? ルーシェさん、こんな真夜中に帰ってきたの? 大雨で雷も酷いのに…… あ、転移魔法か。


 大股でベッドに駆け寄り、私の頰を両手で挟み上向かせる。

「お、おかぇりあさい」

「ヴァハティアーディレル」

 お得意(?)のちゅーで涙を吸い取り、頰の涙の痕を親指でぐいっと拭うと、ギュバーッと抱き締められた。


 変なの。


 前みたいに、何すんねん、イケメンは何しても赦されるんかい、子供扱いもええ加減にしぃや、とは思わなかった。

 むしろ、これを待ってたかのように、意外に広い背中に手を回し、しがみついた。


 (ぬく)い……


 ふかふかのルイヴィークに埋まっても、ルーティーシアさんの柔らかなお胸に縋り付いても、温さはそう変わらないと思うのに、なんだろう、安心度が段違いだった。


 ぐずぐず泣きながら、ルーシェさんにしがみついて、頭を撫でられたり、額や目尻にちゅーを貰いながら、溺れる者のように助けを求めた。


 ルーシェさんはそれに応えてくれた。


 朝まで、2度目の共寝をしてもらったのだ。

 ルーシェさんの守られてるという安心感は、不思議と、朝まで、何日ぶりかの熟睡を、風の音にも雷の音にも起こされずに出来た。

ここで、大きな人達に見守られる子供扱いのヴァニラちゃんの、第二章は終わりまして、次から新章に移ります。

第一章やこの先を手直ししながら第三章が少し書きたまるまで、こちらでの更新をお待ちいただくか、推敲が追いついてなくても先が気になる方はアルファポリスで御覧ください。

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