暗闇の中で、、、
ロイエンタールは目を瞑ってぐったりしていたが、2人の男に抱えられ、夜の庭に出た。
大きな馬車が庭を出た道にひっそり止まっていた。
アントニオはがっちりした体で主人を馬車の上まで、引っ張り上げた。
そのあとに私が乗り、つづけて、ロワール、ロイドがつついた。
暗い夜の道を馬車は静かに走り続け、裏ギルドに到着した。
裏ギルドのギルド長が店の前まで出てきて、店員の一人に指示を出し、医者の乗った、商隊馬車に乗り換えさらに町はずれの一軒家に到着した。 人気のない、さびれた家であったが、中はきれいに整っていた。
部屋は3部屋あり、大きなキッチンと居間があった。
医者は主人をベッドに寝かせ、脈をとったり、薬を飲ませたりした。
どうやら、主人は薬で眠らされているらしい。 軽い毒のようなものを、最初飲まされ、それがなかなか抜けきれなかったらしい。 娼館の男達が時々彼の様子を見てくれ、具合が悪そうなので、顧客に薬を頼み飲ませてくれたらしいが、起きている時間は短かったらしい。
ロイドが食事の世話をしていたが、ロイエンタールは、身代金をとるためにここに連れてこられた、とオーナーは言っていたらしい。
主人は彼等を見ていたが、話すことはなかったらしい。 主人によく似た男が娼館に出入りしてたそうだが、その男は花の娼館では働いたことはなく、どうやらオーナーの家で女性を漁っていたらしい。
医者の薬が効いたのか、彼は再び手を伸ばし私の名を呼んだ。
長いまつげが僅かに震えていた。 ロイ、早く目を覚まして。。。
私は彼に呼び掛けた。
商隊の馬車は、たくさんの食料品を下ろして、去っていった。
その日から、私は元男娼2人、と男娼見習いの少年、眠れる主人との奇妙な生活が始まった。
アントニオは、用意された材料で器用に食事を作り、私達に振舞ってくれた。
ロイドは主人に寄り添い、体を拭いてくれたり、こまめに世話をしてくれた。
ロワールは不安な気持ちをさりげなく優しい言葉をかけて癒してくれた。
この美しい男達は、お金のために仕方なく男娼になったのだ。
この屋敷に来て、3日目に主人は目をさました。
医者はこれからは、だんだん回復に向かうと私に言ってくれた。
その日はギルド長も来てくれて、皆のこれからのことを話した。
アントニオとロワールは、たくさんのお金をためたかったので、情報屋として、ギルド長が雇うことにした。
ロイドは戻るところがないので、ロイエンタールと相談して我が屋敷で雇うことになった。
4日目、ギルドの馬車が迎えに来て、私とロイとロイドは我が館に帰ることにした。
そろそろ偽の夫との対決の時が近い。
夫の話だと、弟のルシアンから手紙が来て、自分は借金のカタで娼館にいて大変な目にあっているので、
早く助けてほしいとの手紙だった。 何度も手紙がくるので無視できなくなり、書かれている花の娼館に行き弟に会ったが、どうやら、酒に少量の毒が入っていたようだ、と言った。
私が、彼が私の館に来て、主人を装っていると、いうとロイは何て恐ろしい奴なんだ、と青い顔で言った。 私はやはり眠らされ離宮にリラが付ききりで介護してくれていた、と言った。
彼の顔には失望感と少しの安堵の色がみえた。
これから館に戻り、きちんと彼らにけじめをつけさせましょう。 私は言った。
黒い馬車に乗り、黒いドレスの女は夜に紛れて誰にも気づかれないよう、取り戻した主人と自分の館に戻るのであった。




