72/78
第三十五章 ノード3の真実
三月十六日。
美咲は食堂で全員に伝えた。
「ノード3は、何もしてきません」
二百八十人が静まった。
「第二ノードの返答データの解読で判明しました。ノード3は**非介入型の観測者**。外から信号を送ることも、脳に干渉することもしない。ノード1とノード2が壊した後で、人間が**自力で立て直せるかどうか**を、ただ見ている」
誰かが声を上げた。
「じゃあ、最近の記憶の食い違いは?」
「私たち自身の問題です。ノード2の後遺症か、あるいは元々人間が持っとう認知のずれか。どちらにしても、**敵のせいやなくて、私たちの問題**」
沈黙が重かった。
敵がいた方がまだ楽だった。敵がいれば、団結できた。ゾンビが来れば鉈を握れた。脳波干渉が来れば送信機に向かえた。
だが、敵がいないなら。壊れていくのが自分たちのせいなら。
「だからこそ」美咲は言った。「自分たちで向き合うしかなか。記録を取る。照合する。食い違ったら話し合う。怒鳴る前に聞く。**人間として当たり前のことを、当たり前にやる**。それが今、私たちにできる唯一のことです」
派手な解決策ではなかった。英雄的な行動でもなかった。ただの、地味な日常の積み重ね。
だが、それしかなかった。




