合同演習終わりとエリートクラス
今日は親指がよく滑るぜ
「い、イフリートだと⁉︎」
ドナルドが叫ぶ。
他の生徒たちもイフリートの姿を見て恐怖する。
イフリートとは炎の精霊である。
契約方法は炎属性の魔物を生贄にすること。
そして、今召喚されたイフリートはワイバーンの遺灰を媒体として召喚された。
ワイバーンは龍種の中では下位にこそいるが紛れもない龍である。
ゆえに炎系最強の龍種を媒体にして召喚されたイフリートは普通のイフリートよりも格段に強くなる。
このイフリートは『龍炎系イフリート」と呼ばれている。
「先生!どうにかしてください!」
一部の生徒がゾディアックに解決を頼もうとしたがそこにはゾディアックの姿はなかった。
どう考えてもこの二組の生徒たちだけではSランクのイフリートを倒すことは不可能だった。
そして、一人の生徒が逃げようと演習場の出口へと走ったが強力な魔法で塞がれていた。
仕方ないと魔専の生徒が水系魔法で反撃するがイフリートの熱量の前では全て水蒸気と化してしまった。
アインならSランクのイフリートだろうがなんだろうが倒せるなぜなら忌神の力があるから。
しかし、その力を使うことで周りから避けられることが嫌なため使わず何もできないでした。
なぜかイフリートはアインを攻撃することはなく他の生徒たちを襲っている。
さもその光景をアインに見せるかのように。
そしてその光景はまざまざとアインの目に焼きつかれた。
何もできない悔しさと自分もイフリートと戦えばいいのに戦わない自己嫌悪に歯を食いしばり拳を強く握った。握った拳から血が滴るほどに。
『何故俺の力を使わない』
俺の守りたいもの……それは一体なんだ?
そして悩んでいるアインに一人の少女が声をかけた。
「あなたにはがっかりした力を使わないなら邪魔だからどいて」
話しかけたのはフィアだった。
「私のご先祖様はね。忌神に協力した人なのよ。その時忌神様はご先祖様に力を分け与えた」
一歩ずつイフリートに近づくフィア。
その目に恐れの色は写っていない。
フィアが言葉を話すごとに身体から魔力が滲み出てきている。
色は『灰色』
「その力は私たち一族固有の力へと変質した。でもその力が私たち一族を奴隷へと堕としたものでもある。でもね、恥じてなんかない。この力を恐れても憎んでもない。大切な人を守れる力なら私はこの力を誇れる。
この力にありがとうって言える‼︎」
言葉が終わる頃にはフィアの全身を灰色の魔力が包んでいた。
その姿はまるで戦乙女のようだ。
禍々しくもあり透き通るような白い肌、眩しいほど輝く銀髪も合わさって神々しくもあった。
全身からみなぎる魔力は最上級魔法を使っても尽きることはないだろう。
まあフィアはそんな魔法は使えないのだが。
イフリートがフィアに気づきその大きい拳を振り下ろす。
だかフィアは避ける様子もなくただイフリートを見つめた。
そして、睨むとイフリートから灰色の焔が出てきた。
炎の精霊のはずなのにイフリートは苦しむ。
「イフリート。あなたは消えてこれ以上友達を傷つけるのはやめてほしいから」
そう言うと右腕を高く上げそして下げた。
するとイフリートの身体の中心線に沿って真っ二つになって倒れる。
踵を返し生徒たちのほうにフィアは歩く。
しかし、フィアが戻ると歓声やお礼の言葉はなく皆フィアを化け物を見るような目を送っていた。
フィアが俺と同じ忌神の力を持ってるなんて……。
アインは驚くとともに安堵してしまった。
案の定忌神の力は嫌われているのだと、だからもしさっき自分が使っていたらクラスメイトからあんな目線を送られるのだと。よかった使わなくてと。
アインはもう自分のことが嫌いでたまらなくなっていた。
そして数日の間に学園で忌神の噂が広まった。
今年の一年には忌神の加護を持つ者がいると。
それは間違いではないのだがその噂の矛先であるフィアは忌神の加護は受けていない。
受けているのはアインである。
しかし、あの演習事件の時フィアが使ったのは紛れもない忌神の力だった。
それが原因でできた噂。
あの後ゾディアックは学園から消えたらしい。
フィアはクラス孤立した。
メーアは話しかけるそうだがクラスメートから話しかけない方がいいよと言われている。
「えっと、今日は重大な報告があります。それはエリートクラスに行く生徒が決まりましたーパチパチー。
まあサバイバルマッチの子と一緒なんだけどねー。
クラス替えは明日からです。
そして、エリートクラスに行く人は部屋も変わります。
ので授業が終わり次第荷物をまとめて新しい部屋に移ってくださいね。
新しい部屋番号は中央階段に貼ってありますので確認を怠ってはいけませんよー。
これで今日のホームルームは終わりです。一限の準備に移ってください」
アインはあの日以来普通に振る舞うようになっていた。
心配はかけたくないと今まで通りの振る舞いに戻ったのだ。
しかしそれはさらにアインの心を消耗させる。
最近までは暗くなることでほんの少しストレス発散的なことができたのだが明るく振る舞うことで暗い気持ちを心の檻に閉じ込めたことによりストレス、心の闇は溜まる一方だった。
授業も終わりアインは荷物をまとめミーナに少しの間だったけどありがとうなと一言言って部屋番号を確かめに行く。
「えっと部屋番号は出席番号で書かれてるから……俺は一番だから。645か」
アインはその部屋へと歩く。
そしてその部屋の前。
鍵はもう開いていて中に先客がいるみたいだった。
ドアを開けると銀髪の少女。
元奴隷民族出身ヴァイスフェアレーターと呼ばれる人たち。
新しい同居人はフィアだった。
次回予告
フィア:私こういうのあんまり得意じゃないんだけど。
まあいいか。
次回も結構私が活躍するかも。
じゃあねバイバイ




